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幼女編

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その日の夕食が終わり食後のお茶の時間を利用して、領主でもあるお母様に領地の見学をしたいとお願いをする事にした。

「お母様私も領地で色々と勉強したいです。」

「トゥカーナ・・・まだ早いと思うのよね・・・」

もちろん前世の妹必殺の上目遣いを駆使する。
私は前世で、長女だったから、どうやって甘えれば良いのか分からない。どっちかって言うと甘えられる方が安心してしまうタイプでもある。
お母様は一瞬困った顔をしたが、ふぅ・・・と息を吐く、まぁ私達の子供だものね血は争えないわと、小声で呟く、私が首を傾げているとお母様は笑って私の頭を撫でる、優しい手つきで頭を撫でられ、
前世で母さんに撫でて貰った記憶が蘇り少し寂しくなる、そんな顔も出来ないので、照れた様に笑ってみた。

「まぁ領地の見学なんてお勉強熱心なのね」

「私も少しは役に立ちたいの!お願いします。」

「アーロン、明日可愛い娘と一緒に領地見学して来てくれないかしら?」

お母様は微笑みながら、執事アーロンと話している「どこが良いかしら?」と聞こえる、
確かにアーロンは年齢不詳な感じはするし、お父様よりも歳上って事も無さそう同じ位かな?ちらりとアーロンを見た感じだけどね。
アーロンは畏まりました。と頭を下げお母様と私を見る、

「ボレアリスも行くのでしょう?」

「もちろんです!トゥカーナが行く場所なら、どこでも行きます!」

「お前は相変わらずだな・・・」

姉様が母様に力強く頷き、兄様は呆れた感じで姉様を見る、何だろう?姉様の領地見学の方向性が少し違う様な気がする。だけど今気にしても仕方が無い、
私はお母様に色々と領地の事を聞くのと同時に何があるのかを聞いた。港があるわよと言われ、思わず私は手を高く伸ばしソファから立ち上がったが、母様と姉様に興奮し過ぎねと笑われる、

「お母様私街も見たいです!後港も是非!」

「ウフフ、余程海が見たいのね、港の漁師達は皆優しいから大丈夫よ、けど興奮して1人であちこち行かないようにね。港は混み合ってるのだから心配だわ」

「・・・行かないですよお母様。」

お母様は絶対よ!と言いつつテキパキと見学地を決めていく、この手際の良さで、大量にある仕事も片付けているんだなとぼんやりと考えていた。少しでも減らさなきゃと私は母様を見る、

「お母様ほんの少しでもお手伝いがしたいので、領地で何か困ったありませんか?」

お母様はありがとうと言いながら微笑むが、私のできる事なんて微々たる量だろう、
この話は姉様とも決めた事、今までは兄様が手伝いをしていたが、兄様はもう少ししたら学園入学してしまう、学園の寮に入るが長期休暇には帰ってくる、領地の事が全く出来ない訳でも無い・・・だけど、勉強や剣術や護身術、生涯付き合う事になるだろう友達、もしかすると恋人が出来るかもしれない、婚約者は学園で出来る事も多いと聞く、恋や学園のイベント盛り沢山なのだから、私は保険を言っておく事にした優秀な兄様と同じようになんて流石に無理だから、

「流石にペルセイお兄様と一緒位とは言えませんが」

兄様は嫡男だけあってとても優秀、兄様と私とでは優秀さなんて比べ物にもならない、まさに雲泥の差とか月とスッポンなんて言うよね、私は頭を振り兄様を見る、私の言葉に兄様は肩を竦め私を真っ直ぐに見る、

「嫡男なんて言ったって所詮は僕は子供の中で一番年上だからだよ、この国は実力さえあれば男女関係ないんだから」

兄様はそんな事をサラッと言うが、この乙女ゲーム悪役令嬢として産まれてしまった為、未来は無いと思っていた方が良いと思う、
最後まで諦めない!そして今世の家族に悲しい思いをさせたくない。

私はニコニコと笑いながら今世での目標を立てる。
出来たら普通に結婚をして、子供を沢山産み、老後は夫と二人で孫の面倒を見ながらゆっくり過ごしたい。最後はベットの周りに子供、孫、曾孫を集めて・・・。私はそこまで生きていたい!

