143 / 164
番外編 紅姫竜胆
妹の好み
しおりを挟む
葵は朱翔と玄葉の婚儀で、南宮に訪れていた。余興での剣舞も踊り終え、一人席に着き鼻息をつく。
「葵、隣の席よいかな?」
葵は横目でじろっと見る。
柊虎との婚約を解消すると、聞きつけた者達がここぞとばかりに寄ってくる。受け入れたら、会話をしないわけにはいかない。しかし、葵は今そんな気にはなれなかった。
─ 数日前 ─
葵は夜、彼に婚儀での衣装を見てもらおうと、兄の自室に来ていた。沙羅に通されるも自室には誰もおらず、探しに行くという沙羅を止め、戻って来るのを気長に待つことにした。
「何だよ蒼万っ」
「二度言わせるなっ」
何やら不穏な空気の二人の声がし、葵は思わず慌てて部屋の奥に隠れてしまう。
バンッ!
戸が激しく開く音に、葵はびくっと肩を跳ね上げた。
「早めに玄弥に会いに行くのが何で駄目なんだよっ あいつだって姉ちゃんが嫁に行ったら寂しいだろっ、付いてあげたいだけだよっ」
どうやら二人は、玄弥のことで揉めているようだ。我が兄ながら彼のこととなると心が狭い、葵は以前からそう感じてはいた。頃合いを見て止めに入ろうと、様子を聴くことにした。
「なっ何するんだよ蒼万っ、あ…っ、やめろ離せよっ、また話してる時にずるぞっ はぁっ、んっ…」
おやおや?
何が起きているのかと、葵は首を傾げる。
「……」
「やっ、約束したけどっ…だってっ、玄弥っんんっ…」
葵は目を見開く、これはとんでもないところに出会した。聞いたことのない彼の甘い声が響き、顔が熱くなり動悸が激しくなる。
「蒼万っ、まっ待って…お願い、あ…っ、なら一緒に行ってくれよっ、ううっ…」
「志瑞也…」
「あいつは…ひっく… きっと自分の感情は言わない…ううっ… いつも他人の幸せばかり願っているんだ…」
「…わかった、お前だけ行かすのは今回だけだ」
何と?
葵は思わず笑みが溢れる。如何なる鉄壁の兄にも弱いものがあったのだ、彼の涙は鉄をも溶かす。葵は何度も見たことはあるが、兄にとっては宝石のような滴なのだろう。
「蒼万っ、ありがとう」
葵は微笑んで音を立てないよう拍手をする。
「蒼万っ…あっ、好き…」
おやおや?
話がまとまったと思いきや、再び始まってしまい、しかも今度は彼に止める様子もなく、葵は戸惑い無言で慌てふためく。
「あっ、蒼万っ…もっと触ってっ、あ…っ、んっ…」
「…志瑞也、龍水室へ行く、掴まっていろ」
「うん…」
パッタン…
二人の足音が遠ざかり、葵は急ぎ部屋から抜け出し火照った顔を冷やすも、彼の声が耳から離れない。よもや彼に惹かれたのではと戸惑ったが、翌日一人で北宮へ発つ彼を見送る際に、そういう感情ではないと直ぐに分かった。だが、そのまま悶々とした状態で、婚儀に参列することになったのだった。
─ 現在 ─
「葵?」
「…ごめんなさい、私約束がありますの」
そう言って葵は宴の席を抜け、朱雀殿を出て庭園を散策する。宴の席には柊虎も居たが、見ても気まずさは感じられない。むしろ今は、身に起きている訳の分からない感情の方が気になる。
「玄弥、無理するなよ」
…はて?
彼の声がし、葵は木に隠れて覗き見る。彼は玄弥を抱きしめ、宥めるように背中を摩っていた。
「ううっ…志瑞也、ぐすっ…ありがとう、ううっ…」
ドキン!
