10 / 163
目指せ!魔法学園
ep10 御神札
しおりを挟む
ゴォァァァァァァッ!!
魔鳥獣の咆哮。
まるで...地獄の雄叫び!
「な、なななんでこんなヤツがいるんだ!?」
「ロテスコ様!逃げたほうが!」
「このままじゃ巻きこまれます!」
「クッ!ええい!撤退だ!」
エトケテラを乗せた大怪鳥はぐるんと方向を変えると、びゅーんと退散。
悪党はいなくなった......なんて言ってられない。
それどころじゃない怪物が目の前にいる!
最悪のバトンタッチだ!
「あああ!もうこの島は完全に終わった!!」
村長が絶望にくずおれた。
「こんなのエトケテラどころじゃない!並の国家魔術師でも厳しいレベルだ...!」
「イナバ!どうしよう!こんなの逃げることもできないよ......」
ああもうダメだ。
泣きそう。
俺の人生は十五年で終わるのか......。
「小僧!」
「な、なに」
「ちと早いが仕方ない」
「?」
「今からあの魔獣をやっつけるぞ!」
「えっ??あんなのやっつけられるの??誰が??どうやって??」
「お主の魔法でじゃ!お主ならできる!」
「はっ??俺が??魔法で??」
「いいからオイラの言うとおりにしろ!」
「いやいや待って待って!全然意味がわかんないよ!」
「このまま死にたいのか?」
「死にたくないよ!」
「ならやれ!」
「で、でも!」
「でももクソもない!いいからオイラの言うことを聞けい!」
「ぐべぇっ!」
イナバにグーでボコッと殴られた。
これまでで一番強く。
「なっ!なんでいつもいきなり殴るんだよ!」
「お主は死にたくないと言ったよな?」
「言ったけど!」
「それはこの島に暮らす者たちも皆一緒じゃ!」
ハッとした。
イナバの言うとおりだ。
死ぬのは俺たちだけじゃない。
「今ここでお主がやらなければ、多くの尊い命が失われることになる。お主はそれでもいいと思うか?」
「そ、それは......いいわけなんかない!」
「ならば迷うことなどないじゃろう?」
「ほ、本当に、俺なんかに...できるの?」
「俺なんか...などと言うでない。お主は大いなる可能性を秘めておる。お主ならできる。自分を信じろ!」
「自分を、信じる......」
「お主の力で、島の危機を救ってみせい!」
「俺の力で、みんなを...!」
そうだ。
俺に何かができるなら、ここでやらないでいつやるんだ!
俺の魔法で、島を救うんだ!
「な、なにをすればいいんだ!?」
「やっと良い眼になったな。では小僧、札を持っておるか?」
「ふだ?ふだって、神社のお札のこと?」
「早く出せい!」
「そ、そんなの持ち歩いてないよ!?」
「いや、お主は持っておる。その鞄の中を探してみい」
疑問に思いながらも、イナバの指示どおり鞄の中をゴソゴソと漁ると、はたとした。
「えっ??なんであるんだ??」
鞄の奥に木の御神札があった!?
なんで!?
いくら神社の息子だからって、持ち歩いたことなんてないのに!
しかも取り出して見てみると......
「神璽印が押印されているだけで何も文字が書かれていない?印影はうちの神社と同じようで違うような......」
それは無文字の御神札。
「どういうことなんだ??」
「それはお主が〔オリエンス〕へと運ばれる際に神が託した御神札じゃ。伝承どおりじゃな」
「そんな大事な物が託されているなんてもっと早く教えてくれよ!!」
「ふんっ。大事な物ということはすぐわかるんじゃな」
「い、一応これでも神社の息子だからな!」
「ちなみにお主はオリエンスの国民とも当たり前に会話できているが、それも神から授けられし御神力じゃ」
「そ、そういえば!」
「その力によってお主はオリエンスの言語、文字は問題なく理解できる。どうじゃ?選ばれたということの意味を理解できたじゃろ」
「俺が選ばれたっていうのは本当なんだ......でも、それならそれで最初っから全部のことをちゃんと教えて...」
「いいか?物事には順序というものがある。順序を間違えると厄災が起きかねん。特に大きな力を扱う者にとってはなおさらじゃ。ましてやお主は未熟で若い。もちろん時と場合にもよるが、すべてはお主のためじゃ」
「わ、わかったよ。それでこの御神札をどうすればいいの?」
「その札に指で神の名を書いて読み上げるのじゃ。その際、精神を集中し、指先に心身の力を込めることを忘れるな」
「指でなぞって読み上げればいいってこと??」
「そうじゃ。お主の思う神の名を書いて読み上げろ。さすればこの危機も乗り越えられよう。何が起こるかは、やってからのお楽しみじゃ」
イナバはニヤリとした。
そうこうしているうちに、魔鳥獣プテラスキングが、その巨大な口をパックリと広げる。
「イナバ様!八十神殿!マズイですぞ!おそらくあれの威力は大怪鳥プテラスの数倍...いや、十倍以上になりますぞぉ!!」
魔鳥獣の咆哮。
まるで...地獄の雄叫び!
「な、なななんでこんなヤツがいるんだ!?」
「ロテスコ様!逃げたほうが!」
「このままじゃ巻きこまれます!」
「クッ!ええい!撤退だ!」
エトケテラを乗せた大怪鳥はぐるんと方向を変えると、びゅーんと退散。
悪党はいなくなった......なんて言ってられない。
それどころじゃない怪物が目の前にいる!
