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第4章〜儀式の始まり…そして…

番外⑵‥❶〜出会いとバトル‥前編

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 ……今から3年前、黒城 麻里亜くろき まりあはとあるゲーム制作会社に就職した。

 そしてこの職場で後に親友となる彼女と出会う。


 ここはゲーム制作会社のオフィスの一画。

 麻里亜は20時になり仕事を切り上げ、バッグに荷物を詰め帰ろうとしていた。

(ふぅ~、流石にこんな時間まで女性で仕事しているのは私ぐらいなのかな。)

 そう思いながらオフィス内を見渡してみた。

 するとオフィスの隅の方でパソコンに向かい真剣な表情で仕事をしている女性がいた。

(あれ?あの人は確か黒野さん。まだ仕事してるのかぁ。)


 この女性は黒野 希愛くろの のあ、麻里亜と同期入社で同じ職場で働いている。

 髪は茶色がかった黒で後ろで1つに束ね、前髪は目ぐらいの長さで左寄りに分け眼鏡をかけている。


 麻里亜は声を掛けようと思ったが、帰りが遅くなるので声を掛けずに職場を後にした。


 その数日後、麻里亜は仕事が休みだった為、買い物をしながらウインドショッピングを楽しんでいた。

 麻里亜はしばらく歩いていると、新しく出来たゲームセンターをみつけ中に入って行った。

 麻里亜は中に入ると、辺りを見渡しながら奥の方に進んでいった。

(ん~、このゲーセンいつ出来たのかな?そういえば最近仕事が忙しくて街に買い物や遊びに来る暇なかったな。家でゲームをやる暇はあったけどね。)

 麻里亜はそう思うと苦笑した。

 更に奥に進むとアーケードゲームが5列毎に並んでいて麻里亜は何か面白そうなゲームは無いかと一台づつ見て歩いた。

(ん~何か面白そうなゲーム無いかな……。)

 すると奥の方で人集りが出来ていた。

(ん?何なのかな、この人集りは……。)

 麻里亜は気になり覗こうとするが、人が多過ぎてなかなか覗く事が出来ずにいた。

(……ん~あ~気になるぅ~。)

 そう思っていると、人と人の間に隙間が出来た。

(あっ!今なら……。)

 麻里亜はその隙間から覗いて見ると、ゲームを夢中になってやっている女性がいた。


 その女性は黒のキャップを被り、髪は茶色がかった黒で肩より長めで軽くウェイブがかかっている。

 サングラスをかけていて、白のTシャツに黒の短パンを履いていた。


(ゲームに夢中になってるみたいだけど、何のゲームなのかな。)

 すると麻里亜の隣に居る2人が話し出した。

「なぁ、お前さっきあの女と対戦したんだったよな?」

「ああ、女だったから、ちょっとヒネってやろうと思ったんだがな、強すぎて話にならなかったよ。完敗だ完敗。」

「お前もあのゲームそこそこ上手いのにかぁ。俺は対戦するのやめておいた方がいいな。」

 麻里亜はその話を聞き、

(ん?対戦って事は……ん~格ゲーかパズルかな。)

 麻里亜はそう思いながらその女性と向かい合わせのゲーム機を見てみた。

 するとそこにはフード付きのトレーナーを着てキャップを深々と被り、サングラスをかけた男性が座り夢中でゲームをしていた。

 麻里亜はそれを見ると、

(ん~なるほど格ゲーか。ん?この人も結構強い!いい勝負。だけど、なんか動きが単純で……これあの女の人が勝つかな。多分だけど……。)

 すると麻里亜の予想していた通り女性の方が勝った。

「……はぁ……。」

 その男性は溜息をつきそのゲーム機から別の場所に移っていった。

(ん~やっぱりあの人が勝ったか。でもさっきの男の人あそこでなんでタイミング合わせられなかったのかな?まあいいか。どうしようかな?私もやって見ようかなぁ。)

 麻里亜はそのゲーム機の前に座りお金を入れキャラを選んだ。

(よし!この女の子のキャラにしよう。可愛いしっ。可愛いは正義!なんてね。アハハハハ……。)

 すると画面に【対戦しますか?】と表示され【YES】を選んだ。

 向かいの女性も【YES】を選ぶと画面が切り替わり【GO】と表示され、

(さて、どれだけ強いのかお手並み拝見しようじゃない!ふ~ん、なるほど。これは強そうなキャラ出してきたな。……でも。)

 麻里亜はそう思いながら、いつ開始しても良い様にボタンとレバーに手を添え構えた。

(ん?向かいの人、何でこのキャラを選んだのかなぁ?てか、何かムカつくんだけど。この人完全に私を舐めてるねぇ。クッ、見てなさいよぉ。)

 そして、麻里亜とその女性はゲームを開始した。
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