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来訪者
来訪者30
しおりを挟む「で、彼は本当は何しに来たの?」
私の質問に藤原は少し顔を上げた後、さぁな、と言った。
「いや、さぁな、じゃなくて。
さっきから質問ばっかりで私の質問は答えてくれないじゃない。
あの黒い邪気、放置してて良かったの?
また見つけた時、私どうしたら良いの?」
「何もしなくていいよ。放置だ、放置」
「でも悪いものなんでしょ?」
藤原は呆れたように私を見た。
「あんなのはな、日常に沢山あるんだ。
汚れみたいなもんだからいちいち気にしなくて良い。
だけど、変に近づくなよ?
お前は見えるだけで何も対処出来なんだから」
「でも、前回私が居たら消えたじゃない!」
必死な私を藤原はちらりと見ると、大げさにため息をついた。
「例えば・・・・・・火事があったとする。
お前はたまたまその火事が見えた。
俺はプロの消防士で既に消火活動をしていた。
で、そろそろ水が無いなって時に、
お前が水源を見つけて元栓まで走って水を出した。
そのおかげで消火が出来ました。以上」
そう淡々と言い切ると、何事も無かったかのように藤原は再度紅茶を飲んだ。
私はぽかんとその話を聞いていた。
え、私、元栓開ける人だったの?
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