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そして全能神は愉快犯となった
【99話】
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※ちょっぴりメタ発言あり
「そう言えば、結局お兄様がルーク様と愛し合うように作られた、と言うのはどう言う事なのでしょうか?」
今日もサイヒとルークはイチャイチャしている。
2人の子供たちも父母の膝の上でマロン特性の離乳おやつをモグモグしている。
その口の周りをマロンは拭ってやりながらサイヒに問うた。
実は結構気になっていたのだ。
隣でクオンは哺乳瓶に入ったミルクの温度を確認していた。
何と言うかどちらが親なのか分からない光景だ。
父母、子供の前で自重しろ!と言いたいところだが2人が仲良くしていると子供たちの機嫌も良いのでクオンも文句を言えない。
どうやらこの幼児たちは両親フリークなようだ。
産まれて3カ月。
あまりにも精神の成長が早い。
神と魔王の子にもなると育ち方が人の事は違うのかも知れない。
「作られた、と言っても私が人間であることには変わりはない。遠い祖先に魔族や古代種が居たりするからな」
「「「古代種?」」」
「神話時代の生き残りだ。数億年生きている人間で、神話時代の文明が崩壊して生き物が絶滅していく中生き残った特殊能力を得た希少な人間の生き残りの事を言う。私の中にもその古代種の1人の血が流れている」
「数億年……」
「規模が凄いな」
ルークとクオンが目を見張っている。
あまりにも話のスケールが大きすぎる。
「神話時代以降に生まれた神や悪魔何かは古代種の保護の元成長したモノが多い。私の祖先の古代種は【戦闘特化】の能力の持ち主で、神をも殺す【神屠】などと呼ばれていたらしい。私の戦闘能力はその古代種の先祖返りの能力だ」
「だからお兄様はそれほどお強いのですね」
「まぁそうなるな。で、その古代種と結ばれたのが高位魔族だ。魔術を得意としていたらしいな」
「魔族と言うとカークンさんたちのような存在ですか?」
「いや、少し違う。魔族は瘴気を好み強い魔力を持った長命種の”人間”に過ぎない。遺伝子レベルで言うなら獣人より魔族の方が人間により近い。まぁ魔力が大きすぎる人間と言う認識で良い。
カークン達は純アストラル体と言い、生身の体は持たない。アストラル体と呼ばれるエネルギーの塊が肉体を具現化させて存在だ。
神・天使・悪魔・精霊などがこれに当たる。エルフなんかは精霊と人の間の子、と言ったところだな。なので私の肉体は先祖返りを起こしていると言ってもほぼ純粋な人間だ。
まぁ全能神になったせいで寿命は大幅に伸びたがな」
「では色々知識があるのもその”コダイシュ”と”魔族”から受け継いだものなのか?」
ドラジュをあやしながらルークが問う。
赤ちゃんとルークの2ショットが額に収めておきたい位に可愛い。
サイヒは顔に出さずそう思った。
ルークもカマラを抱いたサイヒをそう思っている事はサイヒは知らない。
似たもの夫婦である。
「いや、知識の1つはカカンの”異世界の大聖女”、今は”海の名の大聖女”などと呼ばれている聖女の存在が大きい。この聖女は異世界出身と言われているが実際には神話時代の一般市民だ。その神話時代の知識を駆使してカカンを立て直したらしいがな。
そしてその伴侶が先程話した古代種と魔族の子孫にあたる。
2人が作った破邪結界は有名だから今は子供でも知っているな。中々の有名どころだろう。
この2人の間に生まれるのが私の父の血縁になるな」
「お、おいお前の血筋、スケールが凄すぎないか……」
ミルクを腕に1滴たらして温度を確認しながらクオンが眉間に皺を寄せていた。
きっと胃が痛んできたのであろう。
マロンがティーポーションの用意を始めたので間違いない。
「いや知識1と言っただろう。知識その2が存在する。800年前のクロイツの特号博士、これも私の祖先の1人だ」
「800年前と言ったら癒しの聖女”ラピス”の伴侶の?」
「そう、クロイツは失われなかった神話時代の遺産がたっぷり残っているからな。ソレを理解し使いこなしていたのは長い年月の中、数えるほどしかいないが。
その数えるほどしかいない人物の中で歴代随一の頭脳の持ち主言われた”ダート・クロイツ”が私の祖先の1人に当たる。そしてその伴侶の癒しの聖女”ラピス”もだな。私の法術はラピス発祥の独自の術式が多いぞ。
そしてこちらが母の家計の血筋にあたる」
「お前…素性を聞けば聞くほどバケモノ度が増すな………」
「まぁそんな血筋が複雑に絡まったのが先代のせいだ。先代の全能神、古代種の【全知全能】が魔王が人間の肉体で地上に生まれると予知し、その遺伝子と全く逆の者の血を掛け合わせたら私の血筋になったと言う訳だ」
「遺伝子が全く逆なのが良いのですか?」
