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風吹く星よ
RFデータ
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半分ほどが終わったところで、通信が遮断されてしまった。
どうやら気付かれたようだ。
「遅すぎだよね」
コンピューターを操作し、再び接続する。
こうなることぐらい読んでいた。
遮断されても、再びアクセスできるようにバックドア、裏口を作っておいたのだ。
しばらくすると、通信が再び遮断されたが、バックドアはまだまだ用意してある。
何度も塞がれたが、研究所が塞ぐペースよりも僕が開けるペースの方が早い。
その方法じゃ、僕の侵入は阻止できない。
「おっ。次はそう来たか」
研究所側はコンピューターをシャットダウンしようしていた。
だけど、シャットダウンを制御している電源制御プログラムはすでに僕の手中にある。
「まだダウンロードは終わっていないんだ。そんなことは許さないよ」
命令をキャンセルし、シャットダウンを阻止する。
コンピューターへの給電を止めるなどの物理的な停止は防ぎようがないが、シャットダウンせずにコンピューターの電源を切ってしまうと、運が悪ければ、中のデータが破損する危険がある。
壊れたら困る重要データが多い研究所では、それを選択するのは憚れるはずだ。
しばらく、僕と研究所の攻防は続いたが、それは突如、終わりを迎えた。
通信が完全に止まってしまった。
何度かトライしてみたが、もう繋げそうにない。
どうやら、物理的に遮断されたみたいだ。
状況から判断すると、おそらく、アンテナを壊したんだろう。
最初からそうすればいいのに。判断が遅すぎる。
作業ロボに仕掛けられていた送受信アンテナ10。爆弾10。
奪った数々のデータ。
これらは慰謝料として貰っておく。
人に危害を与えたのだから、当然の罰だ。
少し足りないけど、これぐらいで勘弁してあげよう。
コンピューターの分野で僕は誰にも負けるつもりはない。
これに懲りて、二度と同じことをしないことだ。
また同じことをしてきたら、コンピューターウィルスを流し込んでやる。
目的のデータは全てダウンロード出来ていない。
九割で終わっていた。
だけど、優先順位を決めて、ダウンロードしたから、重要なデータは全部頂いている。
ダウンロードできなかった残りの一割はあってもなくても困らないデータだから、別に良かった。
残念ながら、ダウンロードしたデータに統合軍の最新鋭機の設計図はなかった。
あの研究所はあくまで支部。おそらく、本部にあるんだろう。
だけど、ウィルフレッドの設計図は入手に成功している。
これさえあれば、統合軍以外でもウィルフレッドを製造できる。
横流ししておこう。
最新鋭機本体の設計図は見つからなかったが、それに使われている姿勢制御バランサーの設計図はあった。
既存のバランサーと性能は大きな差はない。
だけど、重量とサイズが半分になっている。
ファルシュの総重量の中でバランサーは多くを占めている。
これをファルシュに使用すれば、機動力が上がるし、軽くなった重量の分、装甲を厚くすることもできる。
新型バランサーは有用だけどその分、構造が複雑で一つ作るのに時間が掛かりそうだ。
そのため、統合軍も量産体制を整えていないみたいだった。
しばらくはウィルフレッドが主戦力のままだと思う。
バランサーの設計図も横流ししておこう。
最優先でダウンロードしていたデータの一つにRFデータがある。
RF。レヴォリューション・フォース。つまり革命軍のことだ。
革命軍に参加していたプレイヤーは追放されたが、彼らが研究していた技術は残っている。
だけど、いつの間にか行方不明になっていた。
ここにあるということは、統合軍が持ち出していたようだ。
研究のほとんどは途中で終わっており、未完成の状態だった。
完成する前に、追放されたんだから仕方がない。
この中には野菜軍が研究していた技術もある。
オニオンさんたちはこれをずっと探していたらしい。
野菜軍から抜ける時、大概の技術は持ち出せたそうだが、全てではなかったらしい。
野菜軍が研究していた技術はルナイツの強化に繋がる技術だった。
面白い技術だけど、僕らの機体には不採用かな。
フレスヴェルグにも採用できない。
ルナイツぐらいにしか有効活用できない技術だった。
早速、オニオンさんに報告しよう。
デバイスで彼に通信を繋いだ。
「もしもし、オニオンさん。今大丈夫ですか?」
『どうしました?』
「RFデータを見つけました」
『本当ですか!』
声だけだが、喜びに満ち溢れているのが分かる。
不正な手段で手に入れたデータだし、元々オニオンさんたちの物だ。
タダでも構わなかったけど、オニオンさんは代価を約束してくれた。
お金はもういらないから、金属を融通してもらう。
金属は幾らあっても困らない。特に欲しいのは鉄だ。
最近、金属は手に入りにくい。
原因は工場建設とフレスヴェルグにある。
建材として大量の金属を買い漁ったため、品薄になっているのだ。
