婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《190話》

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「でもどうやって、天界、行く、でしょうか?」

 目指す方向線は決まった。
 目指すは才色兼備おマロンである。
 いや、マロンは才色兼備だが、どちらかと言うと良妻賢母の方がしっくりくるかもしれない。

「サイヒ様、どうぞご加護を下さい」

 己の部屋に酒を持ち込み、テーブルに置くと膝をつきお祈りをする。
 サイヒは人間の時から知っているが、今は全能神である。
 おいそれとお願いは出来ない。
 そのため奮発して酒を買ってみた。
 お店のおっちゃんが薦めてくれたので味に問題は無いと思う。

 本日の貢ぎ物は『ゴッチェ・インペリアル』である。
 何とアルコール度数が92度である。
 本気の酒好きでないと飲めないお酒だ。
 高濃度のお酒の中では唯一とてもキレイな黄色で、これは原料がサフランの花であるためだ。
 ラベルにはこのお酒を作り始めた修道院が描かれている。
 ハーブが主体となって蒸留されたリキュールで「皇帝のしずく」という名のとおりストロングな飲み物である。

 お祈りなら慣れたものである。
 2時間はサラにとって短い部類に入る。
 流石はもと聖女である。
 伊達に何時間も何年間も祈り続けていない。

 だがあの身内甘々な全能神がそんなにも長い時間、愛し子にお祈りをさせる訳がない。
 床に直接膝をつくなんて体を冷やしてしまう。
 女の子に冷えは大敵だ。

 伏せられていたサラの瞼を通して光が酒を包んだのが分かった。
 青銀色の光である。
 間違いなく全能神の力であろう。

「お酒、消えた、です」

 そして酒が置かれていたテーブルの上には『天界1週間フリーパス券』なるものが置かれていた。

「ふわぁ、サイヒ様、ありがとうござい、ます!」

 サラはフリーパス券を胸に抱えてクルクル回る。
 テンションMAXである。
 そんな仕草もセブンから見たら可愛い所であろう。
 普通の人が見たらテンションが上がりきったサラの姿には少しばかり引くかもしれない。

 フリーパス券の日付は明日から1週間であった。

 サラは忘れていた。
 今夜はセブンと同じ屋根の下で過ごさねばならぬことを。
 果たして夕食はちゃんと食べれるだろうか?
 大食漢のサラも、好きな人の前でバクバクと食べるには少し気恥しくなっていたりする。
 いや、セブンのご飯は美味しいので残す選択肢は無いが。
 そしてセブンも食べさせたい派だが。
 そこは乙女心である。

 そして天界に1週間行くことを伝えなければならない。
 どう伝えるべきか?

 「セブンさんに見合う女性になるため天界で花嫁修業してきます!」とはサラは言えないだろう。

 ただでさえセブンは全能神にさえ警戒を抱いているのだ。
 サラは知らないが。
 素直に天界行きを許されるであろうか?

「どう、しましょ、う…?」

 フリーパス券を机に戻し、取り合えず仕事で薬局に出向いているセブンの代わりに夕食を用意しようとキッチンに向かったサラなのであった。
 
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