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そして全能神は愉快犯となった
【100話】
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カラン
扉が開くと同時に鐘がなる。
何故か店の中に居る者は、何かが気になってそちらの方向を向いた。
虫の知らせと言うヤツだろうか?
((((((((!?))))))))
そしてその場に居た全員が目を見開き息を飲んだ。
「兄様、今日は何を召し上がるんですか?」
「普段食べないジャンクな物だな」
黒髪にエメラルドの瞳の少年が、同行者に問うた。
同行者の銀髪に青銀の少年が答える。
2人は性別を感じさせない中性的な美貌の持ち主だった。
声も男か女か分からない甘い落ち着いたアルト。
弟であろう黒髪の少年の方が愛らしい雰囲気を出しているのに対して、兄と呼ばれた銀髪の少年は視線だけで世の女の魂を奪いそうな色香が漂っていた。
一見性別が分からないが、体のラインがシャープで女性特有の曲線を描いていないので皆男なのだろうと結論付けた。
年齢は2人共17~8歳ほど。
年子かもしかしたら双子かもしれない。
2人は店の奥の目立たないテーブルを選び着席する。
自分たちが目立つ自覚はあるらしい。
すでに扉を開いた時点で店中の視線を集めているのだが…。
男は黒髪の少年の儚さのある美貌に視線を奪われる。
女は銀髪の少年の艶っぽい男の色気に視線を奪われる。
流し目の一つでもしたら腰が砕ける事だろう。
だが2人は他人の視線を気にして無い様だ。
やたら距離感覚が近い2人は楽しそうにメニュー表を見ている。
「兄様、ボクは”ポテトチップス”と言うモノを食べて見たいです」
「確かにマロンさんは作ってくれないからな。なら私はこの”ねるね〇ねる〇”と言うものを食べてみよう」
よく分からないラインナップのメニューを置いている店である…。
だが2人の美少年は興味をそそられたらしい。
銀髪の兄の方が手を上げウェイトレスを呼ぶ。
ちなみにメニュー表に夢中だった2人は、ウェイトレスたちが見えない所で誰が2人のテーブルに行くかキャットファイトをしていた事に気付いていない。
他の客は引いていたが気持ちは分かってしまうようだ。
そして見事勝利を得た覇者が2人の注文を取りに来た。
「私にはコレを。弟にはコレを頼む。飲み物はコー〇を2つ」
「はい、承りました!お2人はお店初めてですよね?御名前は何と言われるのでしょうか!?」
これは誰もが聞きたかったことなのだろう。
店に居るものが耳をダンボにして聞き耳を立てている。
「私は”レン”、弟は”コウジュ”だ。以後お見知りおきを」
ふっ、と微かに銀髪の少年ーレンが薄い微笑を浮かべた。
ウェイトレスは膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪えた。
ここで崩れれば取れる情報が取れなくなってしまう。
バンッ!
カランッ!!
大きな音を立てて扉が開いた。
「見つけましたよお二方」
地を這うような低い声が乱入者から発せられた。
オレンジ色の髪に青緑の瞳の美丈夫だ。
2人の少年には敵わないが美形。
何より大人の男にしかない頼もしさが感じられる。
店の女性がキャッキャッと嬉しそうに声をあげる。
「あっ、クオンさん」
「うむ、思ったより早く見つかったな。母上に【探知】をされたのだろうな」
焦った様子のコウジュと何やら楽しそうなレン。
「帰りますよ」
「注文をしてしまった」
「オーダーは取り消せますか?」
「は、はいぃぃ」
3人の美形に挟まれてウェイトレスは真っ赤な顔で首を縦にコクコク振った。
そして嵐の様な存在感の2人の兄弟はクオンと呼ばれる美丈夫に首根っこを引っ掴まれて連れて行かれた。
((((((((嵐の様だった………)))))))))
皆が暫く3人の去った扉を凝視して固まっていた。
:::
「カマラ様、ドラジュ様!王宮から逃げ出したあげくあんなジャンクな物を食べようとするとは何事ですか!?」
「市民が食べている者を食べて見たかった」
「……ポテトチップス………」
ケロッとしているカマラとシュンとしているドラジュ。
双子でも大分性格が違うらしい。
簡単に言うとカマラがサイヒ似でドラジュがルーク似である。
「市民の生活に興味を持たれるのは結構な事です。で・す・が!お2人は何歳ですか!?」
「生後3ヵ月だが何か?」
「何か?じゃないでしょう!まだ離乳食を食べる年です!添加物にまみれたモノは成長に良くありません!!しかも外見年齢を成人近くまで変えてする事ですか!?」
「生後3ヵ月では外を出歩けないからな」
「出歩けないからな、じゃありません!あまりサイヒを見習わないで下さい!!」
「我が母親ながら随分な言われようだ」
