気がついたら乙女ゲームだった!チートって何ですか?美味しいですか?

おばば様

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真相

気が付かない6

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 ◆


 クルミは長い夢の中から目が覚めた。とてもリアルな夢を見てた気がする。私と考えが違う人が自分の体を動かしてる、リアルだったな、と両手を思いっきり上にあげ左右に揺らす、ボキボキいった背中の音にビックリしたが、眠い目をこすりながら立ち上がった。
 キラキラしたペンと机の上に丁寧に置かれた日記が目についた。クルミは大雑把な性格だと自分で思ってるし、両親もそれは知ってる、自分が好きな物に対してだけは丁寧になるよね、とこの前も母様に叱られた。

 可愛らしい付箋が気になりページをめくる、そこには自分が書いた覚えのない事が何ページもあった。
 日記の最後のページが気になったクルミは、夢遊病なのかと思った。夢遊病の私は字が綺麗だなと思いながら読み進める、


『今日も母様と父様は教会に行きなさいって優しく私に言う、私だって祈りの乙女の役割りは知ってるし、とても重要なのも知ってる、けど教会は行きたくないな、大精霊王ラグエル様の像を見ると痛いくらいに胸がドキドキするしなんだか目を背けたくなる。シスターに胸が痛いって言ったら、ライラさんもお胸が大きいからきっとそれは成長期だよ、って言われた。
 でも私は違うと思う、変な病気なのかもしれない、なんだか怖い、もし病気って言われたらどうしよう、
 母様達に内緒でマル先生のところに行こうかな?
 それともまた母様にドキドキするから行きたくないって言ってみようかな、
 父様に言うと大袈裟にシスター達に言いそうだから母様に相談して許可が出るまで黙ってよう、だって父様は私に過保護過ぎるから、なんでもダメって言いそうだもん、

 でもあのドキドキは教会以外はならないから、私と教会は合わないんだと思う、でも役割りがあるから行かなきゃいけない、ドキドキしないように銅像を避けて通る方法を考えようと思う、私より小さい子供が私の事アルゲティお姉ちゃん。って呼んでくれるとても嬉しいな、次行く時は母様に教えてもらったクッキーを持っていこう、みんな喜んでくれるといいな、いつものクッキーに甘酸っぱい赤い果物を入れたら美味しそう!

 今日もララ君が私のお腹に乗って寝る。お腹で寝ると苦しいけど、ララ君の温かさが気持ちいい、でも最近暖かくなってきて温かいを通り越して暑つい、ちょっとだけ迷惑かな。でもそんなこと言ったらララ君が来なくなりそうで寂しいな、もふもふは正義だよね。
 それから誰かからじっと見られてる感じがする、シスターは原因を調べてくれるって言ってたから、私は待つ事しかできない、母様と父様に言えばじっと見てる相手がすぐ分かるだろうけど、父様は冷静ではいられないと思う、こんど母様に相談してみようかな?そうだいいレシピを思いついた。母様が大好きな芋を使ってレモン煮にしたい、父様がいれてくれるとても渋いお茶とピッタリだと思う、さつまいもとレモンと砂糖、これだけで出来るし母様は知らない味、ビックリして欲しいから、サプライズで準備しなくちゃ、』


 これは?と書き方を見る、前世の姉の話し方とは少し違うが考え方や日記の書き方がそっくりだ。
 姉さんが空に帰ったあと家族で姉さんの思い出を探してみた。出てきたのは料理レシピや掃除の方法。後は数冊の日記だけ、日々の悩みや思い出など沢山のことが書いてあった。
 最新の日記の最後のページのページに姉さんは弟の誕生日に弟マサが大好きだったチーズケーキを作ってお祝いするつもりだったらしい、丁寧にレシピが書いてあった。弟は夏生まれだからか、夏らしく爽やかな柑橘系のチーズケーキ、
 そのケーキは私達にとって思い出のケーキになり、誕生日は姉さんの思い出ケーキを毎回作り食べた。
 もちろん姉さんの誕生日にも作った。多少の変化はあるだろうが、姉さんの味は私たちの子供から孫へ代々続いていくだろう、


