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【89話】
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「全能神様――っ!」
「何処におられるのですか―――――っ!?」
その日天界は天地をひっくり返したような大騒ぎだった。
新たな全能神のお披露目兼結婚式なのだ。
天界の民は新たな我らの主を一目見ようと王都はごった返している。
まだ民たちは新たな全能神の姿を知らないのだ。
ちなみに前全能神は民からの評判がどん底だった。
傲慢すぎる彼は自分1人が居ればそれでいいと部下も民も切り捨て白の空間に居座ったからだ。
空間の歪んだ世界で天界の民は生活しなければならず、民は苦痛を強いられたのだ。
天界の9割を白の空間に染め上げ、前全能神は君臨した。
歪んだ1割の世界で天界の民は暮らした。
それを打ち破ってくれたのが現全能神である。
誰も王宮への出入りが出来なかったため現全能神の姿は謎に包まれている。
噂では美貌の少年だとか。
噂では美貌の少女だとか。
既に伴侶が居るだとか。
伴侶は魔族だとか。
伴侶との間に子を宿しているとか。
噂をすれど姿は見せず。
何せ襲名の手続きのせいで半年現全能神は王宮から出られなかったのだから。
なので民たちは今日の日を心待ちにしていた。
美しいと噂される主を少しでも近くで見るために。
その現全能神がお披露目兼結婚式のパレードを前に姿を消したことを民たちはまだ知らない。
:::
翼を持つ白馬が馬車を引いている。
馬車自体も神力を込められ【浮遊】の術式が刻まれている為、乗り心地は最高に良い王宮の馬車だ。
その馬車が王都の離れに降り立った。
「着いたか」
純白の正装をしたサイヒが口角を上げた。
高い位置で結ばれた漆黒の髪が風でたなびく。
切れ長の青銀の瞳は楽し気な光を宿していた。
馬車の数は4台。
「ふわぁぁぁ、お空の上、です」
「おいアラ、何でサイヒ様の結婚式で空の上に来るんだ!?途中で馬に羽が生えたあたりからおかしいとは思っていたが…ここは………」
「天界…ね……私、駆除されちゃわないかしら?」
茶色の髪と瞳のパステルピンクのワンピースの少女がポカンと口を開けている。
隣に並ぶのは背の高い神経質そうな黒髪黒目の白衣の男。
青いショートカットにピンクの瞳の肉感のある肢体を持つ美女。
中々に騒がしい3人組である。
「あら、ほんとに雲の上に国がありましたわローズ様」
「空間が途中で歪んだから多分雲の上にある訳では無いんだろうけどね」
「でもお父様もお母様も娘の結婚式を辞退するなんて酷いですわ」
「お2人とも君にしか興味が無いからね、仕方がないよ。僕たちだけでも盛大に祝おうマーガレット」
赤の髪に金の瞳の美形の青年が、空色の髪に翡翠色の瞳の少女を窘めている。
「流石は異世界の巫女の末裔、と言ったところだな。今やソレ所に収まらない肩書になったみたい訳だが」
「女王様!見て見て、月と太陽が両方空にある!虹もかかってて凄っく綺麗だよ。俺女王様とこれて良かったぁ」
「今ははしゃいでも良いが式になったら落ち着けよ?」
「勿論!女王様に恥かかせないもん俺、信用してよ」
「ふふ、信用してるさマガク」
黒紫のウェーブのかかった髪に琥珀色の目のネコ科の獣の尾を持つ女性に、空色の髪と瞳と翼を持つ少年が嬉しそうに話しかけている。
女性と居られるのが嬉しくて仕方ないと言う表情だ。
その興奮を宥めるように女性が少年の髪を撫でる。
「綺麗だね~ルーシュ」
「本当に何になってるんだアイツは……」
金糸に碧眼の男らしい整った容貌に上背のある逞しい男性が、若葉色の髪に稲穂色の瞳の少女に声をかける。
男の方はこれ以上ないほど男の色気を放つ外見をしているのに何故か母性本能を擽る謎の魅力がある。
テノールの声が甘く聞くだけで女性の腰を砕けさせそうな甘さだ。
一方メイド服の少女の方は上背もあり女性特有の曲線をまだ体が描いていないせいで少年じみて見える。
2人の隣には純白のグリフォンと深紅のドラゴンも控えていた。
「ふふふ、皆変わらないな」
空中から【認識阻害】で存在感を消したサイヒが客人たちを眺めていた。
今ここで会っておかなければ碌に話をする機会も無いと思い、花嫁の身でありながら王宮から姿を消していココまで来たのだ。
「さて、懐かしの面々とお話をさせて貰うとしよう。久しぶりだな皆!」
