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祭りだ!大騒ぎだ

工場破壊作戦 機獣たちの咆哮3

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 先行部隊に早く追いつかなきゃまずいにゃー。
思考はパッチの影響を受けないけど、ずっとパッチ適用しているせいでにゃーを付けるのが癖になっている。
間違って現実使ったらドン引きされるから思考はちゃんとしよう。一度大学で使ってしまい、すごい空気になったし。


 先行している二機のキャットズはキャットズ・ライトアーマー。
キャットズの装甲を薄くし、武装も最低限の物しか装備していない軽量化を図ったモデル。
 機動力は通常のキャットズを大きく上回るけど、その分、攻撃力と防御力は弱い。
防御が弱いモンスターなら戦えるが、厚い脂肪で身体を守られているオークとはどう考えても正面から戦える機獣じゃない。


 うちの愛猫なら戦える。
実際にオークを何度も倒した経験もある。
 多くのプレイヤーはにゃんこ同盟のことを弱機獣を使う色物集団だと思っている。
色物なのは認める、でも、キャットズは決して弱くない。
 弱いのはあんたらの機獣への愛の方だにゃー。
……またにゃーが混じった。パッチにそんな機能はないのに。


 イドのプラネットスキルは親和同調。機獣との絆が力に変わる。
機獣との信頼関係により、機獣の能力が向上するのですよ。
 効果は最大でも1割増程度で、それなら拘束具を付けた方がいいと思われている。
拘束具を付けると機獣との信頼関係は完全に崩壊し、親和同調は効果を発揮しなくなるのです。


 拘束具を付けずに機獣との信頼関係を高めていく手法のメリットは性能向上だけじゃない。
拘束具不使用だと機獣は操縦しなくても攻撃を躱してくれるし、攻撃もしてくれる。
機獣と操縦を分担することにより、機獣の戦闘能力はスペック以上に高まる。
 パーティ戦の予選を勝ち抜いたことでうちらの方針も間違っていないのが証明されたと思う。
やはり機獣は愛を持って接するべきなのだ。


 見えた!
先行した三機はかなり追い詰められている。

「ルナ!機動は任せるにゃー」

 うちのキャットズ、ルナはアタックカスタム機。
背中に大型のロングレンジライフルを装備してある。
 本来、機獣の中でも小型機に相当するキャットズには、このサイズの武装を取り付けることはできない。拒絶反応を起こしてしまう。
でも、うちとルナの絆、親和同調はそれを抑制しており、装備を可能にしていた。親和同調にはそういう効果もあるだ。


 オークの頭に照準を定める。

「ファイにゃー!」

 このライフルは大型、それに比例しその反動は大きい。 
踏ん張っていなかったので、ルナの体は反動で持ち上がるが、ルナはこの反動に慣れている。
 ルナはその反動に抵抗するのではなく、その勢いを活かして宙返りをすることで受け流した。
身軽なキャットズだからこそ可能な芸当なのだ。


 放った銃弾はオークの頭部に命中し、地面に倒れた。
まだ生きているけど、そこに仲間たちの追撃の銃弾が突き刺さった。
ルナのライフルほどの威力はないけど、あの数の銃弾を受ければ、オークでも死ぬ。
 これがうちらの基本戦術の一つ。
この戦術で多くのモンスターたちを倒してきた。


 仲間たちとの連携で大半のオークは殲滅できた。
しかしここで増援として新たなオークたちが現れた。そのオークは今までオークと違った。
 そのオークらの手には大砲が握られていたのだ。
轟音と共に砲弾が発射され、避けそこなった仲間のキャットズが砲弾に吹き飛ばされ、壁に激突した。


「まずいにゃー!キャットズ・ガードナー、前へ!」

 ガードナーはキャットズにガードユニット、盾を装備した機獣。
盾は普段背中にあるが、機獣の前方に可動させることができる。
 盾は重く、キャットズの最大の長所である身軽さは失われているけど、防御力は抜群でこういう時頼りになる。
大砲の弾を受けても、わずかに後退するだけだった。


 ガードナーに乗っている内の一人はにゃんこ同盟の副長猫、おっとん。
実は私の実父だ。それを知っているのは団員の中でも初期メンバーだけ。
いい年したおっさん、しかも身内がにゃーにゃー言っているを見ていると正直寒気がする。


 そもそもにゃんこ同盟はお父さんとその同僚たちが発起人となって作られたクランなのにゃー。
普通なら父かその同僚の誰かがボスをやるはず。なのに私がボスなのかというと可愛い若い女の子がボスの方が燃えると、みんなが推薦したからだ。
 父も止めず、いい経験になるからと言い、後押しされた。
でもなってみて、すぐに押し付けられたことが判明した。
ボスはやることが多い。可愛いとおだてられて騙されたにゃー……


 ガードナーのおかげで攻撃を防げているが、このままじゃ何もできない。
オークの大砲は単発式らしく、一度撃ったら再装填しなきゃならないが、そこに隙は無かった。
後方に待機している別のオークが交代で撃ってくるからのだ。
 まるでのぶにゃーがみたいにゃー。
絶えず攻撃を受け続けており、盾も何時まで持つか分からない。手を打たなくては。
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