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絆と禁忌
町へ帰還
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「本当に大丈夫なのかにゃー?」
荷台がパンパンになっているため、運転席も人に溢れていた。
「大丈夫ですって。それじゃあ出発しますよ」
出力を上げていくが、なかなか浮上しない。
出力が90%に達すると、ようやく降下艇が浮き上がった。
そのまま高度を上げていき、移動を開始する。
霊峰上空に吹く暴風によって、降下艇は激しく揺れている。
「凄い揺れだわん!」
そういえば、過積載で揺れが行より酷くなることは伝えるのを忘れておいた。うっかりうっかり。
揺れが酷いだけで、バランスは崩れていない。
その揺れも霊峰を抜けると、だいぶマシになった。
不測の事態が起きない限り、墜落することはないだろう。
帰りのルートは国軍の基地を大きく迂回するルートを選択してある。
また追いかけられたら、面倒だし、装置が乗っているので無茶はしたくない。
というか、人を追い回せる戦力が残っているのなら、無駄な追跡なんてせずに、国境に戦力を回せよと思う。
飛行型機獣がいたら、もっと楽に戦えていた。
本当に国軍は頼りにならない。彼らに期待するのはとっくの昔にやめている。
ルートを選別したおかげで町に戻るまでの間、敵対者と遭遇することはなかった。
夜の闇に乗じて、こっそりとマイグラントに着艦する。
マイグラントではユラさんたちがログアウトせずに待っていてくれた。
にゃんこ同盟の副長であるオットンさんをはじめ、二つのクランのメンバーもいる。
ケルン製造装置とロボットを降ろすのは作業ロボに任せて、報告会を開くことにした。
僕も町での出来事を知りたい。
会議室に移動しようと思ったが、ウラノスが食堂で準備をしてくれているそうなので、そちらに移動する。
食堂に入ると、そこにはフライドポテトなどの軽食が並んでいた。
料理が得意な人が用意していてくれていたみたいだ。
ジュースも用意されていたが、お酒はない。
全員に飲み物が行き渡ったので、報告会を始める。
通信は傍受される危険があったため、現実での繋がりがある人にしか調査結果を伝わっていない。
僕が代表して結果を報告した。
タマさんかポチさんがやるべきだと思ったんだけど、彼らの言葉の語尾にはにゃーとわんが入るため、報告の邪魔だと判断されたせいだ。
「以上が遺跡で見つかった全てです」
僕からの報告は終了。
事前に纏めてもらったおかげでスムーズに進めることができた。
パイロット勢はロボット、メカニック勢はケルン製造装置は興味があるみたいだ。
今度はユラさん側。
町でも事件が起きていた。一度敵軍が再侵攻を仕掛けてきたらしい。
その時の敵軍の内訳を説明されたが、数は多くはなく、切り札であるはずのスコーピロイドもいなかったそうだ。
どう考えても、本気の侵攻ではない。退き際も鮮やかだったらしい。
十中八九、威力偵察だ。
共和国の目的はおそらく、紅霞やクージン、ツインフォースの情報だったんだろう。
あの三機によって、共和国の切り札であるスコーピロイドが撃墜されている。
他のスコーピロイドが二の舞にならないために情報を求めるのは当然だ。
こんなあからさまな意図、ユラさんや乳母さん、優秀なベテラン軍人さんたちが看破していないわけがない。
ユラさん抜きで侵攻を乗り切ったそうだ。
ユラさんたちが出なくても、領軍の機獣たちは毒から解放されていたから対応はできたみたいだ。
共和国の目的は紅霞などの情報だけではない。
本当に解毒剤を開発できたのか確かめる意味もあったんだろう。
もしかしたら、こっちが本命なのかも。
装置を手中に収めることができたが、それだけでは戦争は止まらない。
この情報を共和国に伝える必要がある。
掲示板を使い、プレイヤーを経由して共和国に伝える案も考えたんだけど、それだと信憑性に欠ける。
餅は餅屋。乳母さんに任せることにした。
ちょうど彼女はマイグラントの前まで来ている。
タイミングが良すぎるけど、たぶん、マイグラントを監視していたのだろう。
彼女と彼女の部下たちなら、誰にも気づかれることなく、艦を監視し続けることなんて余裕だったに違いない。
乳母さんをマイグラントの食堂に招き入れ、あのパイロットから得た遺跡の情報とそこから見つかったケルン製造装置とロボットの事を伝えた。
壁画は今は関係ないので、省いた。
乳母さんの反応だけど、思ったよりも薄かった。
僕らが何かを企んでいたことを彼女は勘づいていたみたいだ。
