月曜日の巫女

桜居かのん

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来訪者

来訪者2

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朝7時に開くと同時に食堂に行くなんて初めてだったが、

思ったよりも生徒は既に食事を受け取るために並んでいた。

じっと人を見る。

あっちも、

こっちも。

でも、何も感じないし、

私には全員人間にしか思えない。

昨日は着いてから、

違和感とかオレンジの光とかが見えたのに。

もしかして夜しかダメなのだろうか、

などと考えていたら声をかけられた。


「なにやってんの?きょろきょろと」


そこにいたのは不思議そうな顔で覗き込んでいる実咲だった。

そういえば実咲は朝練で朝は早いんだったっけ。


「あ、いや、

この時間に来たの初めてだったから」


思わず少し不自然な顔で笑ってしまう。

そんな私を実咲はじろじろと見た後、

そっか、と言い、

朝食のメニューをどれにするか尋ねてきた。

私はやりすごせた事にホッとしながらも、

特に自分が変わっていないことにがっかりとしていた。

でも今日の放課後になれば話が聞ける。

私はそれだけでいつもなら憂鬱な月曜日が、

初めて楽しみに思えたような気がした。






英語の授業の時間を楽しみにしたのも初めてだったと思う。

私はどきどきしながら、

黒板に向かい説明する藤原をじっと見ていた。

しかしびっくりするほどいつも通りで、

当ててやるなんて言ったのに、

私が当てられることは最後まで無かった。

そして一度も目線が合うことすら無く、

授業は終わった。

私は拍子抜けしたような気分でいた。
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