「私も日記の返事を書こう、どうせなら姉さんのレシピを書いておく、」


 サラサラとクルミは日記の返事を書く、姉さんは知ってるかわからない、しかし自分に返事を書くのはおかしいだろう、頭がおかしいくなったって母様達に言われたらまたマル先生を呼ばれるだろう、そうならない様に日記の筆跡を変え書く、名前は謎の精霊にしておく、


『アルゲティ、そんなに大きな像を見たくないなら裏口があるからそこから通ってみたらどうかな?普段はシスターや司祭達しか通らないみたいだから、あなたなら通れるんじゃない?
 変なストーカーは被害は無いのよね?変に刺激するとダメよ、アルゲティのファンだと思う、だけどファンは憧れの人には近づけないわ、だってあなたはキラキラしてるんだもの、眩しくて近づけないわ、
 後私もお菓子作りは趣味なの、素敵なケーキのレシピを知ってるから教えるね、レシピはクリームチーズと生クリーム、グラニュー糖と卵と薄力粉を混ぜてオーブンで焼けば出来るよ、仕上げに輪切りしたレモンは砂糖漬けかレモンに粉砂糖を掛けてみて、ケーキがより綺麗に出来るからぜひ作ってみてね♡お礼はあなたの部屋の窓に甘酸っぱい果物のクッキーを置いて、近くを通ったらお礼を貰いに行くわ、通りずがりの精霊より、』


「こんなもの?姉さんちゃんと騙されてくれるかな?でも姉さん天然だし、大丈夫か、」


 姉ミクは料理と平凡な日常が好きな人である、私たち家族はいつも楽しく暮らしてた。姉さんが居なくなって姉さんを知る近所の人が目を掛けてくれたり、家族で助け合い暮らしてきた。

 姉さんは最近めっきり私に話しかけてこなくて、クルミはとても寂しく思ってた。昔の様に過ごせると思ってたのにと唇を尖らせた。

 クルミはこの世界でアルゲティとして生を受けたが、最近ミクはアルゲティの身体を動かし行動してるらしい、たぶん寝ると切り替わるのかもしれない、クルミの小説にそんな設定は書いてない、まぁクルミ自身がアルゲティに生まれ変わる設定も書いてないので、ズレはあると考えた。

 この世界で姉さんは始まりの乙女として生き空に帰った後、魂は消耗しないよう大精霊王ラグエルに保護をされていた。
 しかし魂を保護をしていたラグエルから抜け出し、アルゲティに入った。


「姉さんならまぁいいか、暇すぎて姉さんが前に出てきたのかも、でもなんで教会が嫌なんだろ?像っていったら大精霊王様の像よね?
 ララ君の姿を見てもなんともないよね、でも姉さん元々ラグエル様とララ君は同じ人だよ?大精霊王様は優良物件なのに、
 まぁ鈍感なのは始まりの乙女の初期設定であるし、姉さんもある意味鈍感というか天然なんだよね、そこを設定にしちゃったから仕方がないか、でも姉さんも新しい恋をすればいいんだし……、ララ君に恨まれそうだから助言だけするか、」


『素敵な人に出会ってドキドキするのは、女の子だから仕方がない、恋は女の子を綺麗にするの、アルゲティ恋をしなさい、
 ラッキーカラーは黒、
 ラッキー動物は太っちょな可愛い黒猫ちゃん、側にいるとあなたに幸せを運んでくるでしょう、』


 最後に占いは可能性の話です。過信しないでください、こう書けば責任逃れもできるし、ララ君にも義理を返せる、

 ちなみに今代の祈りの乙女の後ろに着いて歩く黒い猫がいた。時々祈りの乙女に近づく男性に威嚇して困らせていたと、祈りの乙女と同じ歳のシスターが語る、

 最初に祈りのチカラを与えられた娘デルは両親に愛され育つ、娘の名前は乙女ゲームの設定には無い、乙女ゲームが好き過ぎて細かい設定を書き加えた。クルミの書いた設定と合わせる、



 ◆


 大精霊王ラグエルは大精霊王の名に恥じぬ強大なチカラを持っていた。
 その中に祈れば必ず叶う祈りのチカラがあったが、願いを叶えれば願いの対価に応じて呪いが生まれる、それを危惧したラグエルは祈る事を控えていた。チカラを与えれば弱まるが、与える者がいない、

 気分転換の散歩中ラグエルは人の街の外れにある水辺で座り泣く、ピンク色の髪を持つ娘に出会いラグエルは慰め2人はたちまち恋に落ち子供が生まれた。

 ラグエルは精霊だから人の感性を知らない、ミクと出会い感性の違いを痛感してきた。例えば家族に関してはラグエルに家族はいない、精霊が子供と言われればそうかもしれないが、直ぐに精霊達は離れて行ってしまう、随分昔は大精霊王が願いで誕生させていた各属性の小さな精霊達、色のない小さな球の精霊は生まれてすぐに旅に出て自分の色を探す。

 元々小さな精霊達が生まれると大精霊王ラグエルにまとわりついていた。前も見えないとはこの事だ。
 最初こそニコニコしてたラグエルも1人になりたいときがあった。離れて欲しいとラグエルが願った。

 憂いた大精霊王ラグエルは自分の娘デルに祈りのチカラを渡す。デルは理由を父に問う、お母様を隣で守り祈りならお父様の方が分かる、


『ワシのチカラは精霊以外に強大すぎてミクが壊れてしまう、しかし人同士ならチカラも弱まるだろう、それでも願う祈りによってはデルに呪いが掛かる、
 我が娘デルもしミクが憂いた事を叶えてやってくれ、ただしミクの願いに代償はないと大精霊王ラグエルが保証しよう、それにワシの番に代償は行かぬ、
 しかしそれではお前は不満だろう、一生に一度だけお前の願いを聞き叶えよう、デルこれから祈りの乙女としてミクに仕えなさい。ワシはこれからミクに膝枕をしてもらおう、』


『まぁ!相変わらずお父様はお母様が大好きですね、私はお母様の側を離れずにいます。でも私達の命はお父様達に比べたらとても短いのです。私が空に帰ったら誰がお母様をお守りするのですか?ククは精霊とはいえ見た目は男の人、メメには無理を言って性別を変えてもらいました。しかしあの子は自由過ぎます。クロはしっかりしてますが、現在お父様の用事で出ているのですよね?』


『なら5人程祈りの乙女を作るか?それだと祈りのチカラが弱すぎて、いざという時にミクが困るだろ?』


 ラグエルが愛してやまない始まりの乙女ミク、たまにしか強請らない愛おしい人、その数少ない願いを叶えて欲しい、


『ならお父様もし私、いえ祈りの乙女が空に帰ってしまったら、次の祈りの乙女を生まれるように出来ますか?それにお母様は子供好きでしょ?教会を作ってシスターや司祭見習いを通わせて、たまにシスター見習い達だけを集めて歌の発表会でもしてもらえばいいと思う、それならお父様も安心でしょうし、お母様も退屈しないと思う、』


『その条件でいい、だがミクは絶対に出さない、それはこれからも変わらない、しかしミクが困る事はしたくない、』


『やっぱりお父様はお母様一筋ですね、ならシスター見習い達に歌の練習をしてもらってはどうでしょう、本番の日を決めて声だけを届けてもらう、透き通った歌声は浄化にもなります。お母様とても喜ぶと思います。お隣でお父様もお聞きになりますよね?』


 娘はお父様の言葉に呆れながら苦笑いしながら、両親が仲良く暮らせる様に助言をした。
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