工場はもう完成しているから、いずれ品薄状態から回復するが、それにはもう少し時間が掛かる。
早く元に戻らないかな。
どうやら気付かれたようだ。
「遅すぎだよね」
コンピューターを操作し、再び接続する。
こうなることぐらい読んでいた。
遮断されても、再びアクセスできるようにバックドア、裏口を作っておいたのだ。
しばらくすると、通信が再び遮断されたが、バックドアはまだまだ用意してある。
何度も塞がれたが、研究所が塞ぐペースよりも僕が開けるペースの方が早い。
その方法じゃ、僕の侵入は阻止できない。
「おっ。次はそう来たか」
研究所側はコンピューターをシャットダウンしようしていた。
だけど、シャットダウンを制御している電源制御プログラムはすでに僕の手中にある。
「まだダウンロードは終わっていないんだ。そんなことは許さないよ」
命令をキャンセルし、シャットダウンを阻止する。
コンピューターへの給電を止めるなどの物理的な停止は防ぎようがないが、シャットダウンせずにコンピューターの電源を切ってしまうと、運が悪ければ、中のデータが破損する危険がある。
壊れたら困る重要データが多い研究所では、それを選択するのは憚れるはずだ。
しばらく、僕と研究所の攻防は続いたが、それは突如、終わりを迎えた。
通信が完全に止まってしまった。
何度かトライしてみたが、もう繋げそうにない。
どうやら、物理的に遮断されたみたいだ。
状況から判断すると、おそらく、アンテナを壊したんだろう。
最初からそうすればいいのに。判断が遅すぎる。
作業ロボに仕掛けられていた送受信アンテナ10。爆弾10。
奪った数々のデータ。
これらは慰謝料として貰っておく。
人に危害を与えたのだから、当然の罰だ。
少し足りないけど、これぐらいで勘弁してあげよう。
コンピューターの分野で僕は誰にも負けるつもりはない。
これに懲りて、二度と同じことをしないことだ。
また同じことをしてきたら、コンピューターウィルスを流し込んでやる。
目的のデータは全てダウンロード出来ていない。
九割で終わっていた。
だけど、優先順位を決めて、ダウンロードしたから、重要なデータは全部頂いている。
ダウンロードできなかった残りの一割はあってもなくても困らないデータだから、別に良かった。
残念ながら、ダウンロードしたデータに統合軍の最新鋭機の設計図はなかった。
あの研究所はあくまで支部。おそらく、本部にあるんだろう。
だけど、ウィルフレッドの設計図は入手に成功している。
これさえあれば、統合軍以外でもウィルフレッドを製造できる。
横流ししておこう。
最新鋭機本体の設計図は見つからなかったが、それに使われている姿勢制御バランサーの設計図はあった。
既存のバランサーと性能は大きな差はない。
だけど、重量とサイズが半分になっている。
ファルシュの総重量の中でバランサーは多くを占めている。
これをファルシュに使用すれば、機動力が上がるし、軽くなった重量の分、装甲を厚くすることもできる。
新型バランサーは有用だけどその分、構造が複雑で一つ作るのに時間が掛かりそうだ。
そのため、統合軍も量産体制を整えていないみたいだった。
しばらくはウィルフレッドが主戦力のままだと思う。
バランサーの設計図も横流ししておこう。
最優先でダウンロードしていたデータの一つにRFデータがある。
RF。レヴォリューション・フォース。つまり革命軍のことだ。
革命軍に参加していたプレイヤーは追放されたが、彼らが研究していた技術は残っている。
だけど、いつの間にか行方不明になっていた。
ここにあるということは、統合軍が持ち出していたようだ。
研究のほとんどは途中で終わっており、未完成の状態だった。
完成する前に、追放されたんだから仕方がない。
この中には野菜軍が研究していた技術もある。
オニオンさんたちはこれをずっと探していたらしい。
野菜軍から抜ける時、大概の技術は持ち出せたそうだが、全てではなかったらしい。
野菜軍が研究していた技術はルナイツの強化に繋がる技術だった。
面白い技術だけど、僕らの機体には不採用かな。
フレスヴェルグにも採用できない。
ルナイツぐらいにしか有効活用できない技術だった。
早速、オニオンさんに報告しよう。
デバイスで彼に通信を繋いだ。
「もしもし、オニオンさん。今大丈夫ですか?」
『どうしました?』
「RFデータを見つけました」
『本当ですか!』
声だけだが、喜びに満ち溢れているのが分かる。
不正な手段で手に入れたデータだし、元々オニオンさんたちの物だ。
タダでも構わなかったけど、オニオンさんは代価を約束してくれた。
お金はもういらないから、金属を融通してもらう。
金属は幾らあっても困らない。特に欲しいのは鉄だ。
最近、金属は手に入りにくい。
原因は工場建設とフレスヴェルグにある。
建材として大量の金属を買い漁ったため、品薄になっているのだ。
工場はもう完成しているから、いずれ品薄状態から回復するが、それにはもう少し時間が掛かる。
早く元に戻らないかな。
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