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《75話》
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(どうしましょうどうしましょうどうしましょう!! アーシュさん、を部屋に、上げてしましまし、た。 だってどうみても熱がある、です。病人、放っておけない、です!!)
部屋にアーシュを上げて、扉を閉め鍵をかけるとサラは何故だかいけない事をしている気分になった。
セブンから女の1人身で部屋に男を言われていたのに、だ。
仕方がない。
アーシュは熱がある。
看病するのは診療所で働くサラにとって当たり前のことだ。
だが玄関に居たのがアーシュでなければ、サラは部屋に入れたであろうか?
いや、上げない。
近くの巡回をしている兵士に病人がいると伝えるだけだっただろう。
兵士が来るまでは玄関の前で看病したかもしれないが。
無意識にサラはアーシュを自分のテリトリーに入れたかったのだ。
人目に晒したくなかった。
他の人間に触らせたくなかった。
それを人は独占欲と呼ぶ。
恋に独占欲は付き物だ。
信頼しているセブンの言葉を裏切るほど、サラはアーシュの傍に居たかったのだ。
「アーシュさん、ベッドに腰かけて、下さい。汗を、拭きます」
ノロノロとした動きでアーシュがサラの指示に従う。
ベッドに腰かえたアーシュはやはり気怠げで汗をかいている。
この汗を拭いて着替えさせてからベッドに入れた方が良いだろう。
「汗を拭くから服を、脱が、す………?」
(アーシュさんの肌、見るです、か?服、脱がすの、どうしましょう、か!?抵抗できない異性の服、脱がすの良くない、で、す。何より、私が、恥ずかしい…で、す………)
前回は丸々引ん剝いた癖に、今回は上を脱がすのも手がしどろもどろになりぎこちない。
異性の服を脱がす。
肌を見る。
とんでもない様な事をしている気がしてきたのだ。
前回は下半身から下着から全部引ん剝いたのにだ。
それだけサラがアーシュを異性として意識しているのだ。
「私、は、治癒師です!頑張る、です!!」
出来るだけ肌を見ない様に、視線を逸らしながら服を脱がす。
相変わらず痩せすぎだと思う。
アーシュ位の長身の成人男性ならもう少し厚みがあるだろう。
見ないよう、と言いながらしっかり見ているサラである。
サラが持っている中で1番柔らかなタオルで汗を拭う。
その様子を焦点が定まっていない視線でアーシュが見ていた。
水色の瞳に自分が写り込んでいて、心臓が1人運動会だ。
己の鼓動が五月蠅くて仕方がない。
(綺麗な肌、です。美容、気を使って、いるんでしょう、か?色も白い、ですし、外で作業しない、人、なんでしょう、ね?)
きめ細かな白い肌を拭く。
タオルに水分が吸収されると、アーシュは心地よかったのかふぅ、と小さくと息を吐いた。
「!?!?!?」
サラは目が回りそうだった。
何だかその吐息に色気が含まれている様な気がしたのだ。
色気の化身ともいえるサイヒを前にした時でも、こんなに心臓が飛び跳ねた事が無い。
サイヒで美形には慣れている筈なのに、何故かアーシュには緊張する。
アーシュは確かに美形だが、サイヒのような”絶世の”や”芸術品”と言う肩書がつくほどではない。
普通に美形である。
なのに何故アーシュにこんなに緊張してしまうのか、理解できずサラはパニック状態だ。
だが行動を止める訳にはいかない。
汗を拭きとり綺麗な服に着替えさせてやらなければ、熱がある体に悪い。
(蟻が1匹蟻が2匹蟻が3匹………)
サラは出来るだけ無心になるよう蟻の数を数えながらアーシュの肌を清めていった。
流石にパンツを脱がすのだけは出来なかったが………。
そして着替え。
ナナにプレゼントされた『今度愛しの君が来たら着替えにどうぞ♡』と渡されたパジャマを着せた。
何故かサイズがジャストフィットである。
その事についてはサラは疑問に思わなかった。
サキュバスだからかな?くらいの認識だ。
「アーシュさん、ご飯、食べれます、か?」
ふるふると弱弱しく首が横に振られる。
言葉を発せずに視線で訴えかけてくるアーシュは、行動が幼く見える。
サラの胸がキュゥ、と締め付けられる。
「じゃぁ、果実水、飲みましょう、ね?」
コクリ、と首が縦に振られた。
サラは冷蔵BOXからオレンジの果実水を取り出しカップに注ぐ。
アーシュに渡すとコクコクと一気に飲み干した。
喉が渇いていたのだろう。
冷たく甘い果実水は美味しかったようだ。
アーシュの目元が優し気に細められた。
「~~~~~!!」
(何か、何かが、心臓に悪い、です!!)