葵は胸が締め付けられる。
玄弥の泣き顔は、幼い頃からうんざりするほど見てきた。だが、いつから見なくなったのだろう。玄弥は本当に心優しく、思いやりがある。葵はそれをよく知っている。玄葉が嫁ぐのは嬉しいが、目の前で泣かないようにしていたのだ。葵も切なくなり目が滲みだす。
「抱きつくなっ」
「あっ玄弥っ」
我が兄が友情を無理矢理引き離した!
「蒼万っ何するんだよっ」
「そっ、蒼万さん…ごめんなさいっ」
彼が怒るのも当然。しかし、玄弥が涙を拭いながら頭を下げた事に、葵は憤りで目を見開く。
「お前も姉離れしろ」
何と?
あまりにも冷淡な言葉に葵は耳を疑う。
「はっはい…」
玄弥は涙目でうつむく。
「蒼っ」
「兄上っ! そんな言い方酷いですわっ!」
彼が怒鳴る前に、葵は居ても立っても居られず飛びだし、兄をきっと睨みつけた。
「玄弥っ、行きましょう!」
葵は玄弥の手を取り二人から離れる。
「あっ葵ちゃん…どっどうしたの? 蒼万さんにあんな言い方… 兄妹で喧嘩しちゃ駄目だよ、ね? 一緒に謝りに行こう」
何ていじらしいのだろう、言いながら腫れた目で微笑む姿に、葵は堪らず玄弥に抱きつく。
「あっ葵ちゃんっ? どどどうしたの?」
両手を広げ、いつも以上に慌てふためく玄弥の背中を、葵は摩りながら言う。
「玄弥、泣きたい時は泣いていいのよ、あなたはずっと私を見てくれていたわ、今度は私が玄弥を見守るわ」
葵はやっと胸の痞えが取れた。
「えっ、ええーっ? ひっ柊虎さんはっ?」
「玄弥、私気付いたの、玄弥の泣き顔が好きみたい。だから今度からは、私以外の前で泣かないでね、ふふふ 玄弥が皆の幸せを願った分、私が玄弥を幸せにしてあげるわ」
言いながら、葵は玄弥を見つめる。
「あっ葵ちゃんっ、わっわかったっ! ううっ…葵ちゃん… ひっく…大好きだよ… 私も葵ちゃん、幸せにするよ…うあぁぁん…」
大声で泣きながらぎこちなく抱き返す玄弥が、葵にはとても可愛く思えた。もしや兄は、部屋で自分がいることに気付いていたのでは? そして先程も、自分が隠れていると知っていてわざと吹っかけたのでは? そう考えると、やはり我が兄は聡明で侮れない。今なら兄が、彼を縛る気持ちが良く分かる。葵は玄弥の涙を拭い、背伸びして口づけする。
「あっ葵ちゃん……」
玄弥はその瞳に、永遠に捉われてしまった。
「葵、隣の席よいかな?」
葵は横目でじろっと見る。
柊虎との婚約を解消すると、聞きつけた者達がここぞとばかりに寄ってくる。受け入れたら、会話をしないわけにはいかない。しかし、葵は今そんな気にはなれなかった。
─ 数日前 ─
葵は夜、彼に婚儀での衣装を見てもらおうと、兄の自室に来ていた。沙羅に通されるも自室には誰もおらず、探しに行くという沙羅を止め、戻って来るのを気長に待つことにした。
「何だよ蒼万っ」
「二度言わせるなっ」
何やら不穏な空気の二人の声がし、葵は思わず慌てて部屋の奥に隠れてしまう。
バンッ!
戸が激しく開く音に、葵はびくっと肩を跳ね上げた。
「早めに玄弥に会いに行くのが何で駄目なんだよっ あいつだって姉ちゃんが嫁に行ったら寂しいだろっ、付いてあげたいだけだよっ」
どうやら二人は、玄弥のことで揉めているようだ。我が兄ながら彼のこととなると心が狭い、葵は以前からそう感じてはいた。頃合いを見て止めに入ろうと、様子を聴くことにした。
「なっ何するんだよ蒼万っ、あ…っ、やめろ離せよっ、また話してる時にずるぞっ はぁっ、んっ…」
おやおや?