「クオンさんはお母さまがお嫌い?」
「嫌いなわけでは無いですが、言動に問題が多い注意人物だとは思っています。ルーク様はその点サイヒに関わらなければ良い上司なのですが…ドラジュ様はルーク様似なので大人しくて助かりますが。カマラ様の誘惑に負けて何処へでも付いて行くのはお停めください!!」
「誑かした覚えはないぞ?」
「覚えが無いから質が悪いんですカマラ様とサイヒは!」
「お兄様はお母様と似て格好良いです!!」
頬をバラ色に染めてドラジュがカマラを見る。
その視線にカマラは笑みを返す。
ドラジュは耳まで真っ赤に染めた。
(駄目だ、この兄弟…ルーク様とサイヒのミニチュア版だ………)
「マロンが作る料理では物足りないのですか?」
「いや、マロンさんの作る料理は最高だ。ただジャンク、と言うモノに興味があっただけだ」
「せめて、外見年齢と実年齢が見合うようになってから外の店に行って下さい……」
あまりにもサイヒに似たカマラにクオンは胃が痛くなった。
ドラジュは本当に育てやすいのだが……。
「それでは姿を戻して下さい。マロンがお昼のお茶の準備をしていますから」
「今日のメニューはなんでしょうね、兄様?」
「マロンさんが作るなら何でも美味しいさ。楽しみだ。さて術を解くか」
ボフンッ!
2人の姿を隠す様に煙が上がった。
腫れた煙の中から出て来たのは、それはそれは愛らしい生後3か月の赤子の姿だ。
ちなみに着ているものも幼児の衣類に変わっている。
「手をきちんと洗って下さいよ」
「「はぁ~い」」
這い這い期が既に終わっている赤子2人はトテトテと王家用の食堂に向かった。
「サイヒが2人になったみたいだ……」
クオンはカマラの行動に振り回されながら、胃をさすりながら2人が向かった食堂へと向かうのだった。
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サイヒ似の兄(仮)カマラとルーク似の弟(仮)のドラジュです。
カマラのお陰でクオンの胃痛が倍返しです。
まだ恋愛する年齢でも無いので、子供たちの性別は無性のままです(*´▽`*)
扉が開くと同時に鐘がなる。
何故か店の中に居る者は、何かが気になってそちらの方向を向いた。
虫の知らせと言うヤツだろうか?
((((((((!?))))))))
そしてその場に居た全員が目を見開き息を飲んだ。
「兄様、今日は何を召し上がるんですか?」
「普段食べないジャンクな物だな」
黒髪にエメラルドの瞳の少年が、同行者に問うた。
同行者の銀髪に青銀の少年が答える。
2人は性別を感じさせない中性的な美貌の持ち主だった。
声も男か女か分からない甘い落ち着いたアルト。
弟であろう黒髪の少年の方が愛らしい雰囲気を出しているのに対して、兄と呼ばれた銀髪の少年は視線だけで世の女の魂を奪いそうな色香が漂っていた。
一見性別が分からないが、体のラインがシャープで女性特有の曲線を描いていないので皆男なのだろうと結論付けた。
年齢は2人共17~8歳ほど。
年子かもしかしたら双子かもしれない。
2人は店の奥の目立たないテーブルを選び着席する。
自分たちが目立つ自覚はあるらしい。
すでに扉を開いた時点で店中の視線を集めているのだが…。
男は黒髪の少年の儚さのある美貌に視線を奪われる。
女は銀髪の少年の艶っぽい男の色気に視線を奪われる。
流し目の一つでもしたら腰が砕ける事だろう。
だが2人は他人の視線を気にして無い様だ。
やたら距離感覚が近い2人は楽しそうにメニュー表を見ている。
「兄様、ボクは”ポテトチップス”と言うモノを食べて見たいです」
「確かにマロンさんは作ってくれないからな。なら私はこの”ねるね〇ねる〇”と言うものを食べてみよう」
よく分からないラインナップのメニューを置いている店である…。
だが2人の美少年は興味をそそられたらしい。
銀髪の兄の方が手を上げウェイトレスを呼ぶ。
ちなみにメニュー表に夢中だった2人は、ウェイトレスたちが見えない所で誰が2人のテーブルに行くかキャットファイトをしていた事に気付いていない。
他の客は引いていたが気持ちは分かってしまうようだ。
そして見事勝利を得た覇者が2人の注文を取りに来た。
「私にはコレを。弟にはコレを頼む。飲み物はコー〇を2つ」
「はい、承りました!お2人はお店初めてですよね?御名前は何と言われるのでしょうか!?」
これは誰もが聞きたかったことなのだろう。
店に居るものが耳をダンボにして聞き耳を立てている。
「私は”レン”、弟は”コウジュ”だ。以後お見知りおきを」
ふっ、と微かに銀髪の少年ーレンが薄い微笑を浮かべた。
ウェイトレスは膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪えた。
ここで崩れれば取れる情報が取れなくなってしまう。
バンッ!
