コスモス・リバイブ・オンライン

短編集３

商品テスター

「これはひどい」

　今、僕は協会が販売する商品のテスターの仕事を引き受けている。
僕はこの手の仕事は断っているんだけど、青葉さんにこれも経験だからと言われたので引き受けた。


　頼まれた商品は手袋。
勿論、ただの手袋じゃない。
　この手袋は簡易機械コミュだ。
これを使用すれば、機械コミュの手術を受けなくても、機械コミュ専用の機械を動かせるようになるらしい。


　でも、これを使ったとしても機械コミュには遠く及ばない。
あくまで機械コミュ対応の端末を動かさせるようになるだけ。
これなら機械コミュの適応手術を受けた方が良いと思う。


「ぼったくる気満々だなぁー」

　商品カタログの価格表記がおかしい。
具体的に言うと、０の数がおかしかった。


　使用されている技術は一級品。
だけど、製造コストを考えると、もっと安くできるはず。
　カタログをよく見たら、もっと安いモデルもあった。こっちは良心的な価格に収まっている。
宗教関係にも機械コミュを入れることができない人がいるので、そっちに配慮したみたいだ。


　このぼったくり価格は偏見とかで入れない人向けなんだと思う。
そういう人ってお金はあるからこの価格でも買うだろう。
　協会は反機械コミュからぼったくることへの躊躇いは皆無。
こういう商品は他にもある。


　０の数がちょっとおかしい方は無駄な金の刺繍が入ってたり、宝石が縫い込まれていたりと、贅を凝らした作りになっている。
それでもぼったくり価格なのは変わらない。
刺繍は分かるよ。お洒落だし。でも、宝石なんか付けたら、重くなって嵩張ると思うんだけど。
買う人本当にいるのかな？

～～～


　後日、宝石付きのツールを生徒会長が付けているのを見かけた。
あれ買ったんだ。
手がキラキラしていて、非常に目立っている。目立ちたがり屋の彼女としては本望だろう。