そうこれは最終目標!今を生きなければ!人生はゲームじゃないから。
私は姉様の手を握り微笑む、手を握られた姉様は凄く嬉しそうに握り返してくれた。顔を赤くして手をモジモジしながら姉様お願いをする。

「お姉様明日は宜しくお願いします。」

「任せて!明日は私が一緒だから大丈夫よ!」

姉様は私の手を両手で握りしめ微笑みながら了承してくれた。私は「ありがとうございます嬉しいですお姉様」と抱き着いたが、私がいきなり抱きついた姉様驚いて「はぁ・・・幸せ」とプルプルと震える、何かをブツブツと言うと私に頬ずりをしようとするが、寸前で兄様の手が私と姉様の頬の間に入る、姉様を呆れ顔で見ていた兄様は咳払いをして濁すが。肝心の姉様は濁すつもりは無いようだ、邪魔をされたと兄様を涙目で睨む、

「何するんですか?!天使と遊んでいるのに!」

「ボレアリスいい加減にしろよ、嫌われても知らないぞ!」

「何を言っているのです?トゥカーナは私の事が大好きなのです!」

「えぇ?!なんで知ってるのですか?わたしは・・・お姉様やお兄様、お父様とお母様、ロッテや他の皆の事も好きですよ?」

私が離れると姉様は兄様を恨めしい様に睨み、お母様はアーロンと話しながら私達を優しく見守る、私も将来こんな家庭を築きたい。だけどもうお子様は寝る時間なのか瞼が重い、早々と就寝の挨拶をして寝よう、

「お母様、お兄様、お姉様、天使様が素敵な夢を見せてくれます様に」

「トゥカーナ天使様が素敵な夢を運んでくれます様に」

私はロッテと一緒に部屋に帰るとばっぱと着替えさせられるが私の頭は夢の中、ロッテに抱っこしてもらいそのままベッドに入ったらしい、

「お嬢様。天使様が素敵な夢を運んでくれます様に」

ロッテは音を立てないように部屋の外に出た。



鳥の鳴き声で目が覚め、私はベッドの中でぼんやりする頭を起こす。頭脳だけ大人でもダメなんだ・・・あの名探偵は凄いな、夜中に活動してなかったけ?私はとても無理そうだと、ベッドから上半身を起こした。

「ファ・・・寝るの遅かったからまだ眠い・・・」

眠い目を擦りながら欠伸をする、昨日はかなり遅くまで起きていた様に感じるが、昨日寝る前の記憶はロッテと一緒に部屋に入った辺りだった、朝起きると私はベッドで寝ていた、
優秀な侍女ロッテが夜着に着替えさせベッドに運んでくれたのだろう、お礼を言いたいが多分「当たり前の事です。お嬢様使用人に礼は不要ですよ。」とピシャリと言われてしまう未来しか見えない、
そして今日は楽しみにしていた見学の日、お母様に少しだけ領地の問題を聞き、もし解決出来るならして頂戴。と許可をもらった。

「最近魚の漁獲量に対して消費が少ないのよね、何かないかしら?」

まずはその解決策を考えましょう!とお母様から何に加工しているのか等の話をしてもらい、姉様と頭を寄せ合い考える、加工品といっても日持ちがする訳では無い、精々もって1週間位らしい、冷蔵庫があるならもう少し持つらしいけど、

この世界に冷凍庫や冷蔵庫が無い、直ぐに傷んでしまう、貴族は熱が通らない金属に氷を入れて冷蔵庫の変わりをしているらしいが、その金属が高い為、庶民は限られた人(富裕層)だけになる、

漁獲量に対して・・・って話は前世でもあったなぁ。大きな魚が上がると血抜きや神経を抜くとか書いてあった。
小さい魚だと干物にしたり、煮て油に浸したり、煮付けにしたり色々メニューはある。ちなみに前世ではシーチキンを手作りした事がある。お母さんや妹や弟に添加物を抜いた物を食べさせたくて作った。添加物を抜くと途端に長期保存が出来なくなる、
手間は掛からないが保存が効かない、加熱用マグロ、カツオを買ってきて炊くから、ボロボロになる。それをつまみ食いに来た弟と一緒にサラダにして食べたのはいい思い出。マサは元気にしてるかな・・・。

シーチキンと言えばマヨネーズよね?帰って来たら料理長にお願いをして作ってもらいましょう。パンにはさんだらシーチキンサンドの出来上がり!そこでお腹がぐぅーと鳴った。

「お腹空いたなぁ。朝ごはんなんだろう・・・」

私はロッテに着替えさせて貰い下に降りる、私の最近の悩み・・・それは、お父様の事で行ってらっしゃいのハグ・・・正直に言うと痛い、
お父様にもう少しハグを弱く出来ないかお父様に言ってみる、笑い事じゃないけど骨が折れそうな時もあるし、子供の骨は細いって事お父様は知ってるのかな?



朝食を終えて優雅にお茶を飲むお父様に
今日の領地の見学に行く事を楽しみにしてる事や、昨日お兄様に聞いた教会の事、話したい事は沢山ある。だがしかし!

ここ重要!私はテーブルに手をバンと着きお願いする。
お父様!もう少しハグ弱くして下さい!と
必殺技を使いお願いをすると、お父様は狼狽えながらも了承してくれたが、行ってらっしゃいのハグの強さは一緒だった・・・。なぜ・・・?

「トゥカーナ行ってくるよ」

「ぐぇ!」

横で兄様は肩を揺らし笑ってる、後から聞いたら、姉様はお父様に呆れて何も言えなかったらしい。
領地見学の時に私もアーロンに相談してみよう、そう決意した。
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