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星海から訪れる侵略者
マルヴェ出撃
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◇マルヴェ視点
コックピット内は極寒だった。
室温はマイナス。吐く息は白く染まっている。
「……寒い」
着用してるアーマーは耐冷仕様の特製品らしい。
だけど、本当に耐冷仕様なのか疑わしい。このままじゃ凍死しちゃいそう。
こういう時は体を動かして、温めたくなる。
この機体もモーションコントロールシステムを採用しているので、コックピットに体を動かせるスペースが確保されている。
でも、今は機体の最終調整を行っている最中。邪魔しちゃいけないので、大人しくじっとしておく。
本当はもう少し早く、フェイズ3の段階でも出撃したかった。
だけど、調整が上手く行かずに、ずっとお留守番を強いられていた。
「問題児なんだから」
この子、雪華は本当に問題が多い機体だと思う。
特に問題になったのは動力の氷獄核。
今は落ち着いているけど、氷獄核は欠陥品。
あまりにも不安定で危ない。
そもそも雪華は動力である氷獄核の冷気を封印するために作られた機体。
ソロならまだしも集団戦でそんな機体を出すべきじゃないと思う。
でも、今はそんなこと言っている状況じゃない。
氷獄核の冷気が対Z戦において、重要な役割を果たす。
『Pリインの充填を開始します。そちらからも操作お願いします』
「はい」
デッチーさんから指示を受け、コンソールを操作する。
実はPリインはもう少し余裕があるそうだ。
装甲機関車、冷凍車、専用パッケージ、Pリイン、そして、投与を実行する精鋭部隊。
この一揃えを用意できたのが二セットだっただけらしい。
Pリインを収めるのは雪華のバックパック。
このバックパックはCSS製、並大抵の攻撃では傷一つ付かない。
バックパックには氷獄核の冷気をダイレクトに伝える仕組みが組み込まれているらしい。
氷獄核の冷気なら冷凍車無しでも、Pリインの効果維持が可能。
この機構によって、制限時間を気にせずに運搬できる。
『Pリインの充填完了しました。出力安定、モーションコントロールシステム正常稼働。雪華スタンバイ完了です』
やっと出撃準備が終わった。これで私も一緒に戦える。
スワロお兄さんのサポートはしていたけど、私も戦場に出て戦いたかった。
「アウラさん、出撃していいですか?」
『はい。いってらっしゃい』
「いってきます」
カタパルトデッキに移動、マイグラントから出撃する。
まずは地上に飛び降りずに、甲板に着地する。
ちょっと動かしただけだけど、改めて性能差を実感できた。
今まで乗ってきた剣闘機とはパワーが段違い。
少し踏み切っただけのつもりなのに、実際には大きく跳躍してしまう。
まだ剣闘機の感覚が抜け切れていない証拠。
シミュレーターで訓練しておいたけど、やっぱり実機とでは感覚が違う。
慣れるまでちょっと時間が掛かりそう。
地上に降りなかったのは、戦場全体の様子を目で確認するため。
闇雲に突撃しちゃダメ。いくらこの子が高性能でも、無数の敵に囲まれたら撃墜されてしまう。
どこから攻めればいいのか。それを見極める必要がある。
できるだけ敵が少なく、なおかつマザーまで距離が短いルートが理想になる。
戦場は水のように目まぐるしく形を変えている。
良さげなルートを見つけても、すぐに通れなくなってしまう
やっぱり空から行くのがベターなのかも。
雪華のスラスターはAドライブという推進装置を装備してあり、飛行を可能としている。
でも、まだ空中機動に慣れていないし、私にはヴィンディスのプラネットスキルはない。
Aドライブの推進力は剣闘機の推進装置と比べるのもおこがましいほどの差があり、制御に慣れていない。
訓練はしたけど、今も空中を縦横無尽に翔ける二人には大きく劣っている。
飛行個体を避けつつ、マザーに接近する自信はない。
地上ルートを通った方がまだ成功確率は高いと思う。
リスクが低い地上ルートを探していると、モニターに映し出されているマップに線が書き加えられていった。
私の操作じゃない。外部から、ヴェルリーナさんからのアクセスだった。
「これはなんですか?」
『このルートなら、ちょっとやそっとのことで封鎖されることはないわ』
彼女が形成したルートはかなり複雑。
地上と空を激しく行き来し、敵の陣形を隙間を潜り抜けていく。
