上 下
46 / 175
学園入学前編

しおりを挟む
王太子アウラの視点です。

護衛騎士が斜め前を歩き図書室の奥へと進む、今日この時間の図書室は人払いをしている。司書さえ居ない、あの話を漏さない様に細心の注意をしての事だが、カーナには言わない、いらない心配をさせたくは無いからな。


奥にある個室へと入り、
この部屋は宰相が調べ物をする時に使う部屋だ。
この部屋の奥には飾りが無い扉と短い通路があり、今日はその個室でのお茶会だ

護衛騎士達は僕達が居る個室の扉の前では無く、1つ前の扉の内側での待機をしてもらう。カーナの事情なんて誰にも聞かせたくはない、

王城のメイドがノックをして扉を開ける。
カーナに会うまでが長かった。

「おはようございますアウラ様」
「おはようカーナ」

お互いにこやかに微笑み、カーナに手を差し出しエスコートをしてソファへと移動する。カーナの手は柔らかで、艶やかな爪先は先の方まで綺麗に手入れが行き届いていて、触られた部分だけが熱くなる。名残惜しい気持ちを抑えながら手を離す。

今日の為に2人掛けソファを2脚用意したが、1脚にすれば良かった。次回は1脚だな。と思いカーナの横へと腰を下ろす、

イプシロン領地産の紅茶を入れて貰い、カーナが持ってきたクッキーを置くと、メイドに目配せをした。メイドが頭を下げて出ていく、もちろん扉は話が漏れない程度に少し開いておく、婚約者とはいえ密室にはしない。その為の護衛騎士の配置だ。

カーナとの距離を詰めようとジリジリと寄ったが、恥ずかしいと、顔を斜め下に向けた顔が赤く瞳が潤んでいる。

少しの間カーナに見とれてしまい、咄嗟に視線を外し。対面側のソファへと移動した。やはり次は1脚にしよう。
流石にこれ以上の無理強いを出来ない


「カーナ魔力検査どうだった?」
「はい。アルゲティ様の影響なのかもしれませんが。魔法の適正が全属性でした。最後にこの花が落ちてきて。」

カーナはその花を栞にして持っていた。赤いスイートピー?それをとても大事そうに仕舞う。
そこからは、教会の部屋の中の話になり、

「アルゲティ様の銅像見て驚きました。」
「僕も見た時驚いたよ!高さあるからね」
「アルゲディ様は守りの女神様なのですね」
「でもカーナはカーナでしょ?」

カーナの髪をひと房持ち口付けをする。真っ赤になったカーナはこれ以上考えられなくなるはずだ、そして余計な考えをしなくても良くなる様にと、思いも込める

それでも何だか色々な事を考え過ぎの様だ。宰相からもう少し話をまた聞くとしよう。僕は話題を変える事にした。

「カーナ?王太子妃の勉強は楽しい?」
「はい!アウラ様大変ですが、楽しいですよ。」

カーナはニッコリと微笑みそれから紅茶を飲む。

オーキッド色の瞳は僕だけを写していて、視線を下にし、瞳が紅茶を写す。透き通る様に白く滑らかな肌と、頬は薔薇色に染まり、その艶やかで柔らかそうな唇は口角を上げて紅茶を飲んでいる。

「ヤバイな吸い込まれそう。」
「アウラ様?どうなさったのですか?」

カーナはキョトンと可愛らしく首を傾けている。
僕はおもむろに抹茶クッキーを皿から取り出す
その柔らかな唇にクッキーが押し込む、

「フグッ?!アウラ様?」
「ごめん。何か考え事してたら、クッキー押し込んでた。」
「・・・・・・。せっかく令嬢らしくしてたのに、むぐ」
「ハハハッごめん。」

最近カーナの色気が凄くて、じーっと見てると何だか色々と・・・。色々と、いけない方向に進みそうになる。


まぁ僕としては、
そちらの方が良いのかもしれない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

裏ありイケメン侯爵様と私(曰く付き伯爵令嬢)がお飾り結婚しました!

麻竹
恋愛
伯爵令嬢のカレンの元に、ある日侯爵から縁談が持ち掛けられた。 今回もすぐに破談になると思っていたカレンだったが、しかし侯爵から思わぬ提案をされて驚くことに。 「単刀直入に言います、私のお飾りの妻になって頂けないでしょうか?」 これは、曰く付きで行き遅れの伯爵令嬢と何やら裏がアリそうな侯爵との、ちょっと変わった結婚バナシです。 ※不定期更新、のんびり投稿になります。

愛しのあなたにさよならを

MOMO-tank
恋愛
憧れに留めておくべき人だった。 でも、愛してしまった。 結婚3年、理由あって夫であるローガンと別々に出席した夜会で彼と今話題の美しい舞台女優の逢瀬を目撃してしまう。二人の会話と熱い口づけを見て、私の中で何かがガタガタと崩れ落ちるのを感じた。 私達には、まだ子どもはいない。 私は、彼から離れる決意を固める。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

処理中です...