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滅びし水晶の惑星
結石の使い道
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人々の生活を支えている民間のAGリアクターが停止しているため、各地で停電が起きており、病院も機能を停止。
粒子に冒された病人の治療もままならないそうだ。
粒子は即死級の毒性は持っていないみたいだが、治療せずに放置していればどうなるか分からない。
さらに物流も崩壊しているらしい。
車両運搬具にも銀を使用しているからだ。
輸送が滞っているため、食糧難も発生しているそうだ。
銀への依存度が高い両惑星の文明は崩壊の危機に瀕している。
そんな危機的状況にあるにもかかわらず、両星の政府を戦争を継続するつもりらしい。
数少ない正常な銀を軍に回しているそうだ。
相手側が所持するネオシルバーを奪い取れば、全てが解決すると思っているのだろう。
軍はどうでもいいけど、民間人はどうにかしてあげたい。
ヴィンディスの技術はアベル&カインほど銀への依存度が高くない。
エネルギー問題の解決とまでは行かないけど、多少マシにすることはできる。
カプセルに技術データを積めて、両星に向けて射出しようと思ったんだけど、ユラさんに止められてしまった。
彼女が危惧したのは誰が受け取るかどうか分からないことだった。
もし、政府が受け取ったら最悪だ。今のアベル&カインの情勢を考えると、ほぼ間違いなく軍事転用されるだろう。
民間でも軍事企業はNG。
あそこも軍事転用する。
アベル&カインにおいて、軍事企業は政府も無視できない程の強い力を持っている。
彼らにとって、戦争はビジネスなのだ。
どの組織が手に入れたとしても、軍事転用されるのは避けられない。
それは仕方のないことかもしれない。問題なのは、そちらを優先されることだ。
体制を立て直す前に、戦争が激化してしまえば、アベル&カインは取り返しのつかない事態に陥ってしまう。
今のアベル&カインは戦争に耐えられる状況ではないのだ。
結局、アベル&カインを信じて、見て見ぬふりをするしかなかった。
アベル&カインを迂回したため、大きく時間をロスしてしまった。
イドまであとどれぐらいだろう?
ピギに確かめてみたが、彼もどれぐらいか分からないそうだ。
でも、少しずつだけど、近づいてはいるらしい。
アベル&カインを迂回し、元の進行ルートに戻った時、本の結石についての記述の解読が終了した。
まだ未解読の部分も残ってはいるが、結石をどう使うのかは判明した。
シルレーラの結石には風を純粋なエネルギーに変換できる力があるそうだ。
風力発電も風を電力に変換しているが、効率は桁違いらしい。
風力発電は風でタービンを回して、発電しているため、大きなロスがあるのに対して、結石は直接エネルギーに変換することができるそうだ。
レガロ博士は結石を活用した動力機関をハイウィンド機関と命名している。
ハイウィンド機関は元々シルフィードのために開発された。
シルレーラの魂を解放した後、当然シルフィードは起動不可能になる。
レガロ博士はシルレーラの魂に代わる新たな動力源として研究していたそうだ。
成否は今のヴィンディスを見れば、分かる。研究は頓挫したのだ。
結石はシルレーラにしか作れないため、シルレーラの協力なしでは研究できない。
その協力が得られなかったそうだ。
理由はシルレーラの魂を解放するという約束を破ったことにある。
裏切者に力を貸すわけがない。
シルレーラの結石はそのままじゃ使えない。
精製する必要がある。本にはその手順が細かく書かれていた。
これがまた大変なのだ。
暇そうにしていたコネコが任せることにした。
彼になら安心して任せることができる。
◇コネコ視点
「スワロの奴め」
ミュージアムで創作活動に勤しんでいたら、部屋から引きずり出され、結石と紙の束を押し付けられた。
紙の束はシルレーラが寄越した本の解読結果の一部で、結石の精製方法が書かれていた。
「あんな生活をしていたんですから当たり前です」
「彫刻をしていただけだぞ」
参号はスワロの味方だった。
ここ数日は部屋に篭って、彫刻をしていただけなのに。
「脱水で死にかけたからです」
それを指摘されたら痛い。
参号がメンテナンスで私の傍から離れている時のことだ。
水を飲むのを忘れるほど、制作に没頭した結果、脱水で倒れてしまった。
私の中ではよくあることなのだ。
現実でも脱水や栄養失調で倒れたことがある。
「それでは始めるか」
「ラジャー!」
助手は勿論、参号だ。
参号は現実にも来てほしいぐらい優秀だった。
精製は結石を融かすことから始まる。
巨大な寸胴鍋とコンロ、温度計を拾号から借りてきた。
