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霧の魔
活性丹
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『あたしも攻めた方がいいと思う』
ユラさんも継続派だった。
彼女も違った考えから継続を選んだ。
彼女が注目したのは時間だ。
一度撤退すると、確かに態勢を整えられるが、それは向こうも同じ。
敵に時間を与えることの危険。
そもそも装置が修復不可能と考えるのも早計。ユラさんは装置に修復能力を持っていると考えていた。
今のところ三人が攻めることを望んでいる。
僕も同意見だったりする。僕の理由はユラさんの考えに近い。奴らに時間を与えるのは危険すぎる。
『スワロ君。君はどう思う?』
「僕も攻めるべきだと思います。絶対にそうするべきです」
『何か気づいたことでもあるのかい?』
「はい」
僕が気になったこととは、飛行種のことだ。
戦闘開始時、飛行種はいなかった。
僕はそれを見逃していただけだと思っていた。
でも、戦闘開始から飛行種出現までの全ての映像を細かくチェックしてみたが、どこにもいなかった。
つまり、飛行種はミディアムスケールがこの戦闘中にファルシュに対応するために進化した物だった。
戦闘開始から進化までに掛かった時間はごく僅か。10分程度だ。
さらに進化した個体は今のところ確認されていないが、時間を与えれば、現れる可能性がある。
推測だけど、蛇が進化するのにはBSゴルゴンからの何かしらの干渉が必要なようだ。
ログを確認すると、それらしき行動を発見した。
飛行種が出現する直前、BSゴルゴンの目が肉眼では判別できない速度で点滅していて、そこからは生命力に似たエネルギーを放出し、蛇に浴びせているようだった。
判明したのはガーディフォースの生命力レーダーがおかげだ。
他の観測装置には何も反応していなかった。
距離が離れているし、似ているだけで生命力とは別種の物だったため、反応が微弱で、ログをちゃんと確認するまで気づくことができなかった。
おそらく、蛇に進化するのに必要なエネルギーを与えて、進化を促していたんだと思う。
幸い、進化エネルギーの放射は連発できないようだ。
もしできるのならば、すでに数多の新種が現れているはずだ。
BSゴルゴンに時間を与えてはならない。
一度撤退すると、その間に蛇は進化を重ね、手が付けられないレベルの個体が出現する危険がある。
飛行可能なラージスケールや分裂蛇などが現れたら、僕らだけで対応は不可能だ。
そうならないうちに叩くべきだ。
このデータにより、王立研究所は継続派に鞍替え。
ランサー小隊は全会一致で続行を支持。
それがシフさんの背中を押した。
『作戦は継続だ。奴を破壊せよ』
「了解」
シフさんが攻撃続行の決断を下した。
撤退を意識して、後退していた者は再び前線に戻り、前線に留まっていた者はさらに前に出る。
『よし。舎弟ども!今戻るぞ!』
修理が完了したバンチョーが施設から飛び出していった。
僕も続こう。
「僕も行きます。ここは任せました」
『了解。お気をつけて』
施設の防衛はウィルフレッド部隊に任せて、僕も最前線に行こう。
もう吸い取る君を守る必要はないので、抜けても大丈夫だ。
まだメカニックが残っているけど、吸い取る君が止まっているため、蛇が引き寄せられることもなくなるはず。
ウィルフレッドだけでも十分守り切れるはずだ。
機関砲の操作は続けるつもりなので、僕がいなくても問題はない。それに彼女もいる。
「コミツさん。FA4をよろしくお願いします」
『支援は任せてください』
乗り手がいなくなったFA4を遊ばせておくのは勿体なかったので、コミツさんに貸している。
はにーさんほどじゃないが、彼女もなかなかの腕前だった。
今はメカニックに専念しているが、蜜蜂騎兵団が結成される前はパイロットと兼業していたそうだ。
ブランクはあるみたいだけど、後方支援に徹するから、撃墜されることはないだろう。
『スワロ君。早く来て』
「ごめん。すぐ行く」
みんなはすでに前線に向かっているのに、僕だけ出遅れていた。
一番足が遅いフォートレスよりも後ろにいる。
早く合流しよう。
「そろそろ飲んでおくか」
ポケットに入れたままにしていたアイテムを取り出す。
とっておきのアイテムだ。
色はピンクで丸いお団子のような形をしている。これは活性丹。練成で作成したアイテムである。
これを飲むと、生命力の回復速度が一時的に上昇する。効果時間は一時間。
その代わり、副作用が強く、効果が切れると、今度は回復速度が三日間大きく低下してしまう。
口に含み、飲み込める大きさまでかみ砕くと、味わわずに飲み込んだ。
解毒剤ほどじゃないけど、活性丹は結構不味い。苦くはないが、変な甘さのせいで、吐き出しそうになる。
用意しておいた水で、胃の中まで流し込んだ。
回復速度が上がれば、生命力の枯渇の危険性は少なくなって、ブースターの限界値を上げることができる。
ブースターの設定を書き換えて、出力の最大値を上げる。
早速、ブースターを使用し、前線まで行こう。
ガーディフォースはこれまでの限界を超えた速度まで加速する。
