月曜日の巫女

桜居かのん

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巫女という呪

巫女という呪3

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「それでも。

それでも光明を助けられるのは東雲さん、貴女だけだと私は思っています。

どうか、あの子を嫌わないであげて下さい」


そういうと足音が遠ざかっていく。

私は先生の最後の言葉で、夢の中で出会った、あの少年の言葉を思いだしていた。


『未来の僕を、嫌わないで』


ただの夢ではないと思っていた。

きっと私は違う時間、違う場所にいるのだと、自然と理解していたからだ。

あの小さな男の子はやはり藤原の子供の頃で、今日のことをわかっていて言ったのだろうか。

でも、もう遅い。

加茂君に、罰だからとあんな酷い事をした藤原は許せない。

なのに。

あんなに凍り付いた藤原を心配してしまう自分がいて嫌になる。

嫌われるのは当然だ、あんな酷い事をする人を許しちゃいけない。

私はそう言い聞かせながら、ベットで身体を丸めた。


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