何が起きているのかと、葵は首を傾げる。
「……」
「やっ、約束したけどっ…だってっ、玄弥っんんっ…」
葵は目を見開く、これはとんでもないところに出会した。聞いたことのない彼の甘い声が響き、顔が熱くなり動悸が激しくなる。
「蒼万っ、まっ待って…お願い、あ…っ、なら一緒に行ってくれよっ、ううっ…」
「志瑞也…」
「あいつは…ひっく… きっと自分の感情は言わない…ううっ… いつも他人の幸せばかり願っているんだ…」
「…わかった、お前だけ行かすのは今回だけだ」
何と?
葵は思わず笑みが溢れる。如何なる鉄壁の兄にも弱いものがあったのだ、彼の涙は鉄をも溶かす。葵は何度も見たことはあるが、兄にとっては宝石のような滴なのだろう。
「蒼万っ、ありがとう」
葵は微笑んで音を立てないよう拍手をする。
「蒼万っ…あっ、好き…」
おやおや?
話がまとまったと思いきや、再び始まってしまい、しかも今度は彼に止める様子もなく、葵は戸惑い無言で慌てふためく。
「あっ、蒼万っ…もっと触ってっ、あ…っ、んっ…」
「…志瑞也、龍水室へ行く、掴まっていろ」
「うん…」
パッタン…
二人の足音が遠ざかり、葵は急ぎ部屋から抜け出し火照った顔を冷やすも、彼の声が耳から離れない。よもや彼に惹かれたのではと戸惑ったが、翌日一人で北宮へ発つ彼を見送る際に、そういう感情ではないと直ぐに分かった。だが、そのまま悶々とした状態で、婚儀に参列することになったのだった。
─ 現在 ─
「葵?」
「…ごめんなさい、私約束がありますの」
そう言って葵は宴の席を抜け、朱雀殿を出て庭園を散策する。宴の席には柊虎も居たが、見ても気まずさは感じられない。むしろ今は、身に起きている訳の分からない感情の方が気になる。
「玄弥、無理するなよ」
…はて?
彼の声がし、葵は木に隠れて覗き見る。彼は玄弥を抱きしめ、宥めるように背中を摩っていた。
「ううっ…志瑞也、ぐすっ…ありがとう、ううっ…」
ドキン!
葵は胸が締め付けられる。
玄弥の泣き顔は、幼い頃からうんざりするほど見てきた。だが、いつから見なくなったのだろう。玄弥は本当に心優しく、思いやりがある。葵はそれをよく知っている。玄葉が嫁ぐのは嬉しいが、目の前で泣かないようにしていたのだ。葵も切なくなり目が滲みだす。
「抱きつくなっ」
「あっ玄弥っ」
我が兄が友情を無理矢理引き離した!
「蒼万っ何するんだよっ」
「そっ、蒼万さん…ごめんなさいっ」
彼が怒るのも当然。しかし、玄弥が涙を拭いながら頭を下げた事に、葵は憤りで目を見開く。
「お前も姉離れしろ」
何と?
