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①先生とイケナイ授業、する? 4

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「あっ!?」
「ぅンん……」
 先のところをちろちろと舐めてから、くちびるで包むようにして飲み込んでいく。オレは何度もゆっくりと飲み込まれていくその光景を見て、酷く興奮した。先生の頭を引っ掴んで、その喉の奥まで突き立てたい衝動に駆られる。やっちゃ駄目だと寸でのところで自分の衝動を抑えながら、興奮と手持ち無沙汰を誤魔化すように先生の前髪を撫でてみた。
 そしたら、先生は突然口を離した。

「橋本くん」
「なに」
「明日、持っておいで、ゴム」
 先生がそう言うのと同時に、保健室にチャイムが鳴り響く。タイムオーバーだ。
「明日しよう、続き」
「……え、今日のコレはどうしろって言うの」
「トイレの個室に行って」
「ひでぇ!」
 佐々木先生はそれだけ言うと、さっさと俺の上からどいてしまった。
 乱れた服をさっと直し、いつもの先生の顔に戻って、先にベッドのカーテンから出てしまう。オレもしぶしぶ自分のそれを仕舞い込んでいると、シャッとカーテンを開ける音がして、それから窓を開ける音、引き戸の鍵を開ける音が順番に聞こえてきた。
 オレがベッド周りのカーテンを開けて出ると、佐々木先生はいつものにっこり笑顔で、
「明日は、今日の復習からしようね、橋本くん」
と、すっかり保健室の先生に戻っていた。
「変わり身早すぎ……」
「トイレ行かなくて大丈夫? 六限目、寝ないようにね」
「はいはい」
 なんとなく面白くなくて、不貞腐れたような声が出てしまう。べとべとにされたところがまだ落ち着かないんですけど。……先生だって、スカートのなかはびしょびしょのくせに。
 ここでゴネるのも大人気ないのかも、と思って素直に猫背になって保健室を出ようとすると、佐々木先生は「ああ、そうそう」と呼び止めた。
「明日、何限目におなかが痛くなる予定なの?」
「え? えっとー……五限目、かな……」
「忘れ物がないように、気をつけるのよ」
「……先生こそ、急病人とか出たら午前中のうちになんとかしとけよな!」
「うふふ、できるだけね」
 誰にも分からないように約束を交わしていると、保健室の入口引き戸が勢いよく開けられて、女子生徒が二人入ってきた。
「佐々木先生~! すみません、おっきめの絆創膏もらえませんか、階段失敗した~」
 それを合図に、オレはそそくさと保健室を出る。
 ……取り敢えず、一度トイレ行ってみよ。



(了)
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