月曜日の巫女

桜居かのん

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巫女という呪

巫女という呪5

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下駄箱に着いた時、他の生徒達が歩きつつ誰かを見ていた。

クラスの下駄箱の近くにある柱に、男子が一人、制服のズボンのポケットに両手を入れて、周囲を見渡していた。

その男子は、綺麗な栗毛色の長めの髪を横に少し長している。

こんな外国人の生徒はうちにいただろうか。

三人で靴を履き替えると、その彼の前を通り過ぎた。


「待って!待って!」


後ろから声がして不思議に思い振り向くと、さっきの外国人の男子が焦ったようにこっちに走ってきた。


「みんな、無視は酷くない?!」


顔に両手をあてて、酷すぎる!と嘆くその男子に私は途惑った。

横にいる実咲と塔子を見ると、とても複雑そうな顔をしている。


「塔子ちゃんはすぐ気がついてた癖に!」


「突然馴れ馴れしく名前で呼ぶ男子って、チャラい」


塔子が冷めた目で見ると、彼はうぅ、と苦しげに声を出したかと思えば、今度は実咲の方に勢いよく向いて問いかけた。


「実咲ちゃんも気がついてたでしょ!」


「今どき高校デビューとか痛いし」


突き放すような実咲の言葉に、2人の愛が痛い!と彼は身体をねじった。

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