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従者
従者3
しおりを挟む『お前今、後は東雲を逃げないようにすれば良いと思っているだろう』
全て見透かされたような鋭い声に、びくりとする。
『命令だ。お前は東雲を守る事だけに徹しろ。
自分勝手な判断であいつを利用することは今後一切許さん。
・・・・・・わかったな?』
これは呪だ。
それ以外は許されない長の絶対的な命令。
全てを縛られた感覚と共に、長が巫女を最優先させた事に喜びが湧く。
「かしこまりました」
『以上だ。戻れ』
「はい」
最後まで長の声で通話は切れた。
ここまで強い命令をされた以上、次ぎに彼女をこんな風に利用することは出来なくなった。
でも、長自身が巫女を特別だと認識した以上、おそらく私などがもうこんな事をしなくても良いのだろう。
後は二人を邪魔するものを排除し、長の立場を揺るがないものにするために助力すれば良いだけ。
巫女が本当に見つかった事実は、心の底から喜びと安心で私を満たす。
巫女という存在は長だけでなく、他の者達にも安心を与えるのだと、痛いほど実感した。
まずは。
その巫女である彼女に謝罪しなければならない。
守るよう命じられた以上、私が彼女の味方だと認識してもらう必要がある。
彼女には全て失って良いと約束してしまった。
その事を光明には話せなかった。
「そもそも会ってもらえるんでしょうか」
ここまでのことをしたというのに、彼女なら許してくれるのではという甘い事を考える。
車のエンジンボタンを押し、二人の居るマンションを運転席から少しだけ見上げると、その場を後にした。
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