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ep53 井藤フミヒロの朝
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「......ん」
朝、目覚めると、布団の中に別の人間の存在を感じた。
以前の俺であれば、ただただ慌てふためいていたことだろう。
しかし、今となってはこの程度のことで動じない。
ネーコと同衾で迎える朝などもはや日常茶飯時なのだ!
この程度の〔セクシープログラム〕など、片手でひねりつぶしてくれるわ!
「おいネーコ!布団には入ってくるなって言ったろ!」
俺は声を上げて布団を引っぺがした。
すると俺の目に映るは......ネーコではなく、黒いネグリジェを召した金髪の美女!
「え??と、トラエ??」
途端に俺はあわあわとなった。
まさかネーコではなくトラエだったとは完全に想定外。
「お、おはよう、フミヒロ......」
トラエはやや恥ずかしそうに唇をひらいた。
「お、おはよう、トラエ......」
「なあ、フミヒロ......」
「な、なに?」
「そんなにじっと見られると、恥ずかしいのだが......」
「あっ!ご、ごめん!」
即座に俺はくるっと反対側を向いた。
その時、部屋のドアが勢いよくバーンと開く。
「ミッションコンプリ~ト!
国家救済に一歩前進!」
ネーコがいつものフレーズを叫んで入ってきた。
「ネーコ?ということはネーコがトラエにやらせたのか?」
さっそく俺はネーコに問いただした。
「私がやらせた、というのは違いますよ。私はあくまでススメただけですから」
「ススメた?どういうこと?」
「それはトラエの口からお願いします」
「トラエ?」
俺はトラエに振り向いた。
トラエはいつもの制服を着ながら口をひらく。
「フミヒロ。お前がまだワタシのことを怖がっているんじゃないかと懸念していてな。そのことをネーコに話したら『良い方法がある』と、この方法をススメられたのだ。これでお前のワタシに対する警戒心は解けてくれたであろうか?」
「いや別の意味で警戒するから!」
「ガーン!!そ、そんな......これでもダメなのか......」
「そうじゃなくて!こんなネーコみたいなことしなくてももう警戒はしてないから!大丈夫だから!」
「そ、そうか?なんなら胸も揉ませてやった方が良いとネーコに言われたのだが...」
「そそそそんなことしなくていいから!」
「ワタシの胸では、ダメなのか?」
「そういう意味じゃないから!てゆーかネーコ!トラエに変なこと吹き込むな!」
俺はネーコにビシッと注意した。
ところが、ネーコはなんだかいつもとは違う微妙な反応を示す。
「フミヒロ様...」
「ね、ネーコ?どうした?」
「うーん...なんでもありませんけど」
「??」
「......さあトラエ!もう終わりです!さっさと部屋から出ていってください!」
ネーコは急にトラエの退出を促した。
「あ、ああ。ではワタシは失礼する」
トラエは促されるままそそくさと出ていった。
「で、ではフミヒロ様!私は朝食の支度をしてお待ちしていますね!」
続いてネーコも部屋を飛び出してバタバタと降りていった。
「な、なんなんだ??」
俺はうーん?と首を傾げた。
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