【認識阻害】を解いたサイヒは空中から地に降り、4組の前に姿を現せた。
「何処におられるのですか―――――っ!?」
その日天界は天地をひっくり返したような大騒ぎだった。
新たな全能神のお披露目兼結婚式なのだ。
天界の民は新たな我らの主を一目見ようと王都はごった返している。
まだ民たちは新たな全能神の姿を知らないのだ。
ちなみに前全能神は民からの評判がどん底だった。
傲慢すぎる彼は自分1人が居ればそれでいいと部下も民も切り捨て白の空間に居座ったからだ。
空間の歪んだ世界で天界の民は生活しなければならず、民は苦痛を強いられたのだ。
天界の9割を白の空間に染め上げ、前全能神は君臨した。
歪んだ1割の世界で天界の民は暮らした。
それを打ち破ってくれたのが現全能神である。
誰も王宮への出入りが出来なかったため現全能神の姿は謎に包まれている。
噂では美貌の少年だとか。
噂では美貌の少女だとか。
既に伴侶が居るだとか。
伴侶は魔族だとか。
伴侶との間に子を宿しているとか。
噂をすれど姿は見せず。
何せ襲名の手続きのせいで半年現全能神は王宮から出られなかったのだから。
なので民たちは今日の日を心待ちにしていた。
美しいと噂される主を少しでも近くで見るために。
その現全能神がお披露目兼結婚式のパレードを前に姿を消したことを民たちはまだ知らない。
:::
翼を持つ白馬が馬車を引いている。
馬車自体も神力を込められ【浮遊】の術式が刻まれている為、乗り心地は最高に良い王宮の馬車だ。
その馬車が王都の離れに降り立った。
「着いたか」
純白の正装をしたサイヒが口角を上げた。
高い位置で結ばれた漆黒の髪が風でたなびく。
切れ長の青銀の瞳は楽し気な光を宿していた。
馬車の数は4台。
「ふわぁぁぁ、お空の上、です」
「おいアラ、何でサイヒ様の結婚式で空の上に来るんだ!?途中で馬に羽が生えたあたりからおかしいとは思っていたが…ここは………」
「天界…ね……私、駆除されちゃわないかしら?」
茶色の髪と瞳のパステルピンクのワンピースの少女がポカンと口を開けている。
隣に並ぶのは背の高い神経質そうな黒髪黒目の白衣の男。
青いショートカットにピンクの瞳の肉感のある肢体を持つ美女。
中々に騒がしい3人組である。
「あら、ほんとに雲の上に国がありましたわローズ様」
「空間が途中で歪んだから多分雲の上にある訳では無いんだろうけどね」
「でもお父様もお母様も娘の結婚式を辞退するなんて酷いですわ」
「お2人とも君にしか興味が無いからね、仕方がないよ。僕たちだけでも盛大に祝おうマーガレット」
赤の髪に金の瞳の美形の青年が、空色の髪に翡翠色の瞳の少女を窘めている。
「流石は異世界の巫女の末裔、と言ったところだな。今やソレ所に収まらない肩書になったみたい訳だが」
「女王様!見て見て、月と太陽が両方空にある!虹もかかってて凄っく綺麗だよ。俺女王様とこれて良かったぁ」
「今ははしゃいでも良いが式になったら落ち着けよ?」
「勿論!女王様に恥かかせないもん俺、信用してよ」
「ふふ、信用してるさマガク」
黒紫のウェーブのかかった髪に琥珀色の目のネコ科の獣の尾を持つ女性に、空色の髪と瞳と翼を持つ少年が嬉しそうに話しかけている。
女性と居られるのが嬉しくて仕方ないと言う表情だ。
その興奮を宥めるように女性が少年の髪を撫でる。
「綺麗だね~ルーシュ」
「本当に何になってるんだアイツは……」
金糸に碧眼の男らしい整った容貌に上背のある逞しい男性が、若葉色の髪に稲穂色の瞳の少女に声をかける。
男の方はこれ以上ないほど男の色気を放つ外見をしているのに何故か母性本能を擽る謎の魅力がある。
テノールの声が甘く聞くだけで女性の腰を砕けさせそうな甘さだ。
一方メイド服の少女の方は上背もあり女性特有の曲線をまだ体が描いていないせいで少年じみて見える。
2人の隣には純白のグリフォンと深紅のドラゴンも控えていた。
「ふふふ、皆変わらないな」
空中から【認識阻害】で存在感を消したサイヒが客人たちを眺めていた。
今ここで会っておかなければ碌に話をする機会も無いと思い、花嫁の身でありながら王宮から姿を消していココまで来たのだ。
「さて、懐かしの面々とお話をさせて貰うとしよう。久しぶりだな皆!」
【認識阻害】を解いたサイヒは空中から地に降り、4組の前に姿を現せた。
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