男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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※少し月日が経ってます

 それは良く晴れた日の出来事。
 ガフティラベル帝国にとっては大変な宴であった。
 バルコニーから手を振るアンドュアイスと寄り添う花嫁。
 女性にしては身長が高いが、アンドュアイスが長身なので丁度良い身長差だ。

 若草色の長い髪をアップにしてティアラを乗せている。
 稲穂色の瞳が微かに潤んでいる。

 絶世の美女な訳ではない。
 だが女性を見て好感を抱かないものは少ないだろう。

 それほど女性は幸せそうな笑顔を浮かべていた。

 こんなにも無邪気に笑う女性がどれ程居るだろうか?
 貴族の淑女はお高くとまってこんな人を和ませる笑顔なぞ浮かべる事は出来ないだろう。
 町民なら無邪気に笑う娘もいるかもしれない。
 だが無邪気でありながら品を持った笑顔は無理だろう。

 女性は生まれが良い事を体現している。
 背筋がしゃきりと伸びて、バルコニーの下の民へと振る手は優雅だ。

 ガフティラベル帝国の民は知らない。
 この女性が異国で男として育っていた事を。
 聖騎士に迄上り詰めるほど剣と魔術の才能があった事を。
 だが知らなくても良いのだ。

 民はこれから知っていく。
 女性―ルーシュ・サウザント・ドラゴニアがどういった女性であるかを。
 アンドュアイスが選んだ伴侶がどれ程、強く、優しく、気高い魂を持っているのかを。

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!」」」」」

 民が声を大きく上げた。
 皆空を見上げている。
 天高い青空から、ひらりひらりと様々な色の花びらが2人を祝福するように降って来たのだ。
 花弁は国全土に振り続ける。

「神が祝福してらっしゃる!」

「天から花が降るなんて!?」

「降り注ぐ花に彩られて、何と美しい姿のお2人だ!」

 ガフティラベル帝国の民は天から降る花を神の祝福と信じ、この結婚が間違いで無かったことに心揺さぶられた。

 アンドュアイスが優秀過ぎるせいで他国の貴族など、とルーシュを認めない者も居たのだ。

 だがこの光景を見て、誰が文句をつけれようか。
 間違いなく人以上の存在からの祝福だ。
 天が人を認めたのだと民衆はさらに興奮するのだった。

「これ、サイヒだよね~」

「祝いの席に来ない癖にこんなサプライズするって…これじゃぁ怒れないじゃんか」

「ルーシュ、サイヒに愛されてるね~」

「今日確信しましたよ。こんな祝いを貰って嫌われてるとは思いませんからね」

「でもルーシュの事1番好きなのはボクだってちゃんと覚えておいてね」

 甘い声で耳元で囁かれて、ルーシュは花嫁にあるまじき失神をしそうになった。
 その体を抱きしめて体勢を立て直そうとアンドュアイスが嬉しそうな笑顔でするものだから、民衆はますます他国から来た花嫁を歓迎する声をあげた。

 ハッピーウェディング!
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