カランッ!!
大きな音を立てて扉が開いた。
「見つけましたよお二方」
地を這うような低い声が乱入者から発せられた。
オレンジ色の髪に青緑の瞳の美丈夫だ。
2人の少年には敵わないが美形。
何より大人の男にしかない頼もしさが感じられる。
店の女性がキャッキャッと嬉しそうに声をあげる。
「あっ、クオンさん」
「うむ、思ったより早く見つかったな。母上に【探知】をされたのだろうな」
焦った様子のコウジュと何やら楽しそうなレン。
「帰りますよ」
「注文をしてしまった」
「オーダーは取り消せますか?」
「は、はいぃぃ」
3人の美形に挟まれてウェイトレスは真っ赤な顔で首を縦にコクコク振った。
そして嵐の様な存在感の2人の兄弟はクオンと呼ばれる美丈夫に首根っこを引っ掴まれて連れて行かれた。
((((((((嵐の様だった………)))))))))
皆が暫く3人の去った扉を凝視して固まっていた。
:::
「カマラ様、ドラジュ様!王宮から逃げ出したあげくあんなジャンクな物を食べようとするとは何事ですか!?」
「市民が食べている者を食べて見たかった」
「……ポテトチップス………」
ケロッとしているカマラとシュンとしているドラジュ。
双子でも大分性格が違うらしい。
簡単に言うとカマラがサイヒ似でドラジュがルーク似である。
「市民の生活に興味を持たれるのは結構な事です。で・す・が!お2人は何歳ですか!?」
「生後3ヵ月だが何か?」
「何か?じゃないでしょう!まだ離乳食を食べる年です!添加物にまみれたモノは成長に良くありません!!しかも外見年齢を成人近くまで変えてする事ですか!?」
「生後3ヵ月では外を出歩けないからな」
「出歩けないからな、じゃありません!あまりサイヒを見習わないで下さい!!」
「我が母親ながら随分な言われようだ」
「クオンさんはお母さまがお嫌い?」
「嫌いなわけでは無いですが、言動に問題が多い注意人物だとは思っています。ルーク様はその点サイヒに関わらなければ良い上司なのですが…ドラジュ様はルーク様似なので大人しくて助かりますが。カマラ様の誘惑に負けて何処へでも付いて行くのはお停めください!!」
「誑かした覚えはないぞ?」
「覚えが無いから質が悪いんですカマラ様とサイヒは!」
「お兄様はお母様と似て格好良いです!!」
頬をバラ色に染めてドラジュがカマラを見る。
その視線にカマラは笑みを返す。
ドラジュは耳まで真っ赤に染めた。
(駄目だ、この兄弟…ルーク様とサイヒのミニチュア版だ………)
「マロンが作る料理では物足りないのですか?」
「いや、マロンさんの作る料理は最高だ。ただジャンク、と言うモノに興味があっただけだ」
「せめて、外見年齢と実年齢が見合うようになってから外の店に行って下さい……」
あまりにもサイヒに似たカマラにクオンは胃が痛くなった。
ドラジュは本当に育てやすいのだが……。
「それでは姿を戻して下さい。マロンがお昼のお茶の準備をしていますから」
「今日のメニューはなんでしょうね、兄様?」
「マロンさんが作るなら何でも美味しいさ。楽しみだ。さて術を解くか」
ボフンッ!
2人の姿を隠す様に煙が上がった。
腫れた煙の中から出て来たのは、それはそれは愛らしい生後3か月の赤子の姿だ。
ちなみに着ているものも幼児の衣類に変わっている。
「手をきちんと洗って下さいよ」
「「はぁ~い」」
這い這い期が既に終わっている赤子2人はトテトテと王家用の食堂に向かった。
「サイヒが2人になったみたいだ……」
クオンはカマラの行動に振り回されながら、胃をさすりながら2人が向かった食堂へと向かうのだった。
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サイヒ似の兄(仮)カマラとルーク似の弟(仮)のドラジュです。
カマラのお陰でクオンの胃痛が倍返しです。
まだ恋愛する年齢でも無いので、子供たちの性別は無性のままです(*´▽`*)
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