こんな出力を出したら、生命力がすぐに枯渇してしまったが、活性丹を飲んだ今ならその心配はない。
ユラさんも継続派だった。
彼女も違った考えから継続を選んだ。
彼女が注目したのは時間だ。
一度撤退すると、確かに態勢を整えられるが、それは向こうも同じ。
敵に時間を与えることの危険。
そもそも装置が修復不可能と考えるのも早計。ユラさんは装置に修復能力を持っていると考えていた。
今のところ三人が攻めることを望んでいる。
僕も同意見だったりする。僕の理由はユラさんの考えに近い。奴らに時間を与えるのは危険すぎる。
『スワロ君。君はどう思う?』
「僕も攻めるべきだと思います。絶対にそうするべきです」
『何か気づいたことでもあるのかい?』
「はい」
僕が気になったこととは、飛行種のことだ。
戦闘開始時、飛行種はいなかった。
僕はそれを見逃していただけだと思っていた。
でも、戦闘開始から飛行種出現までの全ての映像を細かくチェックしてみたが、どこにもいなかった。
つまり、飛行種はミディアムスケールがこの戦闘中にファルシュに対応するために進化した物だった。
戦闘開始から進化までに掛かった時間はごく僅か。10分程度だ。
さらに進化した個体は今のところ確認されていないが、時間を与えれば、現れる可能性がある。
推測だけど、蛇が進化するのにはBSゴルゴンからの何かしらの干渉が必要なようだ。
ログを確認すると、それらしき行動を発見した。
飛行種が出現する直前、BSゴルゴンの目が肉眼では判別できない速度で点滅していて、そこからは生命力に似たエネルギーを放出し、蛇に浴びせているようだった。
判明したのはガーディフォースの生命力レーダーがおかげだ。
他の観測装置には何も反応していなかった。
距離が離れているし、似ているだけで生命力とは別種の物だったため、反応が微弱で、ログをちゃんと確認するまで気づくことができなかった。
おそらく、蛇に進化するのに必要なエネルギーを与えて、進化を促していたんだと思う。
幸い、進化エネルギーの放射は連発できないようだ。
もしできるのならば、すでに数多の新種が現れているはずだ。
BSゴルゴンに時間を与えてはならない。
一度撤退すると、その間に蛇は進化を重ね、手が付けられないレベルの個体が出現する危険がある。
飛行可能なラージスケールや分裂蛇などが現れたら、僕らだけで対応は不可能だ。
そうならないうちに叩くべきだ。
このデータにより、王立研究所は継続派に鞍替え。
ランサー小隊は全会一致で続行を支持。
それがシフさんの背中を押した。
『作戦は継続だ。奴を破壊せよ』
「了解」
シフさんが攻撃続行の決断を下した。
撤退を意識して、後退していた者は再び前線に戻り、前線に留まっていた者はさらに前に出る。
『よし。舎弟ども!今戻るぞ!』
修理が完了したバンチョーが施設から飛び出していった。
僕も続こう。
「僕も行きます。ここは任せました」
『了解。お気をつけて』
施設の防衛はウィルフレッド部隊に任せて、僕も最前線に行こう。
もう吸い取る君を守る必要はないので、抜けても大丈夫だ。
まだメカニックが残っているけど、吸い取る君が止まっているため、蛇が引き寄せられることもなくなるはず。
ウィルフレッドだけでも十分守り切れるはずだ。
機関砲の操作は続けるつもりなので、僕がいなくても問題はない。それに彼女もいる。
「コミツさん。FA4をよろしくお願いします」
『支援は任せてください』
乗り手がいなくなったFA4を遊ばせておくのは勿体なかったので、コミツさんに貸している。
はにーさんほどじゃないが、彼女もなかなかの腕前だった。
今はメカニックに専念しているが、蜜蜂騎兵団が結成される前はパイロットと兼業していたそうだ。
ブランクはあるみたいだけど、後方支援に徹するから、撃墜されることはないだろう。
『スワロ君。早く来て』
「ごめん。すぐ行く」
みんなはすでに前線に向かっているのに、僕だけ出遅れていた。
一番足が遅いフォートレスよりも後ろにいる。
早く合流しよう。
「そろそろ飲んでおくか」
ポケットに入れたままにしていたアイテムを取り出す。
とっておきのアイテムだ。
色はピンクで丸いお団子のような形をしている。これは活性丹。練成で作成したアイテムである。
これを飲むと、生命力の回復速度が一時的に上昇する。効果時間は一時間。
その代わり、副作用が強く、効果が切れると、今度は回復速度が三日間大きく低下してしまう。
口に含み、飲み込める大きさまでかみ砕くと、味わわずに飲み込んだ。
解毒剤ほどじゃないけど、活性丹は結構不味い。苦くはないが、変な甘さのせいで、吐き出しそうになる。
用意しておいた水で、胃の中まで流し込んだ。
回復速度が上がれば、生命力の枯渇の危険性は少なくなって、ブースターの限界値を上げることができる。
ブースターの設定を書き換えて、出力の最大値を上げる。
早速、ブースターを使用し、前線まで行こう。
ガーディフォースはこれまでの限界を超えた速度まで加速する。
こんな出力を出したら、生命力がすぐに枯渇してしまったが、活性丹を飲んだ今ならその心配はない。
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