切断しても大丈夫そうだったから、鍋に入るサイズに切り出した。
結石は硬くはなく、簡単に切り出すことができた。
粒子に冒された病人の治療もままならないそうだ。
粒子は即死級の毒性は持っていないみたいだが、治療せずに放置していればどうなるか分からない。
さらに物流も崩壊しているらしい。
車両運搬具にも銀を使用しているからだ。
輸送が滞っているため、食糧難も発生しているそうだ。
銀への依存度が高い両惑星の文明は崩壊の危機に瀕している。
そんな危機的状況にあるにもかかわらず、両星の政府を戦争を継続するつもりらしい。
数少ない正常な銀を軍に回しているそうだ。
相手側が所持するネオシルバーを奪い取れば、全てが解決すると思っているのだろう。
軍はどうでもいいけど、民間人はどうにかしてあげたい。
ヴィンディスの技術はアベル&カインほど銀への依存度が高くない。
エネルギー問題の解決とまでは行かないけど、多少マシにすることはできる。
カプセルに技術データを積めて、両星に向けて射出しようと思ったんだけど、ユラさんに止められてしまった。
彼女が危惧したのは誰が受け取るかどうか分からないことだった。
もし、政府が受け取ったら最悪だ。今のアベル&カインの情勢を考えると、ほぼ間違いなく軍事転用されるだろう。
民間でも軍事企業はNG。
あそこも軍事転用する。
アベル&カインにおいて、軍事企業は政府も無視できない程の強い力を持っている。
彼らにとって、戦争はビジネスなのだ。
どの組織が手に入れたとしても、軍事転用されるのは避けられない。
それは仕方のないことかもしれない。問題なのは、そちらを優先されることだ。
体制を立て直す前に、戦争が激化してしまえば、アベル&カインは取り返しのつかない事態に陥ってしまう。
今のアベル&カインは戦争に耐えられる状況ではないのだ。
結局、アベル&カインを信じて、見て見ぬふりをするしかなかった。
アベル&カインを迂回したため、大きく時間をロスしてしまった。
イドまであとどれぐらいだろう?
ピギに確かめてみたが、彼もどれぐらいか分からないそうだ。
でも、少しずつだけど、近づいてはいるらしい。
アベル&カインを迂回し、元の進行ルートに戻った時、本の結石についての記述の解読が終了した。
まだ未解読の部分も残ってはいるが、結石をどう使うのかは判明した。
シルレーラの結石には風を純粋なエネルギーに変換できる力があるそうだ。
風力発電も風を電力に変換しているが、効率は桁違いらしい。
風力発電は風でタービンを回して、発電しているため、大きなロスがあるのに対して、結石は直接エネルギーに変換することができるそうだ。
レガロ博士は結石を活用した動力機関をハイウィンド機関と命名している。
ハイウィンド機関は元々シルフィードのために開発された。
シルレーラの魂を解放した後、当然シルフィードは起動不可能になる。
レガロ博士はシルレーラの魂に代わる新たな動力源として研究していたそうだ。
成否は今のヴィンディスを見れば、分かる。研究は頓挫したのだ。
結石はシルレーラにしか作れないため、シルレーラの協力なしでは研究できない。
その協力が得られなかったそうだ。
理由はシルレーラの魂を解放するという約束を破ったことにある。
裏切者に力を貸すわけがない。
シルレーラの結石はそのままじゃ使えない。
精製する必要がある。本にはその手順が細かく書かれていた。
これがまた大変なのだ。
暇そうにしていたコネコが任せることにした。
彼になら安心して任せることができる。
◇コネコ視点
「スワロの奴め」
ミュージアムで創作活動に勤しんでいたら、部屋から引きずり出され、結石と紙の束を押し付けられた。
紙の束はシルレーラが寄越した本の解読結果の一部で、結石の精製方法が書かれていた。
「あんな生活をしていたんですから当たり前です」
「彫刻をしていただけだぞ」
参号はスワロの味方だった。
ここ数日は部屋に篭って、彫刻をしていただけなのに。
「脱水で死にかけたからです」
それを指摘されたら痛い。
参号がメンテナンスで私の傍から離れている時のことだ。
水を飲むのを忘れるほど、制作に没頭した結果、脱水で倒れてしまった。
私の中ではよくあることなのだ。
現実でも脱水や栄養失調で倒れたことがある。
「それでは始めるか」
「ラジャー!」
助手は勿論、参号だ。
参号は現実にも来てほしいぐらい優秀だった。
精製は結石を融かすことから始まる。
巨大な寸胴鍋とコンロ、温度計を拾号から借りてきた。
切断しても大丈夫そうだったから、鍋に入るサイズに切り出した。
結石は硬くはなく、簡単に切り出すことができた。
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