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祭りだ!大騒ぎだ

楽しまない奴らは損をする

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 祝賀会を楽しんでいると、記念メダルというアイテムが贈られてきた。
これは大会の参加者全員に配布されているらしく、これと交換で鉄などのアイテムと交換できる。
大会で消耗した物の補填だろう。


「足りないな」

 これ一枚で交換できる量じゃ計算しなくても赤字になることが分かる。
覚悟していたので大してショックは受けていない。やりたいことを全部できて滅茶苦茶楽しかったし。
 そう思っていたら、プラス30枚贈られてきた。
なんかベストバウト賞を受賞したらしい。


 1枚だと赤字になるが、31枚あれば黒字だ。
楽しかった上に利益が出るなんて、とてもツイている。
 メダルで交換できる物を確認していたら、僕の前にもトロフィーが出現した。

「なにそれ?」
「わかんない。ちょっと待って台座になんか書いてある。えっと大会MVP?」
「はあ?」

 目を擦って何度も確認した。そこには確かに大会MVPと書かれている。


「どうしよう?」
「ええええええええええ!」

 会場にいるほぼ全員が驚愕の叫びを上げた。
一回勝っただけなのに大会MVPになるなんて。


 トロフィーの効果はコネコが持っている物とほぼ同じだった。
共通の物が多いけど、交換できる物に僅かに違いがある。
 コネコのトロフィーは生産職に有用なように、素材が多く手に入る。
僕の方は戦闘職のための物。武装の設計図などが多かった。
 何と交換するのが一番良いのかすぐには判断できない。
景品の種類が多すぎる。今度落ち着いて考えよう。 


『お祭り終了まで残り一時間を切りました。ここでエンジョイポイントについて説明します』

 突如新要素が発表された。
エンジョイポイントはお祭りでの行動によって加算されており、それを様々な物と交換できそうだ。
 僕は15000ある。これは多いのかな。
 アローさんに聞いてみると、彼女は14000。
彼女だけではなくお祭り期間中、ほぼ一緒に居た五人にポイントの差は少なかった。


 1000ポイントの差は大会の参加で付いた。
大会参加で200、ベストバウトで300、MVPで500だ。MVPなのに低い。これって大会しか参加してないプレイヤーは全然貰えないんじゃないかな。
 ポイントの内訳を見てみると、大会関連のポイントは低かったが、他のエリアで出来ることはポイントが高かった。
例えば、観覧車に乗っただけで500ポイント、屋台の出店で1000ポイント入手できていた。


 一万を超えたのは工場の破壊と爆弾処理のおかげだ。
どちらも5000ポイント入手できている。
爆弾処理の時いなかったコネコは11000。それでもコンクールの大賞のポイントが高く、一万を超えたみたいだ。
一万越えは少ないようで、にゃんこ同盟の中ではタマさんを始め数匹しかいないみたいだ。


 一万越えをしている全員にお祭り王という称号が付与されている。
効果は景品リストの追加。
他の人のより、交換できる種類が充実するそうだ。


 早速見てみると、Dクロスがあった。
リストの中で一番良い物かもしれない。プレイヤー自身の強化アイテムは貴重なのだ。
必要ポイントは一万。
一万越えをしている面々の多くはこれを選んだけど、僕は持っているからいらない。


 というかリストにあるのは持っているアイテムだらけだ。
溶鉱炉とかコンピューターとか。
もっと前なら迷わず選んだのに。
 リストをスクロールし続け、良い物を探す。
おっ!これなんかいいね。


 それはバイオテク装置だ。
これがあれば、生体金属の研究ができる。
 ライフクリスタル、ジャンクスターの技術と相性がいいのは生体金属だ。
だけど、ブルーアイアンアントの甲殻しか持っていない。
ライフクリスタルと組み合わせることで、無限に採取できているが、一度に採取できる量はとても少なく、貯めておいた物はFA3のハルバードの刃を作るのに大半を使用し、残りも関節部に使用したためオリジナル以外はもう残っていなかった。


 全身を生体金属にすれば、自己修復能力を持った機体が作れるが、今のままでは量が全然足りない。
バイオテク装置があれば、それが解決するかもしれない。
ブルーアイアンアントの甲殻を強化できる可能性もある。
 バイオテク装置は一万で入手できた。
残りは5000、何にしよう?


 結局素材にした。ヴィンディスでは手に入りにくい物を中心に選んだ。
まだ1000残っている。これはSPPにしておいた。200でSPP1に交換できた。
 交換は終わった。いい買い物でした。
あとはお祭りが終了するまで待つだけ。
待たなくてもいいけど、どうせなら最後までここにいたい。


『お祭りは終了しました。皆様ありがとうございました。各プレイヤーは五分後、それぞれの星に強制転送されます』

 みんなの体が光に包まれる。
それぞれの星に戻されるみたいだ。

「それじゃあ、また学校で」
「ええ。あの約束、忘れないでね」
「分かっているよ」

 アローさんと約束をしていた。
ある人物の人生を左右する約束だ。忘れる訳がない。


「ピギちゃん、またね~」
「ぴぎゅ!」

 それぞれが残りの五分、別れを惜しむ。
一番大変だったのは、リコリスさんとピギだった。
 リコリスさんがピギと離れたがらず、最終的にアローさんが羽交い絞めにして引き剥がした。


 ヴィンデスに戻ってきた。
一番初めに確認したのは祭りコインの状態。
幸い両替されずそのままだった。大儲けだ。


 あれだけ賑やかだったから、少し寂寥感がする。
お祭りはとっても楽しかった。
 またみんなとプレイしたいな。
ゲーム内でいずれ会えると思うけど、誰かが惑星間航行を確立するのは待っていられない。
今までのゲームの進行速度から考えると、そんなの待っていたら何年掛かるか分からない。下手したら、学校を卒業してしまう。
自分の手でやろう。
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