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閑話
しおりを挟む「ヴィクトリアは!?」
血相を変えてやって来た幼馴染の顔を見て、エリックはぷはっと吹き出した。
「見ていただろう? そこから飛び降りて逃げたよ。地面に接地すると同時に空間移動。僕の頼もしい愛弟子は、自分が物凄く高度な魔法を使っている自覚がないところが怖いよね。土魔法だけならもう僕を上回ってるかもしれないっていうのに」
幼馴染のふたりは暗闇の向こう、淡い灯りに照らされている公爵邸ご自慢のバラ園を見やる。
ところでさあ、と続けるエリックは意地悪そうな微笑みを浮かべて腕を組み、バルコニーの手すりにもたれかかった。
「せっかく僕が推薦状まで書いてあげたっていうのに、2年後に離婚てなんだよ。じゃあ僕がそのあとヴィーを側妃にしてもいいんだね? きっとあの子と僕の間に生まれてくる子供はダンジョンの生みの親、ダニエル・ローグを凌ぐようなとんでもない魔術師になるんじゃないかな。楽しみだよ」
「何の話だ」
「そんな怖い顔するなよ。愛人がいるんだってね。見損なったよ、ロイ——」
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