あまりにも冷淡な言葉に葵は耳を疑う。
「はっはい…」
玄弥は涙目でうつむく。
「蒼っ」
「兄上っ! そんな言い方酷いですわっ!」
彼が怒鳴る前に、葵は居ても立っても居られず飛びだし、兄をきっと睨みつけた。
「玄弥っ、行きましょう!」
葵は玄弥の手を取り二人から離れる。
「あっ葵ちゃん…どっどうしたの? 蒼万さんにあんな言い方… 兄妹で喧嘩しちゃ駄目だよ、ね? 一緒に謝りに行こう」
何ていじらしいのだろう、言いながら腫れた目で微笑む姿に、葵は堪らず玄弥に抱きつく。
「あっ葵ちゃんっ? どどどうしたの?」
両手を広げ、いつも以上に慌てふためく玄弥の背中を、葵は摩りながら言う。
「玄弥、泣きたい時は泣いていいのよ、あなたはずっと私を見てくれていたわ、今度は私が玄弥を見守るわ」
葵はやっと胸の痞えが取れた。
「えっ、ええーっ? ひっ柊虎さんはっ?」
「玄弥、私気付いたの、玄弥の泣き顔が好きみたい。だから今度からは、私以外の前で泣かないでね、ふふふ 玄弥が皆の幸せを願った分、私が玄弥を幸せにしてあげるわ」
言いながら、葵は玄弥を見つめる。
「あっ葵ちゃんっ、わっわかったっ! ううっ…葵ちゃん… ひっく…大好きだよ… 私も葵ちゃん、幸せにするよ…うあぁぁん…」
大声で泣きながらぎこちなく抱き返す玄弥が、葵にはとても可愛く思えた。もしや兄は、部屋で自分がいることに気付いていたのでは? そして先程も、自分が隠れていると知っていてわざと吹っかけたのでは? そう考えると、やはり我が兄は聡明で侮れない。今なら兄が、彼を縛る気持ちが良く分かる。葵は玄弥の涙を拭い、背伸びして口づけする。
「あっ葵ちゃん……」
玄弥はその瞳に、永遠に捉われてしまった。
2
あなたにおすすめの小説
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
【完結】禁断の忠誠
海野雫
BL
王太子暗殺を阻止したのは、ひとりの宦官だった――。
蒼嶺国――龍の血を継ぐ王家が治めるこの国は、今まさに権力の渦中にあった。
病に伏す国王、その隙を狙う宰相派の野心。玉座をめぐる見えぬ刃は、王太子・景耀の命を狙っていた。
そんな宮廷に、一人の宦官・凌雪が送り込まれる。
幼い頃に売られ、冷たい石造りの宮殿で静かに生きてきた彼は、ひっそりとその才覚を磨き続けてきた。
ある夜、王太子を狙った毒杯の罠をいち早く見破り、自ら命を賭してそれを阻止する。
その行動をきっかけに、二人の運命の歯車が大きく動き始める――。
宰相派の陰謀、王家に渦巻く疑念と忠誠、そして宮廷の奥深くに潜む暗殺の影。
互いを信じきれないまま始まった二人の主従関係は、やがて禁じられた想いと忠誠のはざまで揺れ動いていく。
己を捨てて殿下を守ろうとする凌雪と、玉座を背負う者として冷徹であろうとする景耀。
宮廷を覆う陰謀の嵐の中で、二人が交わした契約は――果たして主従のものか、それとも……。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
後宮に咲く美しき寵后
不来方しい
BL
フィリの故郷であるルロ国では、真っ白な肌に金色の髪を持つ人間は魔女の生まれ変わりだと伝えられていた。生まれた者は民衆の前で焚刑に処し、こうして人々の安心を得る一方、犠牲を当たり前のように受け入れている国だった。
フィリもまた雪のような肌と金髪を持って生まれ、来るべきときに備え、地下の部屋で閉じ込められて生活をしていた。第四王子として生まれても、処刑への道は免れられなかった。
そんなフィリの元に、縁談の話が舞い込んでくる。
縁談の相手はファルーハ王国の第三王子であるヴァシリス。顔も名前も知らない王子との結婚の話は、同性婚に偏見があるルロ国にとって、フィリはさらに肩身の狭い思いをする。
ファルーハ王国は砂漠地帯にある王国であり、雪国であるルロ国とは真逆だ。縁談などフィリ信じず、ついにそのときが来たと諦めの境地に至った。
情報がほとんどないファルーハ王国へ向かうと、国を上げて祝福する民衆に触れ、処刑場へ向かうものだとばかり思っていたフィリは困惑する。
狼狽するフィリの元へ現れたのは、浅黒い肌と黒髪、サファイア色の瞳を持つヴァシリスだった。彼はまだ成人にはあと二年早い子供であり、未成年と婚姻の儀を行うのかと不意を突かれた。
縁談の持ち込みから婚儀までが早く、しかも相手は未成年。そこには第二王子であるジャミルの思惑が隠されていて──。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる