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幼女編

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確か美味しいお茶を入れるのは、大変な苦労があったはずだ。私はお茶の入れ方に拘った事は無いが、住み込みのお茶農家でしこたま教えられた。


まず70度~80度に冷ます。この世界に温度は計れない。なので紅茶用のお湯をカップに一度入れ、お湯の温度を冷ます。紅茶を入れるポットに茶葉を入れ、カップのお湯を入れる。お行儀が悪いが仕方がないのだ、


私はお味噌汁作る時に昆布を引き上げる温度と覚えた。ちなみに引き上げ温度は70度だ。それ以上は粘りが出てエグ味が出る。主婦では無かったけど、家族に美味しいご飯を作るため色々と調べたのだ!

40秒程待ってポットをクルクルと茶葉が広がる様に回す。ここでイッキに入れてはいけない、ゆっくりと、家族分のカップに少しづつなんちゃって緑茶を入れ、最後の1滴まで注いで完成だ!
最後の1滴がとても美味しいと、これは農家のおばちゃん情報だ。下の弟にその話をしたら最後の1滴を掬って舐めて、苦げー!っと言っていたのはとてもいい思い出だ。今でも紅茶のポットを見て思い出す事がある。


「最後の1滴が決めてでとても美味しいんですよ、砂糖やミルクを入れずにどうぞ」


っと言ったら兄様がポットに指を付けてペロッと舐めた。皆はギョ!っとしたが、私は思わず笑ってしまった。前世の弟の行動そのままだったから。。


「最後の1滴のお味はいかがでしたか?」


「最後の1滴は苦いなぁ。」


兄様は苦笑いしていた。

クスクス笑いながら、なんちゃって緑茶を入れ終えて、

真っ先に私が飲む。あー緑茶と烏龍茶の間って味がする。少し発酵してしまったのかも。


家族も恐る恐る口にするが、皆カップの中身が無くなっているから、お気に召したのだと思う。


「口の中がさっぱりとして、食後のお茶として良いなぁ」


ほっとしているのはお父様だ



「この緑茶って甘く無いからダイエットに良さそうね?」


お母様ダイエットしなくてもスタイル良いですよ?

兄様と姉様もすっきりとした味わいが好評だ。


「このお茶っ葉をもう少し乾燥させてたら、細くしてクッキーやケーキに入れても美味しいんです。甘さ控えなお菓子になるのです。」


家族の視線が一斉に私を見た!ギュン!って音しそうだった。ちょっとビックリして泣きそうになったのは秘密だ。


「「「「もちろん作ってくれるんだよね?」」」」


そこハモリますか?息がピッタリですね?分かりました!作りますよ!って言っても私は身体小さいから、料理長にたよりますけどね。


「はい、、明日にも作ります。お父様とお母様の分は取って置きますね」


私はハニカミながら答える。

明日の予定が決った。私としては緑茶を完成させたかったので、有難く試作する事にした。


「あのお父様?王太子様ってどんな方なのですか?」


年相応の感じでモニョモニョ上目遣いで聞いてみた。


「あぁ。。まぁトゥカーナと同じ歳だよ?王太子アルラ様は剣の腕も、学問も、性格もとても良いと評判だけど、私のトゥカーナを泣かせるなら別だ!!!」


っとなぜ私は泣かされる確定なのだろうか?私と同じ歳と言う事は、攻略対象者なのでは?そして私は公爵家の令嬢。悪役令嬢でもある。そして・・・ある事を思い出した!

ファ!!!!

そこから次々と色々と思い出した。顔に出ない様に微笑みながら、明日の事を色々と考えたいのでっと言って就寝の挨拶をする。

「おやすみなさい。お父様、お母様、お兄様、お姉様。天使様が素敵な夢を運んでくれます様に」

スカートの端をちょこんと摘んで挨拶する。


「トゥカーナも天使様が素敵な夢を見せてくれます様に」


私はニッコリ笑って自室に帰る。


.....................


自室に戻りロッテに夜着に着せ替えして貰ったら、ロッテにポットに紅茶を入れて貰い、下がってもらう。暫くベッドに入って起き上がり、今まで書き留めたノートを引っ張り出す。


王太子様・・・・アルラ・アウストラリス
おぅ.......思いっきり攻略対象者。


容姿端麗、学年トップの頭の良さ、剣の腕も凄い、師事しているのは騎士団団長だ、サラサラのブロンドの髪と、アイスブルーの瞳


火、水、風、聖、精霊が使える。えっ!
存在がチートなのでは?とそれで王家でしょ?凄まじすぎる。


因みにチートって言葉は前世の妹ミユキが大好きだった言葉だ、何故か私に良く言ってた。。何故だ妹よ・・・・。妹の嫌いな人参をお星様にしてたからか?それともハートだったから?
妹は好きな振りをしていたがバレてるぞ!


因みに私トゥカーナの設定は、

火、水、土、の3種類、それと精霊は使えなかったらしい。公爵令嬢として恥ずかしくは無い位の魔力量だったのよね。それでもヒロインを落とし穴に落とした挙句、水を入れてドロドロにするとか、子供っぽいわ、どんなクソガキよ!って話よ。

見た目は流石の悪役令嬢だが、私って結局チートでも何でも無いのでは?


えっこれって私が前世の記憶持ってたとしても、何も変わらないのでは?


チート?なんですかそれ?それは美味しいですか?


明日クッキーに入れて食べましょ。うふふ


私はノートをいそいそと隠しベッドでふて寝する事にした。
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