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星海から訪れる侵略者
プロローグ 天上人の船の航路
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ここはミードコール号。
アベル&カインの企業が作り出した巨大宇宙船である。
その全長はベース22以上、一つの町に相当する。
この船の乗員はアベル&カインを捨てた者たち。
両星のカースト上位に位置していた者が多くを占めている。
その他はプレイヤーや軍人などの防衛戦力、企業が抱えている優秀な技術者もいた。
ミードコール号の一画にはプールがある。
そこでは男女がトロピカルジュースを飲みながら、プールサイドのデッキチェアで寝転がっていた。
その他にもカジノや劇場などの様々な娯楽施設も備えており、客を飽きさせることはない。
まさに誰もが羨むこの世の楽園と言えるだろう。
しかし、忘れてはならない。この楽園は数多の犠牲で成り立っていることを。
彼らがこのような生活をできるのは出発時、アベル&カインの物資を奪ったからなのだ。
でなければ、瞬く間に物資は不足していただろう。
彼らの暴挙により、アベル&カインは苦境に立たされている。
スワロたちの救援物資で最悪の事態は避けられたが、まだまだ予断は許されない状況だった。
彼らは物資を強奪したことに罪悪感などない。
それを当然のことだと思っている。
下層の人間が上層の人間に尽くすのは当然だと考えているのだ。
たとえ、それで命が尽きようとも。
船内に大きな振動が発生したのだ。
その異変に乗員たちはパニックを起こした、
その様に上流も下流もない。
どれだけ宝石などで着飾ろうと同じ人間なのだ。
「一体何が起こった?」
ミードコール号、制御室。
そこに豪奢な軍服を身に纏った男が飛び込んできた。
「デブリが高速で接近。右舷に激突しました」
「索敵は何をやっとるのだ」
「デブリはレーダーに反応しなかったみたいです」
「バリアはどうした?」
ヴィンヤード重工などアベル&カインを代表する企業が建造した船であるミードコール号には最新鋭の技術を導入されている。船体全面を覆うバリアもその一つだ。
研究段階でアルゲントゥムはおろか、戦艦にも搭載することは不可能、バリア発生装置はそれほど巨大だった。
その欠点も超巨大宇宙船であるミードコール号なら問題はない。
バリアはまだまだ未完成なため、燃費は最悪。普通ならば、おいそれと展開できる代物ではない。
しかし、彼らはAGリアクターの燃料である銀をアベル&カイン中から奪ってきたため、燃料には余裕があった。
「突破されました。スペック上では防げたはずなんですが」
そんなご自慢のバリアだが、デブリの衝突は防ぐことはできなかった。
「開発の連中がスペックを過剰申告してたんだろう。あとで抗議しておけ」
指揮官はそれを開発チームの過失だと判断したようだ。
「船体へのダメージはどうなっている?」
「デブリは右舷外装を貫通しましたが、損傷率は2%に留まっています。船内設備の維持に支障はありません。修理も可能です」
指揮官の緊張が解け、その顔に余裕が現れた。
「すでに来訪者たちに船内に侵入したデブリの撤去作業を命じています。それが終わり次第、修理を開始。一週間後には通常航行に戻れます」
「遅い。それでは客から文句が出る。五日で終わらせろ。人員を増やしても構わない」
「イエッサー!」
ミードコール号は移民船である。
その目的は新天地への移民だ。
辿り着いた星に知的生命体がいた場合、彼らはどうするのだろうか?
答えは簡単だ。彼らは侵略者となる。
自身を天上人だと自負している者たちが、他の星の住人と共存することなど到底不可能だ。
原住民と嘲笑い、躊躇なく土地を奪いに動くだろう。
アベル&カインの企業が作り出した巨大宇宙船である。
その全長はベース22以上、一つの町に相当する。
この船の乗員はアベル&カインを捨てた者たち。
両星のカースト上位に位置していた者が多くを占めている。
その他はプレイヤーや軍人などの防衛戦力、企業が抱えている優秀な技術者もいた。
ミードコール号の一画にはプールがある。
そこでは男女がトロピカルジュースを飲みながら、プールサイドのデッキチェアで寝転がっていた。
その他にもカジノや劇場などの様々な娯楽施設も備えており、客を飽きさせることはない。
まさに誰もが羨むこの世の楽園と言えるだろう。
しかし、忘れてはならない。この楽園は数多の犠牲で成り立っていることを。
彼らがこのような生活をできるのは出発時、アベル&カインの物資を奪ったからなのだ。
でなければ、瞬く間に物資は不足していただろう。
彼らの暴挙により、アベル&カインは苦境に立たされている。
スワロたちの救援物資で最悪の事態は避けられたが、まだまだ予断は許されない状況だった。
彼らは物資を強奪したことに罪悪感などない。
それを当然のことだと思っている。
下層の人間が上層の人間に尽くすのは当然だと考えているのだ。
たとえ、それで命が尽きようとも。
船内に大きな振動が発生したのだ。
その異変に乗員たちはパニックを起こした、
その様に上流も下流もない。
どれだけ宝石などで着飾ろうと同じ人間なのだ。
「一体何が起こった?」
ミードコール号、制御室。
そこに豪奢な軍服を身に纏った男が飛び込んできた。
「デブリが高速で接近。右舷に激突しました」
「索敵は何をやっとるのだ」
「デブリはレーダーに反応しなかったみたいです」
「バリアはどうした?」
ヴィンヤード重工などアベル&カインを代表する企業が建造した船であるミードコール号には最新鋭の技術を導入されている。船体全面を覆うバリアもその一つだ。
研究段階でアルゲントゥムはおろか、戦艦にも搭載することは不可能、バリア発生装置はそれほど巨大だった。
その欠点も超巨大宇宙船であるミードコール号なら問題はない。
バリアはまだまだ未完成なため、燃費は最悪。普通ならば、おいそれと展開できる代物ではない。
しかし、彼らはAGリアクターの燃料である銀をアベル&カイン中から奪ってきたため、燃料には余裕があった。
「突破されました。スペック上では防げたはずなんですが」
そんなご自慢のバリアだが、デブリの衝突は防ぐことはできなかった。
「開発の連中がスペックを過剰申告してたんだろう。あとで抗議しておけ」
指揮官はそれを開発チームの過失だと判断したようだ。
「船体へのダメージはどうなっている?」
「デブリは右舷外装を貫通しましたが、損傷率は2%に留まっています。船内設備の維持に支障はありません。修理も可能です」
指揮官の緊張が解け、その顔に余裕が現れた。
「すでに来訪者たちに船内に侵入したデブリの撤去作業を命じています。それが終わり次第、修理を開始。一週間後には通常航行に戻れます」
「遅い。それでは客から文句が出る。五日で終わらせろ。人員を増やしても構わない」
「イエッサー!」
ミードコール号は移民船である。
その目的は新天地への移民だ。
辿り着いた星に知的生命体がいた場合、彼らはどうするのだろうか?
答えは簡単だ。彼らは侵略者となる。
自身を天上人だと自負している者たちが、他の星の住人と共存することなど到底不可能だ。
原住民と嘲笑い、躊躇なく土地を奪いに動くだろう。
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