「生物と言うのはより強い子孫を残すために自分の遺伝子と真反対の遺伝子との間に子を生す事でより様々な環境に強い子孫を残そうとする。人間も無意識にそれを行っている。
そして【全知全能】は魔王と真反対の私を生み出して、愛し合う者同士が殺し合いに発展したら面白いだろうと考えた訳だ。
その結果私が生まれた」
「と言う事はお前はルーク様を殺すために生まれて来たのか!?」
「そう言う事だな。まぁ【全知全能】の失敗は私がルークに惚れ込んでいた事だろうな。まさか人間に害をなすはずの魔王を取り、人間を護る”全能神”の自分を討ちに来るとは思わなかったようだ。
私が来た時はそれはそれは驚いていたぞ。溜飲が下がるとはあのことを言うのだろうな。物凄くストレスが軽減された。
無力になった姿はそれは見物だった。ルークの心を弄んだ罪は重い。
まぁ私としてはルークが魔王として覚醒したら同盟を結ぶつもりで天界に来たのだがな。全能神殴りは腹いせのついでだったのだが、まさか自分が全能神になるとは思わなかった」
「脊髄反射で動くからそうなるんだ」
「心友が冷たい…」
「黙ってお前はミルクをカマラ様に飲ませて差し上げろ」
ズイ、とサイヒの前に哺乳瓶が出される。
サイヒも哺乳瓶を受け取ると慣れて付きで赤ん坊にミルクを飲ませる。
ルークもドラジュにミルクを飲ませていた。
「クオン、何故に私にタメ口でカマラに敬語なのだ?」
「お前は敬わないがカマラ様はルーク様の御子だぞ。敬うに決まっているだろう」
「実の子に負けた…」
そんな事を言いながらもサイヒはクオンが敬語で接したら逆に傷つくのだが。
対等の相手が居ないサイヒはクオンの自分を上に見ないクオンを気に入っているのだ。
すでに王宮内では皆が知っている事実である。
双子達は先程まで離乳オヤツを食べていたとは思えない勢いでミルクを飲む。
どうやら食い意地はサイヒに似た様だ。
そしてこの美貌。
これから先、生きているだけで食うに困らないだろう。
双子の将来が少しばかり心配になるクオンであった。
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古代種と魔族のカップリングは【皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?】にて。
聖女と特号博士のカップリングは【『刀神』と呼ばれる少年冒険者は実はもと『聖女』でした】にてです。
「読んでないよ!」と言う方がおられましたら、良ければこちらも御贔屓して下さいね~(*- -)(*_ _)ペコリ
「そう言えば、結局お兄様がルーク様と愛し合うように作られた、と言うのはどう言う事なのでしょうか?」
今日もサイヒとルークはイチャイチャしている。
2人の子供たちも父母の膝の上でマロン特性の離乳おやつをモグモグしている。
その口の周りをマロンは拭ってやりながらサイヒに問うた。
実は結構気になっていたのだ。
隣でクオンは哺乳瓶に入ったミルクの温度を確認していた。
何と言うかどちらが親なのか分からない光景だ。
父母、子供の前で自重しろ!と言いたいところだが2人が仲良くしていると子供たちの機嫌も良いのでクオンも文句を言えない。
どうやらこの幼児たちは両親フリークなようだ。
産まれて3カ月。
あまりにも精神の成長が早い。
神と魔王の子にもなると育ち方が人の事は違うのかも知れない。
「作られた、と言っても私が人間であることには変わりはない。遠い祖先に魔族や古代種が居たりするからな」
「「「古代種?」」」
「神話時代の生き残りだ。数億年生きている人間で、神話時代の文明が崩壊して生き物が絶滅していく中生き残った特殊能力を得た希少な人間の生き残りの事を言う。私の中にもその古代種の1人の血が流れている」
「数億年……」
「規模が凄いな」
ルークとクオンが目を見張っている。
あまりにも話のスケールが大きすぎる。
「神話時代以降に生まれた神や悪魔何かは古代種の保護の元成長したモノが多い。私の祖先の古代種は【戦闘特化】の能力の持ち主で、神をも殺す【神屠】などと呼ばれていたらしい。私の戦闘能力はその古代種の先祖返りの能力だ」
「だからお兄様はそれほどお強いのですね」
「まぁそうなるな。で、その古代種と結ばれたのが高位魔族だ。魔術を得意としていたらしいな」
「魔族と言うとカークンさんたちのような存在ですか?」
「いや、少し違う。魔族は瘴気を好み強い魔力を持った長命種の”人間”に過ぎない。遺伝子レベルで言うなら獣人より魔族の方が人間により近い。まぁ魔力が大きすぎる人間と言う認識で良い。
カークン達は純アストラル体と言い、生身の体は持たない。アストラル体と呼ばれるエネルギーの塊が肉体を具現化させて存在だ。
神・天使・悪魔・精霊などがこれに当たる。エルフなんかは精霊と人の間の子、と言ったところだな。なので私の肉体は先祖返りを起こしていると言ってもほぼ純粋な人間だ。
