月曜日の巫女

桜居かのん

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一輪の薔薇

一輪の薔薇17

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「もう、いいの?」


「・・・・・・お前、彼氏がいたことは?」


「無いけど」


むっとした声でかえすと、藤原が身体を動かし私の方を向いた。

手が私の顔に伸びる。

そして・・・・・・私の鼻をぎゅっと摘んだ。


「そういうのは、好きなヤツのために取っておけ」


そう言うと、意地悪く、藤原は笑った。

私は、鼻を摘まれているというのにそういう風に笑う藤原を見て、何故か目に涙が浮かんでくる。


「あぁ、もう、泣くなって」


慌てて手を離した藤原を私は一つ睨んだ後、今度は私が反対を向いた。


「藤原が全て悪いんじゃんか」


「ほんとだな」


自嘲を含んだ声と共に急に背中から抱きしめられ、大きな腕が私を包む。

背中からじわりと体温が伝わり、自分の体温と合わさっていくようだ。

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