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63 人形遣い

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 近衛騎士の魔人化、アルニスの死亡、魔王の襲来、三つの大事件で城内に激震が走った。
 とはいえ、当面の対策は守りを固めてアルニス派の処刑を進めることくらいしかない。

 俺と姫は屋敷に戻り、休ませてもらうことにした。

「それで、お前はどういう存在なんだ?」

 王宮での戦いで救援に入ってくれたエセ関西弁の女は、一向に帰る様子がなかった。というのも、行きは例のゲートを通ってきたが、帰り方が分かっていないらしかった。ひとまず今日は俺の屋敷に泊めることになってる。

「ええとな、わいは――」
「どうでもいいが、ウチの方が可愛く聞こえないか? あの神様の顔がチラついて落ち着かないんだが」
「そういうもんなんか? 男の子の考えることはよう分からんわー」

 俺は今、あの女と寝室でセックスをしている。
 助けてもらったお礼に何が欲しいか聞いたらチンポと答えられたので、仕方なくだ。

 豊かな胸と活発でボーイッシュな外見のアンバランスで、何だか妙にエロく感じる。
 俺は自分の上に乗せた女の腰をグニュグニュと揺らし、子宮を突きまくった。

 女がダンスをするように腰を振る。

「ウチのダンスどう? 気持ちええやろ」
「くっ……」
「あ、またイってもうたな?」

 俺は上体を起こし、女の胸にしゃぶりついて腰を振る。
 長身の女を抱くのは初めてだ。

「くすぐったいなぁ! あひっ! あかん、ウチも気持ちよくなってきたっ! おっぱいもっと吸ってぇ! ウチの腰がとまらへんでっ」

 グチュグチュ音を立てながら女が前のめりに腰を振り始める。

「オ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッ」
「すげぇキツい」

 快感の波が押し寄せてきて、俺はまた達してしまった。
 ビュルルルルル……。

「えへへっ。めっちゃイってもうた。マンコってあんな締まるんやな?」

 女の乳首をペロペロと吸う。

「もう、身体がモタんて。はい、ここでサービスタイムは終了やでー」

 と、俺の股からどいた彼女の腰を掴み、再度挿入した。

「ヒギッ! ちょ、何してくれてんの!? ウチのマンコもう使った後やん!」
「まだ足りないんだよ」
「あっ! ダメやって!」

 抵抗されてペニスが抜けた。
 しかし悲鳴を上げる関西女を仰向けにし、片足を掴みながら再度挿入を図った。

「はぁぁぁ……。あかんてぇもぉ」

 パンパンパンとピストンを再開すると、諦めたのか女は脱力した。

「あっあっあっ……あひぃ」
「気持ちよさそうだな」
「うっさいこのレイプ魔ぁ……むぅ」

 減らず口をキスで塞ぐ。

「ちゅ……ちゅ……ん……エロ過ぎやであんちゃん」
「イクぞ……」
「も……っ……腰掴むなー」

 イク為に腰を掴んでパンパンと打ちつける。

「ひぃぃぃぃ……!」

 女が目を瞑ってる。俺は欲望のままに彼女の膣を精液で汚した。

「ウチのマンコがマーキングされてもうたぁ」

 はぁ……。
 たまには毛色の違う女もいいな。

 飽きるまでセックスをして、ベッドで大の字になる。

「お前から誘ってきたんだからな」
「せやけどあんなんやり過ぎやん。まあ、寿命が来る前にセックスできて良かったんやけどな」
「……寿命? どういうことだ?」
「ホムンクルスは人間より寿命が短いねん。分からへんけど、ウチもそう長く生きられへんと思う。五年か十年くらいで止まるんやないかなぁ」
「そうなのか。天国には行けるのか?」
「分からへんけど、タクマがそう思ってくれたら行けるんやないかなぁ。そうやったらええなぁー」

 女の肩を抱く。

「名前、ないと不便だろ。俺がつけていいか?」
「え? なんか候補あるん?」
「ミライだ。俺がお前の未来を作る。行くところがないなら俺といろ」
「わっ。なんやこの気持ち。恥ずっ……! 臆面もなくようそんなこと言えるなぁ!?」
「それで、返事はどうなんだ?」
「そんなん決まってるやん! ウチはあんたと――」

 と、ミライの身体が停止した。

 いや……冗談だろ?

『あー、無事にスキルは渡ったらしいな。しかし、なんでセックスしてんねーん!』

「おい、どういうことだ! ミライが死んだぞ!」

『死んだっちゅーか止まっとるだけやん。あんなぁ、ホムンクルスに感情はないねん。なんか人間っぽい反応してるだけで、それはそういう機能があるからや。入れ込むと虚しいことになるで』

 ――納得がいかない。
 あいつは、あんなに喜んでるように見えたのに。

「どうやったら動くようになるんだ?」

『あかんて! その道だけは絶対にあかん! ホムンクルスは道具やねん! 心がない! 人やない! だからどんなに強くしても神にはなれへんし魂もない! あんちゃん無理言ったらあかんで!』

