月曜日の巫女

桜居かのん

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来訪者

来訪者1

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部屋に戻り時計を見る。

いつもの起床時間を考えたら、
もうそんなには眠れない。

いや今は眠気など無かった。


あの後、藤原と別れ、
葛木先生が寮まで送ってくれた。

本当の事を話して欲しいとお願いしたが、
光明がいる前じゃないと話せないと、
私の必死の質問に一切答えてはくれなかった。

絶対に眠れないと思っていたが、
気がつけば寮の前で葛木先生に声をかけられるまで爆睡していたようだった。

シャワーを浴びてベットにもぐっても、
思い出すのはさっきまでのこと。

見たこともないお祈り(邪気払い、というらしいけど)を見て、
藤原が陰陽師のトップで、葛木先生も陰陽師で、
私がもしかしたら藤原の唯一無二である巫女、
というものである可能性があること。


はっきりいって私は興奮していた。

平凡だった自分が、突然特別な世界に招待され、
そして貴女はその中でも本当に特別な存在かもしれない、
なんて言われたのだ。
それも『巫女』、
なんて素敵な響きの言葉が自分にむけられて嫌な気分になる訳が無い。

私は自分の顔がにやついているのがわかった。

ベットにもぐり、枕に顔を埋めながら足をばたつかせる。

もしかして夢だったらどうしよう。

急にそっちの方がこわくなってきた。

そういえば霊感が強いとか葛木先生に言われたことを思いだした。


霊感が強いとその辺を歩いている人間と霊の見分けがつかないなんてことを聞いたことがある。
私は寮の食堂が開いたらすぐに行って、
確かめたい気持ちで一杯だった。
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