私の頭じゃ丸一日かけても、このルートは見つけることはできなかったと思う。
コックピット内は極寒だった。
室温はマイナス。吐く息は白く染まっている。
「……寒い」
着用してるアーマーは耐冷仕様の特製品らしい。
だけど、本当に耐冷仕様なのか疑わしい。このままじゃ凍死しちゃいそう。
こういう時は体を動かして、温めたくなる。
この機体もモーションコントロールシステムを採用しているので、コックピットに体を動かせるスペースが確保されている。
でも、今は機体の最終調整を行っている最中。邪魔しちゃいけないので、大人しくじっとしておく。
本当はもう少し早く、フェイズ3の段階でも出撃したかった。
だけど、調整が上手く行かずに、ずっとお留守番を強いられていた。
「問題児なんだから」
この子、雪華は本当に問題が多い機体だと思う。
特に問題になったのは動力の氷獄核。
今は落ち着いているけど、氷獄核は欠陥品。
あまりにも不安定で危ない。
そもそも雪華は動力である氷獄核の冷気を封印するために作られた機体。
ソロならまだしも集団戦でそんな機体を出すべきじゃないと思う。
でも、今はそんなこと言っている状況じゃない。
氷獄核の冷気が対Z戦において、重要な役割を果たす。
『Pリインの充填を開始します。そちらからも操作お願いします』
「はい」
デッチーさんから指示を受け、コンソールを操作する。
実はPリインはもう少し余裕があるそうだ。
装甲機関車、冷凍車、専用パッケージ、Pリイン、そして、投与を実行する精鋭部隊。
この一揃えを用意できたのが二セットだっただけらしい。
Pリインを収めるのは雪華のバックパック。
このバックパックはCSS製、並大抵の攻撃では傷一つ付かない。
バックパックには氷獄核の冷気をダイレクトに伝える仕組みが組み込まれているらしい。
氷獄核の冷気なら冷凍車無しでも、Pリインの効果維持が可能。
この機構によって、制限時間を気にせずに運搬できる。
『Pリインの充填完了しました。出力安定、モーションコントロールシステム正常稼働。雪華スタンバイ完了です』
やっと出撃準備が終わった。これで私も一緒に戦える。
スワロお兄さんのサポートはしていたけど、私も戦場に出て戦いたかった。
「アウラさん、出撃していいですか?」
『はい。いってらっしゃい』
「いってきます」
カタパルトデッキに移動、マイグラントから出撃する。
まずは地上に飛び降りずに、甲板に着地する。
ちょっと動かしただけだけど、改めて性能差を実感できた。
今まで乗ってきた剣闘機とはパワーが段違い。
少し踏み切っただけのつもりなのに、実際には大きく跳躍してしまう。
まだ剣闘機の感覚が抜け切れていない証拠。
シミュレーターで訓練しておいたけど、やっぱり実機とでは感覚が違う。
慣れるまでちょっと時間が掛かりそう。
地上に降りなかったのは、戦場全体の様子を目で確認するため。
闇雲に突撃しちゃダメ。いくらこの子が高性能でも、無数の敵に囲まれたら撃墜されてしまう。
どこから攻めればいいのか。それを見極める必要がある。
できるだけ敵が少なく、なおかつマザーまで距離が短いルートが理想になる。
戦場は水のように目まぐるしく形を変えている。
良さげなルートを見つけても、すぐに通れなくなってしまう
やっぱり空から行くのがベターなのかも。
雪華のスラスターはAドライブという推進装置を装備してあり、飛行を可能としている。
でも、まだ空中機動に慣れていないし、私にはヴィンディスのプラネットスキルはない。
Aドライブの推進力は剣闘機の推進装置と比べるのもおこがましいほどの差があり、制御に慣れていない。
訓練はしたけど、今も空中を縦横無尽に翔ける二人には大きく劣っている。
飛行個体を避けつつ、マザーに接近する自信はない。
地上ルートを通った方がまだ成功確率は高いと思う。
リスクが低い地上ルートを探していると、モニターに映し出されているマップに線が書き加えられていった。
私の操作じゃない。外部から、ヴェルリーナさんからのアクセスだった。
「これはなんですか?」
『このルートなら、ちょっとやそっとのことで封鎖されることはないわ』
彼女が形成したルートはかなり複雑。
地上と空を激しく行き来し、敵の陣形を隙間を潜り抜けていく。
私の頭じゃ丸一日かけても、このルートは見つけることはできなかったと思う。
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