「魂がないから心がないと、なぜ言い切れるんだ? 魂はなくても心はあるかもしれない。俺がそれを見つける。だから、動かし方を教えろ」

『ほんまアホやなぁ! あーもう、ホンマに……もっと他に話すことあるやん』

 ――スキル、『人形遣い』を取得しました。

『それは最後の餞別や。そのホムンクルスはなぁ、モテないわいに親父がくれたもんやねん。けど、わいはホムンクルスが大嫌いなんや。作り物を傍において自分を慰めるなんて惨めやん。せやから使い道はなかったけど、今回容量の大きいスキルつけて廃棄処分することにしたんや』

 人形遣いは人形を起動させるスキルだった。
 オンとオフを切り替えるだけのスキルだ。

『あとホムンクルスに寿命がある言うてたけどな。それは嘘やねん。ホムンクルスの寿命は人形遣いの飽きが来るからや。どんなに可愛い人形でも五年も十年も傍に置いてたら別の人形が欲しくなる。だからそれが寿命やねん』

「分かった。つまり、ミライの寿命が来たのはあんたが見限ったから、そういうことなんだろ?」

『睨まんでくれや。これは何が正しいとか悪いとかの問題やない。価値観、感覚の問題や。その人形はあんちゃんにくれてやる。大事にしたらええ。けど、他の女と同列にしたら、むしろホムンクルスが惨めになるで。ま、感情なんてないんやろけどな……。それよか、どういうことやあんちゃん』

 何がだ……。

『魔王、頑張れば殺せた可能性あったんやないか? アレを殺せばあんちゃんは破壊神になれるんや。あの魔王はな、そういう存在なんや』

 他にもまだ知ってることがあるんだろう。ジュリに聞いてもいいが、先に言っておいた方がいいと思うぞ。

『はぁー……。ここまで来たんなら話すわ。あんなぁ、ジュリはこの世界の悪意の受け皿なんや。この世界の邪悪な意思を引き取って、他の皆さんの気持ちを綺麗にする。まあ、空気清浄機みたいな存在やな』

 その割に、この国にはロクでもない連中が大勢いたが。

『それはまだ時が来てないからや。魔王ジュリを倒すと、ジュリは意思を失くして「星杯」ってアイテムになんねん。星杯はその世界に住む全ての人間の悪意を飲み込む受け皿や。つまりな、魔王を倒してこの世界をあんちゃんの天国に変えるのが、カルマオンラインの最終目標ってことや』

 なるほどな。全て、理解できた。
 なぜ、俺に勇者なんて役割が割り振られたのか。
 全部、最初から決まってたことなんだろう?

『あんちゃんが理解した通りやで。魔王を倒せばあんちゃんは勇者として信仰される。その信仰の心が、破壊神になった時のあんちゃんの力の源になるんや。オマケに、星杯がある限り天国には邪悪な意思が生まれんから安泰やしな。皆が隣人を愛し合う、まさに本物の楽園の完成や。あとはあんちゃんが溜まった信仰値を使って適度に天国を快適にしていけば、いずれ皆があんちゃんの天国に住みたがるやろな』

「ああ、よく理解したよ。だが、それは魔王を人柱にした偽りの楽園だ。俺は魔王を殺さない」

『……は? 何を言っとるんや。誰もが破壊神になれる訳やないんやで? あんちゃんみたいに神クラスのスキルを扱える奴なんてそうおらへん。わいやってあんなヤバいの使えんわ。あんちゃんは選ばれた存在なんや! 魔王を犠牲にするのが嫌? 魔王だって覚悟の上で演じてるんや。そういう風にデザインされてんねん!』

「尚更、殺したくなくなったな。あいつは外れくじを引かされて役割を演じてるだけなんだろ? そんなもの俺からしたら被害者だ」

『ここまで来てそらないやろ! わいはな、あんちゃんの為に変異体をデリートしてやったんやで!? 親父の好意を踏みにじってあんちゃんに賭けたんや! わいがあんちゃん専用にデザインしたスキル、あれ作るのにわいの信仰値をどれだけ削ったと思ってんねん! それだけやない! この世界も、わいの信仰値を削ってできたもんなんやで!?』

「すまない。あんたには感謝してる。恩も返したいと思ってる。だが、今は頷くことができない」

『……ふざけんなやッ! この世界作るんにどれだけの信仰値が必要なんか分かるか!? 先に裏切ったんはあんちゃんやからな! もうどないなっても知らんで!』

 神様との念話が途切れる。

(怒らせてしまったな)

 しかし、話も聞かずにジュリを殺したくない。
 そっちの問題は後から考えるとして、まずはミライを起こさないとな。

 俺が『人形遣い』を使ってミライを起こすと、彼女は気まずそうにした。

「えーと、ここはどこ。あんたは誰やねん。わいの知り合いなんか?」

 ――記憶が消えている。人形はスキルが切れたらそれまでの記憶を失うのか?

「……とりあえず、ウチの方が可愛いと思うぞ」
「そういうもんなんか? 男の子の考えることはよう分からんわー」

 ――人形。その言葉の意味を、俺はようやく思い知った。
 ああ、これは神様じゃなくてもキツイかもしれないな。

 それでも、俺にはミライの言葉に血が通っているような気がした。

 だから、名前を与えよう。

「え、何で抱っこされてるん? ていうかこの恰好! ウチ何されたん!?」
「寝てる間にセックスした。俺が新しいご主人様だ。よろしくな、ミライ」
「最低やーん!」

 俺はミライを押し倒して、二度目の挿入をした。
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