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幼女編

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今回ボレアリス姉様の会話にルビこれを振りますが、文字の小さい方は、姉様の心の声になります。



ロッテとボレアリス姉様と私の3人で散歩へ行こうと歩き出す、姉様は私の手が大好きで、
事ある毎に手を握ろうと手を差し出してくる、今回も姉様は私の手を大事そうに両手で包み込むと、姉様は華が綻ぶように微笑む、
とても美人の姉様に手を繋がれると、なんだか緊張してしまう、

「ほら、トゥカーナ手を繋いで、迷子癒しになるわ」

「お姉様・・・イプシロン家の庭が広いとは言っても、私1人で歩く訳では無いので、迷子にはなりませんよ・・・」

「2人共毎回そのやり取りしているけど、それは楽しいのか?俺は自室に帰るよ」

えっ?毎回?・・・あ然としていると、私の肩にポンと兄様は手を優しく置き、去り際に耳元で呟く、「頼むから俺を巻き込むなよ」
私が何にですか?答える前に姉様は兄様をジト目で見る、どうしたんだろ?私は首を傾げた。

兄様は私達に呆れた顔をして、両手広げ上にあげ両方の肩をちょこんと上にあげる、構いすぎるのも程々にしろよ、と姉様に声を掛けると、階段を登り自室に戻って行った。

私の散歩は体力作りの一環で、前世の競歩位の速度で歩いていて、少ない体力を回復させている、
今日は姉様も一緒に歩く為ゆっくりで、私は庭の散策は初めて、周りの花を見ても前世と違うかもしれないが、花達は綺麗に咲き誇っていてカラフルでもあった。
庭師が丁寧に花や木を世話しているので、先程撒かれた水がキラキラと輝いる、とても綺麗な庭だなぁと思っていた。

今世の花が珍しくて、キョロキョロと見回ていると、姉様やロッテが色々な花の名前や木の名前を教えてくれる。

私も前から聞きたかった事を聞いてみる事にした。それは領地の話し、トゥカーナ悪役令嬢はヒロインを虐めたとして、断罪され領地の塔か国外追放になる、今の内に領地の事を詳しく聞いて、せめて今の家族の近くに居られる様にしておきたいし、今出来る事はやっておきたい。

私は姉様とロッテに手を挙げて質問をした。
姉様は丁寧に私に教えてくれた、イプシロン公爵家の屋敷は領地と王都にあって、領地の仕事はお母様は領主として執務をし、その補佐をしてるのが執事長のアーロン、今はお母様とアーロンの2人で仕事をこなしているらしい、学園を卒業すれば兄様も入るが、今から卒業迄は3年は掛かる、

いつもお母様は昼間は居ないと思ってはいたが
毎日領主の仕事が忙しく、領地に視察や執務等で帰りが遅い日がある、幼女な私は寝かされてる時間に帰ってきている為、お父様同様に朝食時に家族全員で団欒を過ごしている、
前世の日々忙しかったお母さんを思い出してしまう、

前世で親孝行は出来なかったが、今世位は親孝行がしたい、そこでお母様の仕事量が少なく出来ないかを考えてみる事に、
まぁ前世での知恵を使うのは決定事項、私はまだ5歳、その発言力は少ないと思う。

「トゥカーナもイプシロン公爵家の娘だもの、家の領地の事も勉強したいわよね、色々と教えてあげるわ何でも聞いてねゆっくりとじっくりとね・・・フフフ

姉様は散歩しながら領地の事を教えてくれる。いつもより速いペースだからか、ロッテは後ろから私が倒れないかハラハラした顔をして、私の後を追う様に着いてくる、

「お兄様が居るし、次の領主は決まっているから、大丈夫なんだけど、領地の勉強も必要な事で大切な事よね、長くなるから手短に話すわね天使の手柔らかい・・・

姉様は凄く嬉しそうに、領地の話をしているが、その間もけして手は離さず、そして色々と教えてくれた。
お姉様の話しを聞いた事を大体まとめると、こんな感じ。

家の領地には港がある、水産業と貿易等、そして平地を使い紅茶の茶葉を作っている、
領地の紅茶は高級品で、等級も存在し最高級品質になると王家にも献上していて、陛下や王妃は家の紅茶は特にお気に入りらしい、

そう考えると、ロッテが入れてくれる紅茶はとても美味しいと思っていたの。献上品には劣るけど高級品だと思う、そりゃ美味しいさ!
今世はまだ海をまだ見ていない、

「魚と貝と海藻と塩と他国からの品と紅茶ですか?意外と沢山ありますね」

「魚と貝は一緒じゃダメなのかしら?塩はここでは作ってないわ、隣の領地で作っているの、それと海藻って・・・あの海に生えている草みたいな物?」

「はい・・・美味しいのです。多分・・・」

多分って!美味しいか分からないのに言ったの??と姉様にツッコミを貰い、そのまま話を進める、

水産業は魚が豊富に取れるらしく、
魚の名前を聞くと頭の中は、前世で見た事のある魚達で頭が一杯になる、

姉様の話しを聞きながら思いを馳せる。
塩焼きでしょ。お刺身でしょ。醤油あるのかな?私は口を半開きにして、姉様の話を聞いていたのを、姉様に見られクスクスと笑う、

「トゥカーナはお腹空いたのかな?オヤツ食べたばかりなのに食いしん坊さん可愛い天使ね?」

言われた瞬間にかなり油断した、お腹がグゥーと鳴った。
私は恥ずかしくなり下を向いてお腹を押さえる、姉様は私を見てまたクスクスと笑う、

「・・・フフ本当に可愛い天使!!トゥカーナお腹すいたの?んー。運動したから?お腹空くのって、周りにも移るのかしら?私も急にお腹が空いたわ天使と一緒なら夕食も美味しいわね

「これは違うんです!お姉様もお腹空いたのですか?」

「あら?トゥカーナ『も』って事はやっぱりお腹すいていたのね。」

私はアワアワしながら言い訳を言う。
けして塩焼きのパリパリを思い出した訳でも、お刺身にワサビをつけてご飯と一緒に食べたいと思った訳でも無い・・・・・・。多分、魚が手に入った時は是非姉様に、美味しい魚料理を振る舞いたいが、この小さな手では包丁は握れない、魚が手に入った時に考えよう。
私のお腹の音に気が付いたロッテは、こちらに来ると頭を下げる、

「お嬢様・・・もう少し歩いたらご飯にしましょう」

ロッテは料理長に言付けをと厨房に行くと、姉様と2人きりになると、私が姉様に上目遣いでお願いをすると、姉様はとても嬉しそうに笑う、その笑顔がう・・・美しすぎる・・・。

「ボレアリス姉様、私領地を見てみたいです」

「明日にでも、お忍びで2人天使を独り占めだわでお出掛けしましょ!」

姉様は胸の前でパンと手を合わせると、私のお願いを聞いてくれた。
私は嬉しくて、両手を広げ姉様に抱きつくと、とても花の香りがする、姉様はいきなり飛び付いた私を優しく受け止め抱きしめる、

「お姉様ありがとうございます!」

「・・・可愛い天使の頼みだもの、任せて頂戴!」

姉様が話した事は余り聞こえなかったが、私は明日がとても楽しみになる、
お魚さん!お魚さん!とっても楽しみだなぁ!
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