最悪のバトンタッチだ!
「あああ!もうこの島は完全に終わった!!」
村長が絶望にくずおれた。
「こんなのエトケテラどころじゃない!並の国家魔術師でも厳しいレベルだ...!」
「イナバ!どうしよう!こんなの逃げることもできないよ......」
ああもうダメだ。
泣きそう。
俺の人生は十五年で終わるのか......。
「小僧!」
「な、なに」
「ちと早いが仕方ない」
「?」
「今からあの魔獣をやっつけるぞ!」
「えっ??あんなのやっつけられるの??誰が??どうやって??」
「お主の魔法でじゃ!お主ならできる!」
「はっ??俺が??魔法で??」
「いいからオイラの言うとおりにしろ!」
「いやいや待って待って!全然意味がわかんないよ!」
「このまま死にたいのか?」
「死にたくないよ!」
「ならやれ!」
「で、でも!」
「でももクソもない!いいからオイラの言うことを聞けい!」
「ぐべぇっ!」
イナバにグーでボコッと殴られた。
これまでで一番強く。
「なっ!なんでいつもいきなり殴るんだよ!」
「お主は死にたくないと言ったよな?」
「言ったけど!」
「それはこの島に暮らす者たちも皆一緒じゃ!」
ハッとした。
イナバの言うとおりだ。
死ぬのは俺たちだけじゃない。
「今ここでお主がやらなければ、多くの尊い命が失われることになる。お主はそれでもいいと思うか?」
「そ、それは......いいわけなんかない!」
「ならば迷うことなどないじゃろう?」
「ほ、本当に、俺なんかに...できるの?」
「俺なんか...などと言うでない。お主は大いなる可能性を秘めておる。お主ならできる。自分を信じろ!」
「自分を、信じる......」
「お主の力で、島の危機を救ってみせい!」
「俺の力で、みんなを...!」
そうだ。
俺に何かができるなら、ここでやらないでいつやるんだ!
俺の魔法で、島を救うんだ!
「な、なにをすればいいんだ!?」
「やっと良い眼になったな。では小僧、札を持っておるか?」
「ふだ?ふだって、神社のお札のこと?」
「早く出せい!」
「そ、そんなの持ち歩いてないよ!?」
「いや、お主は持っておる。その鞄の中を探してみい」
疑問に思いながらも、イナバの指示どおり鞄の中をゴソゴソと漁ると、はたとした。
「えっ??なんであるんだ??」
鞄の奥に木の御神札があった!?
なんで!?
いくら神社の息子だからって、持ち歩いたことなんてないのに!
しかも取り出して見てみると......
「神璽印が押印されているだけで何も文字が書かれていない?印影はうちの神社と同じようで違うような......」
それは無文字の御神札。
「どういうことなんだ??」
「それはお主が〔オリエンス〕へと運ばれる際に神が託した御神札じゃ。伝承どおりじゃな」
「そんな大事な物が託されているなんてもっと早く教えてくれよ!!」
「ふんっ。大事な物ということはすぐわかるんじゃな」
「い、一応これでも神社の息子だからな!」
「ちなみにお主はオリエンスの国民とも当たり前に会話できているが、それも神から授けられし御神力じゃ」
「そ、そういえば!」
「その力によってお主はオリエンスの言語、文字は問題なく理解できる。どうじゃ?選ばれたということの意味を理解できたじゃろ」
「俺が選ばれたっていうのは本当なんだ......でも、それならそれで最初っから全部のことをちゃんと教えて...」
「いいか?物事には順序というものがある。順序を間違えると厄災が起きかねん。特に大きな力を扱う者にとってはなおさらじゃ。ましてやお主は未熟で若い。もちろん時と場合にもよるが、すべてはお主のためじゃ」
「わ、わかったよ。それでこの御神札をどうすればいいの?」
「その札に指で神の名を書いて読み上げるのじゃ。その際、精神を集中し、指先に心身の力を込めることを忘れるな」
「指でなぞって読み上げればいいってこと??」
「そうじゃ。お主の思う神の名を書いて読み上げろ。さすればこの危機も乗り越えられよう。何が起こるかは、やってからのお楽しみじゃ」
イナバはニヤリとした。
そうこうしているうちに、魔鳥獣プテラスキングが、その巨大な口をパックリと広げる。
「イナバ様!八十神殿!マズイですぞ!おそらくあれの威力は大怪鳥プテラスの数倍...いや、十倍以上になりますぞぉ!!」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界営業〜大事なのは剣でも魔法でもない。営業力だ!
根上真気
ファンタジー
これは、元やり手営業部長の青年が、その営業力を駆使し、転移した異世界で起業して成功する物語。しかしその道のりは困難の連続だった!彼の仲間は落ちぶれた魔導博士と魔力量だけが取り柄のD級魔導師の娘。彼らと共に、一体どうやって事業を成功させるのか?彼らの敵とは何なのか?今ここに、異世界に降り立った日本人青年の、世紀の実業ファンタジーが幕を開ける!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
~まるまる 町ごと ほのぼの 異世界生活~
クラゲ散歩
ファンタジー
よく 1人か2人で 異世界に召喚や転生者とか 本やゲームにあるけど、実際どうなのよ・・・
それに 町ごとってあり?
みんな仲良く 町ごと クリーン国に転移してきた話。
夢の中 白猫?の人物も出てきます。
。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる