53 / 87
ep53 井藤フミヒロの朝
しおりを挟む* * *
「......ん」
朝、目覚めると、布団の中に別の人間の存在を感じた。
以前の俺であれば、ただただ慌てふためいていたことだろう。
しかし、今となってはこの程度のことで動じない。
ネーコと同衾で迎える朝などもはや日常茶飯時なのだ!
この程度の〔セクシープログラム〕など、片手でひねりつぶしてくれるわ!
「おいネーコ!布団には入ってくるなって言ったろ!」
俺は声を上げて布団を引っぺがした。
すると俺の目に映るは......ネーコではなく、黒いネグリジェを召した金髪の美女!
「え??と、トラエ??」
途端に俺はあわあわとなった。
まさかネーコではなくトラエだったとは完全に想定外。
「お、おはよう、フミヒロ......」
トラエはやや恥ずかしそうに唇をひらいた。
「お、おはよう、トラエ......」
「なあ、フミヒロ......」
「な、なに?」
「そんなにじっと見られると、恥ずかしいのだが......」
「あっ!ご、ごめん!」
即座に俺はくるっと反対側を向いた。
その時、部屋のドアが勢いよくバーンと開く。
「ミッションコンプリ~ト!
国家救済に一歩前進!」
ネーコがいつものフレーズを叫んで入ってきた。
「ネーコ?ということはネーコがトラエにやらせたのか?」
さっそく俺はネーコに問いただした。
「私がやらせた、というのは違いますよ。私はあくまでススメただけですから」
「ススメた?どういうこと?」
「それはトラエの口からお願いします」
「トラエ?」
俺はトラエに振り向いた。
トラエはいつもの制服を着ながら口をひらく。
「フミヒロ。お前がまだワタシのことを怖がっているんじゃないかと懸念していてな。そのことをネーコに話したら『良い方法がある』と、この方法をススメられたのだ。これでお前のワタシに対する警戒心は解けてくれたであろうか?」
「いや別の意味で警戒するから!」
「ガーン!!そ、そんな......これでもダメなのか......」
「そうじゃなくて!こんなネーコみたいなことしなくてももう警戒はしてないから!大丈夫だから!」
「そ、そうか?なんなら胸も揉ませてやった方が良いとネーコに言われたのだが...」
「そそそそんなことしなくていいから!」
「ワタシの胸では、ダメなのか?」
「そういう意味じゃないから!てゆーかネーコ!トラエに変なこと吹き込むな!」
俺はネーコにビシッと注意した。
ところが、ネーコはなんだかいつもとは違う微妙な反応を示す。
「フミヒロ様...」
「ね、ネーコ?どうした?」
「うーん...なんでもありませんけど」
「??」
「......さあトラエ!もう終わりです!さっさと部屋から出ていってください!」
ネーコは急にトラエの退出を促した。
「あ、ああ。ではワタシは失礼する」
トラエは促されるままそそくさと出ていった。
「で、ではフミヒロ様!私は朝食の支度をしてお待ちしていますね!」
続いてネーコも部屋を飛び出してバタバタと降りていった。
「な、なんなんだ??」
俺はうーん?と首を傾げた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる