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幕間 現実1
機械コミュ……その力
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機械コミュニケーション、その最大の力。
それはコンピューターの処理能力の強化だ。
機械コミュ4級だと強化はできないけど3級で約1.2倍、2級で約1.5倍まで強化できる。
そして1級は2.0倍以上の強化。
2.0倍というのはあくまで最低ラインで、僕の場合は3.4倍までできる。
こんな小さな端末でも3.4倍まで強化すれば色んなことができる。
その中で僕がやるのは違法行為。でもやるしかない。
「何してんの?」
「クラック」
「まずいでしょ!」
そんなこと分かってるよ。でもやるんだ。
警察を待っていたら彼女たちの心に深い傷ができる。
まずはどのルートに通ったかだ。
町の監視カメラの配置を確認する。
後ろめたいことをする人間はカメラのあるところは通らない。
そこからある程度ルートを特定できるはずだ。
けど、監視カメラは至る所に設置されているのでどんなルートを通っても完全に回避は不可能だ。
空を飛べばその限りではないけど、この辺りは居住区で飛行禁止エリア。その方法は使えない。
回避不能のカメラの映像を見たいけど無理だ。
セキュリティの突破に時間が掛かる。
だから見るのは別のカメラ。
それは車の車載カメラだ。全ての車載カメラというわけではないけど、大多数の物はネットワークにつながっているので侵入できるのだ。
車載カメラにもセキュリティはあるけど、僕なら数秒もあれば解除できる。
この付近の車載カメラの映像が頭に流れる。
その数は100台を超えており、全部確認するには多すぎる。監視カメラの位置情報から映ってる可能性がないものを弾く。
予測ルートで絞り込んでも数が多く、これでは見落としが出る。
なら目を増やせばいい。八雲さんに携帯を渡す。
「何これ?」
「車載カメラの映像。あの車が映ってないか探して!」
「分かった!」
なんでだ?どこにもいない。
いくら探してもあの青い車が見当たらない。
「待って!戻して」
八雲さんの言う通り映像を戻してみた。
だけど、その映像には白い車が映ってるだけだ。
どう見ても違う。
「この車だ。間違いない」
「でも色が違うよ」
「この車、色替えの特殊塗料が塗ってある」
「本当?」
「間違いないよ。たぶんプロの仕事じゃない。色がちゃんと変わってないから元の青色が少し浮き出てる」
僕には違いが分からないけど、彼女が言うなら間違いないだろう。
車載カメラに侵入し、そこから車のコンピューターにアクセスした。
ビンゴ。正解だ。この車で間違いない。
車の制御システムが弄られてある。色替えのプログラムもあった。
他にもカーナンバーの偽装や位置情報の偽装など不正プログラムだらけだ。
どう考えてもまともな車じゃない。
間違っていたらまずいので車載カメラの向きを限界まで動かし車内の様子を見ると、窓に反射して二人の姿が写りこんでいたから確定だ。
さてこれからどうしようか。
予定していた方法が使えなくなってしまった。
車にはカーチェイスなどで逃げる車を止めるために緊急停止システムが搭載されているんだけど、この車は物理的に無効にされていた。
ハンドルとかアクセルなどの操作系は高度なセキュリティがあるので突破できない。その例外が緊急停止システムだったのだ。
その時天啓のようにアイディアが浮かんだ。
まずは車の色を元に戻す。次にカーナンバーの偽装プログラムも無効。
これらは後付けされたものなので簡単に干渉できた。他の不正プログラムも無効化しておく。
次は本命。狙うのはカーオーディオ。
ボリュームは100までしか上げれないけど、プログラムを弄って200まで上げた。
「八雲さん。この中で一番うるさい曲って何?」
携帯端末の中には多くの曲が入っていたけど、ほとんど知らない曲だった。
視聴する暇なんてないので八雲さんに聞く。
「えっ」
「早くして!」
「このNOIZって曲。有美の好きなバンドの曲で滅茶苦茶うるさいはず!」
NOIZか。今からやることにぴったりの曲だ。
タイミングは巻き込み事故が起こらないタイミング。
……今だ!
タイミングを見計らって、攻撃を開始した。
行ったのは音攻撃だ。
車内には爆音が響いたと思う。
そんな状態じゃまともに運転なんてできるわけがない。
近くの車の車載カメラで確認すると、車は横転していた。
やっぱりオートパイロットじゃなくて手動運転だったみたいだ。
緊急停止システムはオートパイロットの機能の一部だと聞いたことがある。
緊急停止システムが無効にされているということはオートパイロットも無効にされているはずだ。
だったら運転手をどうにかすれば車も止まるはず。
スピーカーに近い場所にいた人は鼓膜が破れたかもしれない。でも、死ぬよりましだ。
ちゃんと気を使ったので、被害はこの車だけ。
乗員保護システムもちゃんと作動しているので重傷者はいないだろうし。
パトカーも来た。
車は救助のためにこじ開けられ、二人が助け出されていた。
これでもう安心だ。
八雲さんも携帯の映像で二人の無事を確認して安堵の溜息を吐いた。
だけど僕はまだ安心できない。
ここにもパトカーが来るので僕も逃げないと。
緊急事態とはいえ、やったのは不正アクセス。
警察に詳しく聞かれると色々とまずいことになる。
八雲さんに後は任せて僕はその場から離れた。
それはコンピューターの処理能力の強化だ。
機械コミュ4級だと強化はできないけど3級で約1.2倍、2級で約1.5倍まで強化できる。
そして1級は2.0倍以上の強化。
2.0倍というのはあくまで最低ラインで、僕の場合は3.4倍までできる。
こんな小さな端末でも3.4倍まで強化すれば色んなことができる。
その中で僕がやるのは違法行為。でもやるしかない。
「何してんの?」
「クラック」
「まずいでしょ!」
そんなこと分かってるよ。でもやるんだ。
警察を待っていたら彼女たちの心に深い傷ができる。
まずはどのルートに通ったかだ。
町の監視カメラの配置を確認する。
後ろめたいことをする人間はカメラのあるところは通らない。
そこからある程度ルートを特定できるはずだ。
けど、監視カメラは至る所に設置されているのでどんなルートを通っても完全に回避は不可能だ。
空を飛べばその限りではないけど、この辺りは居住区で飛行禁止エリア。その方法は使えない。
回避不能のカメラの映像を見たいけど無理だ。
セキュリティの突破に時間が掛かる。
だから見るのは別のカメラ。
それは車の車載カメラだ。全ての車載カメラというわけではないけど、大多数の物はネットワークにつながっているので侵入できるのだ。
車載カメラにもセキュリティはあるけど、僕なら数秒もあれば解除できる。
この付近の車載カメラの映像が頭に流れる。
その数は100台を超えており、全部確認するには多すぎる。監視カメラの位置情報から映ってる可能性がないものを弾く。
予測ルートで絞り込んでも数が多く、これでは見落としが出る。
なら目を増やせばいい。八雲さんに携帯を渡す。
「何これ?」
「車載カメラの映像。あの車が映ってないか探して!」
「分かった!」
なんでだ?どこにもいない。
いくら探してもあの青い車が見当たらない。
「待って!戻して」
八雲さんの言う通り映像を戻してみた。
だけど、その映像には白い車が映ってるだけだ。
どう見ても違う。
「この車だ。間違いない」
「でも色が違うよ」
「この車、色替えの特殊塗料が塗ってある」
「本当?」
「間違いないよ。たぶんプロの仕事じゃない。色がちゃんと変わってないから元の青色が少し浮き出てる」
僕には違いが分からないけど、彼女が言うなら間違いないだろう。
車載カメラに侵入し、そこから車のコンピューターにアクセスした。
ビンゴ。正解だ。この車で間違いない。
車の制御システムが弄られてある。色替えのプログラムもあった。
他にもカーナンバーの偽装や位置情報の偽装など不正プログラムだらけだ。
どう考えてもまともな車じゃない。
間違っていたらまずいので車載カメラの向きを限界まで動かし車内の様子を見ると、窓に反射して二人の姿が写りこんでいたから確定だ。
さてこれからどうしようか。
予定していた方法が使えなくなってしまった。
車にはカーチェイスなどで逃げる車を止めるために緊急停止システムが搭載されているんだけど、この車は物理的に無効にされていた。
ハンドルとかアクセルなどの操作系は高度なセキュリティがあるので突破できない。その例外が緊急停止システムだったのだ。
その時天啓のようにアイディアが浮かんだ。
まずは車の色を元に戻す。次にカーナンバーの偽装プログラムも無効。
これらは後付けされたものなので簡単に干渉できた。他の不正プログラムも無効化しておく。
次は本命。狙うのはカーオーディオ。
ボリュームは100までしか上げれないけど、プログラムを弄って200まで上げた。
「八雲さん。この中で一番うるさい曲って何?」
携帯端末の中には多くの曲が入っていたけど、ほとんど知らない曲だった。
視聴する暇なんてないので八雲さんに聞く。
「えっ」
「早くして!」
「このNOIZって曲。有美の好きなバンドの曲で滅茶苦茶うるさいはず!」
NOIZか。今からやることにぴったりの曲だ。
タイミングは巻き込み事故が起こらないタイミング。
……今だ!
タイミングを見計らって、攻撃を開始した。
行ったのは音攻撃だ。
車内には爆音が響いたと思う。
そんな状態じゃまともに運転なんてできるわけがない。
近くの車の車載カメラで確認すると、車は横転していた。
やっぱりオートパイロットじゃなくて手動運転だったみたいだ。
緊急停止システムはオートパイロットの機能の一部だと聞いたことがある。
緊急停止システムが無効にされているということはオートパイロットも無効にされているはずだ。
だったら運転手をどうにかすれば車も止まるはず。
スピーカーに近い場所にいた人は鼓膜が破れたかもしれない。でも、死ぬよりましだ。
ちゃんと気を使ったので、被害はこの車だけ。
乗員保護システムもちゃんと作動しているので重傷者はいないだろうし。
パトカーも来た。
車は救助のためにこじ開けられ、二人が助け出されていた。
これでもう安心だ。
八雲さんも携帯の映像で二人の無事を確認して安堵の溜息を吐いた。
だけど僕はまだ安心できない。
ここにもパトカーが来るので僕も逃げないと。
緊急事態とはいえ、やったのは不正アクセス。
警察に詳しく聞かれると色々とまずいことになる。
八雲さんに後は任せて僕はその場から離れた。
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