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「案ずるな、私は心は男だ」
「いや案ずりますよ!結局肉体の性別は同じじゃないですか!」
”冬の化身”の2つ名を持つ聖騎士団長ポラリスほぅ、と溜息を吐いた。
そんな姿まで絵になる男装の麗人である。
「冷たいなルーシュ、お主が私に男体化の術を教えれば性別の問題は乗り越えられるだろう?」
「いえ、あれ男体化ではなくて限りなく肉体を男に近づけただけですから。ポラリス様が昔から欲しがっていた男のブツは生えませんから」
「だが見た目は今より男らしくなるのであろう?」
「まぁ男らしくなるんですけど…私はポラリス様の外見好きなんであんまりむさ苦しくはなって欲しくないですね。ポラリス様にすね毛が生えるとか勘弁して下さい」
「相変わらず女好きだなお主も」
「女が好きなんじゃなくて綺麗なものが好きなんです」
「つまり私の外見は好みなのだな?」
「それは認めます」
「ではこの外見のまま男になる術を探すか…お主の友人のカカンの聖女なら知っておらぬか?」
「知ってそうで怖いから敢えて聞いてませんよ…」
ルーシュは男として育てられたため男勝りだが、決して男になりたい訳ではない。
心の性別はちゃんと女だ。
そしてポラリスは立ち振る舞いこそ優雅だが、心の性別は男だ。
その嗅覚で本能的にルーシュの性別を看破し、ルーシュが聖騎士であった頃からこうして口説いてくるのだ。
おかげでポラリスがルーシュに絡んだ後の居心地の悪さと言ったら。
ポラリスは男装しているし心の性別は男だしだが、見た目は美女なのだ。
それもめったにお目にかかれぬレベルの。
身長が高く体の凹凸は乏しいが、顔だけでソレを補って余るおつりがくる。
ルーシュだって自分が男だったらポラリスの求愛に脊髄反射で答えた事だろう。
だがその場合、女が好きなポラリスがルーシュを好きになる可能性が無いので虚しい想像だが。
「それにしても、メイド姿。本当に愛らしい」
「ポラリス様、1度眼科を受診する事をお勧めします。こんなデカい女の何処が可愛いんですか?」
「審美眼は至って標準のつもりだが?お主こそ1度ちゃんと鏡を見た方が良いぞ。もれなく美少女が拝めるぞ」
「いや、精々良く出来た女装でしょ?鏡見る気になりません、マジで」
「相変わらず自己評価の低い女子だ」
「剣と魔術にはそこそこ自信があります」
「お主の実力でそこそこと言いう辺りで充分自己評価が低いぞ。1人で1軍隊滅ぼせる実力がありながら」
「私の友人に比べたら蟻とドラゴン位の差はありますよ」
「それは友人がおかしいと思うぞ…」
「仕方ないじゃないですか。心開ける友人がサイヒだけだったんですから!基準が全部サイヒ基準になるんです!」
「あの聖女が世の基準だったら世の中のほぼ全てが微生物だぞ…蟻な分、お主も十分規格外だ。そしてあの聖女は人外だから基準はするな」
「私の唯一の友人を人外扱いしないで下さいよ…」
「ちょっとした嫉妬だ。拗ねるな、可愛くて食べてしまいたくなる」
「ひぃっ!」
「そこまで怯えなくても良いだろう?こんな場所では襲ったりはせん。ちゃんとムードのある初体験を用意してやるから期待して待っておれ」
白い騎士服に身を包んだ男装の王女は、手をひらひらと振りながら去っていく。
そんな姿まで様になっていて、ついこの間まで男装していたルーシュはなんだか悔しい思いをする。
「私より身長低いくせにぃ~っ!」
ルーシュ174センチ。
ポラリス173センチである。
ちなみに167センチのサイヒには会うたびに「縮め」と頭を押さえつけられるのは様式美である。
「って、早く帰らないとウチの聖女が五月蠅いな」
:::
「何時までトイレに時間かかってるのよ!どんだけ糞詰まり起こしてたわけ!?」
「いえ、城内が広くて迷子になっておりました。申し訳ありません聖女様」
今日だけは糞聖女のウザさも可愛いものだと思う。
それほどポラリスとの会話に疲れたのだ。
(あの人と話すとドッと疲れるんだよなぁ…何で懐かれたんだ?)