まぁ全能神になったせいで寿命は大幅に伸びたがな」
「では色々知識があるのもその”コダイシュ”と”魔族”から受け継いだものなのか?」
ドラジュをあやしながらルークが問う。
赤ちゃんとルークの2ショットが額に収めておきたい位に可愛い。
サイヒは顔に出さずそう思った。
ルークもカマラを抱いたサイヒをそう思っている事はサイヒは知らない。
似たもの夫婦である。
「いや、知識の1つはカカンの”異世界の大聖女”、今は”海の名の大聖女”などと呼ばれている聖女の存在が大きい。この聖女は異世界出身と言われているが実際には神話時代の一般市民だ。その神話時代の知識を駆使してカカンを立て直したらしいがな。
そしてその伴侶が先程話した古代種と魔族の子孫にあたる。
2人が作った破邪結界は有名だから今は子供でも知っているな。中々の有名どころだろう。
この2人の間に生まれるのが私の父の血縁になるな」
「お、おいお前の血筋、スケールが凄すぎないか……」
ミルクを腕に1滴たらして温度を確認しながらクオンが眉間に皺を寄せていた。
きっと胃が痛んできたのであろう。
マロンがティーポーションの用意を始めたので間違いない。
「いや知識1と言っただろう。知識その2が存在する。800年前のクロイツの特号博士、これも私の祖先の1人だ」
「800年前と言ったら癒しの聖女”ラピス”の伴侶の?」
「そう、クロイツは失われなかった神話時代の遺産がたっぷり残っているからな。ソレを理解し使いこなしていたのは長い年月の中、数えるほどしかいないが。
その数えるほどしかいない人物の中で歴代随一の頭脳の持ち主言われた”ダート・クロイツ”が私の祖先の1人に当たる。そしてその伴侶の癒しの聖女”ラピス”もだな。私の法術はラピス発祥の独自の術式が多いぞ。
そしてこちらが母の家計の血筋にあたる」
「お前…素性を聞けば聞くほどバケモノ度が増すな………」
「まぁそんな血筋が複雑に絡まったのが先代のせいだ。先代の全能神、古代種の【全知全能】が魔王が人間の肉体で地上に生まれると予知し、その遺伝子と全く逆の者の血を掛け合わせたら私の血筋になったと言う訳だ」
「遺伝子が全く逆なのが良いのですか?」
「生物と言うのはより強い子孫を残すために自分の遺伝子と真反対の遺伝子との間に子を生す事でより様々な環境に強い子孫を残そうとする。人間も無意識にそれを行っている。
そして【全知全能】は魔王と真反対の私を生み出して、愛し合う者同士が殺し合いに発展したら面白いだろうと考えた訳だ。
その結果私が生まれた」
「と言う事はお前はルーク様を殺すために生まれて来たのか!?」
「そう言う事だな。まぁ【全知全能】の失敗は私がルークに惚れ込んでいた事だろうな。まさか人間に害をなすはずの魔王を取り、人間を護る”全能神”の自分を討ちに来るとは思わなかったようだ。
私が来た時はそれはそれは驚いていたぞ。溜飲が下がるとはあのことを言うのだろうな。物凄くストレスが軽減された。
無力になった姿はそれは見物だった。ルークの心を弄んだ罪は重い。
まぁ私としてはルークが魔王として覚醒したら同盟を結ぶつもりで天界に来たのだがな。全能神殴りは腹いせのついでだったのだが、まさか自分が全能神になるとは思わなかった」
「脊髄反射で動くからそうなるんだ」
「心友が冷たい…」
「黙ってお前はミルクをカマラ様に飲ませて差し上げろ」
ズイ、とサイヒの前に哺乳瓶が出される。
サイヒも哺乳瓶を受け取ると慣れて付きで赤ん坊にミルクを飲ませる。
ルークもドラジュにミルクを飲ませていた。
「クオン、何故に私にタメ口でカマラに敬語なのだ?」
「お前は敬わないがカマラ様はルーク様の御子だぞ。敬うに決まっているだろう」
「実の子に負けた…」
そんな事を言いながらもサイヒはクオンが敬語で接したら逆に傷つくのだが。
対等の相手が居ないサイヒはクオンの自分を上に見ないクオンを気に入っているのだ。
すでに王宮内では皆が知っている事実である。
双子達は先程まで離乳オヤツを食べていたとは思えない勢いでミルクを飲む。
どうやら食い意地はサイヒに似た様だ。
そしてこの美貌。
これから先、生きているだけで食うに困らないだろう。
双子の将来が少しばかり心配になるクオンであった。
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古代種と魔族のカップリングは【皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?】にて。
聖女と特号博士のカップリングは【『刀神』と呼ばれる少年冒険者は実はもと『聖女』でした】にてです。
「読んでないよ!」と言う方がおられましたら、良ければこちらも御贔屓して下さいね~(*- -)(*_ _)ペコリ
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