さすがにロボットとケルン製造装置は予想外だったようで、表情を変えていたけど。
荷台がパンパンになっているため、運転席も人に溢れていた。
「大丈夫ですって。それじゃあ出発しますよ」
出力を上げていくが、なかなか浮上しない。
出力が90%に達すると、ようやく降下艇が浮き上がった。
そのまま高度を上げていき、移動を開始する。
霊峰上空に吹く暴風によって、降下艇は激しく揺れている。
「凄い揺れだわん!」
そういえば、過積載で揺れが行より酷くなることは伝えるのを忘れておいた。うっかりうっかり。
揺れが酷いだけで、バランスは崩れていない。
その揺れも霊峰を抜けると、だいぶマシになった。
不測の事態が起きない限り、墜落することはないだろう。
帰りのルートは国軍の基地を大きく迂回するルートを選択してある。
また追いかけられたら、面倒だし、装置が乗っているので無茶はしたくない。
というか、人を追い回せる戦力が残っているのなら、無駄な追跡なんてせずに、国境に戦力を回せよと思う。
飛行型機獣がいたら、もっと楽に戦えていた。
本当に国軍は頼りにならない。彼らに期待するのはとっくの昔にやめている。
ルートを選別したおかげで町に戻るまでの間、敵対者と遭遇することはなかった。
夜の闇に乗じて、こっそりとマイグラントに着艦する。
マイグラントではユラさんたちがログアウトせずに待っていてくれた。
にゃんこ同盟の副長であるオットンさんをはじめ、二つのクランのメンバーもいる。
ケルン製造装置とロボットを降ろすのは作業ロボに任せて、報告会を開くことにした。
僕も町での出来事を知りたい。
会議室に移動しようと思ったが、ウラノスが食堂で準備をしてくれているそうなので、そちらに移動する。
食堂に入ると、そこにはフライドポテトなどの軽食が並んでいた。
料理が得意な人が用意していてくれていたみたいだ。
ジュースも用意されていたが、お酒はない。
全員に飲み物が行き渡ったので、報告会を始める。
通信は傍受される危険があったため、現実での繋がりがある人にしか調査結果を伝わっていない。
僕が代表して結果を報告した。
タマさんかポチさんがやるべきだと思ったんだけど、彼らの言葉の語尾にはにゃーとわんが入るため、報告の邪魔だと判断されたせいだ。
「以上が遺跡で見つかった全てです」
僕からの報告は終了。
事前に纏めてもらったおかげでスムーズに進めることができた。
パイロット勢はロボット、メカニック勢はケルン製造装置は興味があるみたいだ。
今度はユラさん側。
町でも事件が起きていた。一度敵軍が再侵攻を仕掛けてきたらしい。
その時の敵軍の内訳を説明されたが、数は多くはなく、切り札であるはずのスコーピロイドもいなかったそうだ。
どう考えても、本気の侵攻ではない。退き際も鮮やかだったらしい。
十中八九、威力偵察だ。
共和国の目的はおそらく、紅霞やクージン、ツインフォースの情報だったんだろう。
あの三機によって、共和国の切り札であるスコーピロイドが撃墜されている。
他のスコーピロイドが二の舞にならないために情報を求めるのは当然だ。
こんなあからさまな意図、ユラさんや乳母さん、優秀なベテラン軍人さんたちが看破していないわけがない。
ユラさん抜きで侵攻を乗り切ったそうだ。
ユラさんたちが出なくても、領軍の機獣たちは毒から解放されていたから対応はできたみたいだ。
共和国の目的は紅霞などの情報だけではない。
本当に解毒剤を開発できたのか確かめる意味もあったんだろう。
もしかしたら、こっちが本命なのかも。
装置を手中に収めることができたが、それだけでは戦争は止まらない。
この情報を共和国に伝える必要がある。
掲示板を使い、プレイヤーを経由して共和国に伝える案も考えたんだけど、それだと信憑性に欠ける。
餅は餅屋。乳母さんに任せることにした。
ちょうど彼女はマイグラントの前まで来ている。
タイミングが良すぎるけど、たぶん、マイグラントを監視していたのだろう。
彼女と彼女の部下たちなら、誰にも気づかれることなく、艦を監視し続けることなんて余裕だったに違いない。
乳母さんをマイグラントの食堂に招き入れ、あのパイロットから得た遺跡の情報とそこから見つかったケルン製造装置とロボットの事を伝えた。
壁画は今は関係ないので、省いた。
乳母さんの反応だけど、思ったよりも薄かった。
僕らが何かを企んでいたことを彼女は勘づいていたみたいだ。
さすがにロボットとケルン製造装置は予想外だったようで、表情を変えていたけど。
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