肩を落としルーシュは溜息を飲み込んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
会うたびにサイヒに頭を押さえつけられるルーシュ。
2人はお互い唯一の同性の友人なのでとても互いを大切に思っております。
ルーシュはサイヒが基準で物事を考えるので自分を小さく見積もりがちですが、その実”類は友を呼ぶ”で規格外の戦闘能力を持った人誑しです(*´▽`*)
「いや案ずりますよ!結局肉体の性別は同じじゃないですか!」
”冬の化身”の2つ名を持つ聖騎士団長ポラリスほぅ、と溜息を吐いた。
そんな姿まで絵になる男装の麗人である。
「冷たいなルーシュ、お主が私に男体化の術を教えれば性別の問題は乗り越えられるだろう?」
「いえ、あれ男体化ではなくて限りなく肉体を男に近づけただけですから。ポラリス様が昔から欲しがっていた男のブツは生えませんから」
「だが見た目は今より男らしくなるのであろう?」
「まぁ男らしくなるんですけど…私はポラリス様の外見好きなんであんまりむさ苦しくはなって欲しくないですね。ポラリス様にすね毛が生えるとか勘弁して下さい」
「相変わらず女好きだなお主も」
「女が好きなんじゃなくて綺麗なものが好きなんです」
「つまり私の外見は好みなのだな?」
「それは認めます」
「ではこの外見のまま男になる術を探すか…お主の友人のカカンの聖女なら知っておらぬか?」
「知ってそうで怖いから敢えて聞いてませんよ…」
ルーシュは男として育てられたため男勝りだが、決して男になりたい訳ではない。
心の性別はちゃんと女だ。
そしてポラリスは立ち振る舞いこそ優雅だが、心の性別は男だ。
その嗅覚で本能的にルーシュの性別を看破し、ルーシュが聖騎士であった頃からこうして口説いてくるのだ。
おかげでポラリスがルーシュに絡んだ後の居心地の悪さと言ったら。
ポラリスは男装しているし心の性別は男だしだが、見た目は美女なのだ。
それもめったにお目にかかれぬレベルの。
身長が高く体の凹凸は乏しいが、顔だけでソレを補って余るおつりがくる。
ルーシュだって自分が男だったらポラリスの求愛に脊髄反射で答えた事だろう。
だがその場合、女が好きなポラリスがルーシュを好きになる可能性が無いので虚しい想像だが。
「それにしても、メイド姿。本当に愛らしい」
「ポラリス様、1度眼科を受診する事をお勧めします。こんなデカい女の何処が可愛いんですか?」
「審美眼は至って標準のつもりだが?お主こそ1度ちゃんと鏡を見た方が良いぞ。もれなく美少女が拝めるぞ」
「いや、精々良く出来た女装でしょ?鏡見る気になりません、マジで」
「相変わらず自己評価の低い女子だ」
「剣と魔術にはそこそこ自信があります」
「お主の実力でそこそこと言いう辺りで充分自己評価が低いぞ。1人で1軍隊滅ぼせる実力がありながら」
「私の友人に比べたら蟻とドラゴン位の差はありますよ」
「それは友人がおかしいと思うぞ…」
「仕方ないじゃないですか。心開ける友人がサイヒだけだったんですから!基準が全部サイヒ基準になるんです!」
「あの聖女が世の基準だったら世の中のほぼ全てが微生物だぞ…蟻な分、お主も十分規格外だ。そしてあの聖女は人外だから基準はするな」
「私の唯一の友人を人外扱いしないで下さいよ…」
「ちょっとした嫉妬だ。拗ねるな、可愛くて食べてしまいたくなる」
「ひぃっ!」
「そこまで怯えなくても良いだろう?こんな場所では襲ったりはせん。ちゃんとムードのある初体験を用意してやるから期待して待っておれ」
白い騎士服に身を包んだ男装の王女は、手をひらひらと振りながら去っていく。
そんな姿まで様になっていて、ついこの間まで男装していたルーシュはなんだか悔しい思いをする。
「私より身長低いくせにぃ~っ!」
ルーシュ174センチ。
ポラリス173センチである。
ちなみに167センチのサイヒには会うたびに「縮め」と頭を押さえつけられるのは様式美である。
「って、早く帰らないとウチの聖女が五月蠅いな」
:::
「何時までトイレに時間かかってるのよ!どんだけ糞詰まり起こしてたわけ!?」
「いえ、城内が広くて迷子になっておりました。申し訳ありません聖女様」
今日だけは糞聖女のウザさも可愛いものだと思う。
それほどポラリスとの会話に疲れたのだ。
(あの人と話すとドッと疲れるんだよなぁ…何で懐かれたんだ?)
肩を落としルーシュは溜息を飲み込んだ。
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会うたびにサイヒに頭を押さえつけられるルーシュ。
2人はお互い唯一の同性の友人なのでとても互いを大切に思っております。
ルーシュはサイヒが基準で物事を考えるので自分を小さく見積もりがちですが、その実”類は友を呼ぶ”で規格外の戦闘能力を持った人誑しです(*´▽`*)
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