空いたカップを受け取り流しに付ける。
そしてアーシュにベッドに横になるよう促した。
自分は椅子とテーブルで十分寝れる。
何なら床でも寝れる。
スラム育ちを甘く見てはいけない。
こう見えてサラは案外図太い。
が、グイ、と腕を引っ張られた。
軽い体重のサラは簡単に力に引きずられ、アーシュの懐にその体をすっぽりと収まった。
「は、へ……?」
ベッドで抱き合う形。
両腕を背中に回されて完全にサラの体を抱きしめて離さない様にしている。
そのままクゥクゥと小さな寝息を立ててアーシュは寝入ってしまった。
(~~~~~誰か!誰か、助け、て下さ、いぃぃぃぃぃぃいぃっ!!!)
サラの心の中の悲鳴は誰にも聞きとられることは無かった。
部屋にアーシュを上げて、扉を閉め鍵をかけるとサラは何故だかいけない事をしている気分になった。
セブンから女の1人身で部屋に男を言われていたのに、だ。
仕方がない。
アーシュは熱がある。
看病するのは診療所で働くサラにとって当たり前のことだ。
だが玄関に居たのがアーシュでなければ、サラは部屋に入れたであろうか?
いや、上げない。
近くの巡回をしている兵士に病人がいると伝えるだけだっただろう。
兵士が来るまでは玄関の前で看病したかもしれないが。
無意識にサラはアーシュを自分のテリトリーに入れたかったのだ。
人目に晒したくなかった。
他の人間に触らせたくなかった。
それを人は独占欲と呼ぶ。
恋に独占欲は付き物だ。
信頼しているセブンの言葉を裏切るほど、サラはアーシュの傍に居たかったのだ。
「アーシュさん、ベッドに腰かけて、下さい。汗を、拭きます」
ノロノロとした動きでアーシュがサラの指示に従う。
ベッドに腰かえたアーシュはやはり気怠げで汗をかいている。
この汗を拭いて着替えさせてからベッドに入れた方が良いだろう。
「汗を拭くから服を、脱が、す………?」
(アーシュさんの肌、見るです、か?服、脱がすの、どうしましょう、か!?抵抗できない異性の服、脱がすの良くない、で、す。何より、私が、恥ずかしい…で、す………)
前回は丸々引ん剝いた癖に、今回は上を脱がすのも手がしどろもどろになりぎこちない。
異性の服を脱がす。
肌を見る。
とんでもない様な事をしている気がしてきたのだ。
前回は下半身から下着から全部引ん剝いたのにだ。
それだけサラがアーシュを異性として意識しているのだ。
「私、は、治癒師です!頑張る、です!!」
出来るだけ肌を見ない様に、視線を逸らしながら服を脱がす。
相変わらず痩せすぎだと思う。
アーシュ位の長身の成人男性ならもう少し厚みがあるだろう。
見ないよう、と言いながらしっかり見ているサラである。
サラが持っている中で1番柔らかなタオルで汗を拭う。
その様子を焦点が定まっていない視線でアーシュが見ていた。
水色の瞳に自分が写り込んでいて、心臓が1人運動会だ。
己の鼓動が五月蠅くて仕方がない。
(綺麗な肌、です。美容、気を使って、いるんでしょう、か?色も白い、ですし、外で作業しない、人、なんでしょう、ね?)
きめ細かな白い肌を拭く。
タオルに水分が吸収されると、アーシュは心地よかったのかふぅ、と小さくと息を吐いた。
「!?!?!?」
サラは目が回りそうだった。
何だかその吐息に色気が含まれている様な気がしたのだ。
色気の化身ともいえるサイヒを前にした時でも、こんなに心臓が飛び跳ねた事が無い。
サイヒで美形には慣れている筈なのに、何故かアーシュには緊張する。
アーシュは確かに美形だが、サイヒのような”絶世の”や”芸術品”と言う肩書がつくほどではない。
普通に美形である。
なのに何故アーシュにこんなに緊張してしまうのか、理解できずサラはパニック状態だ。
だが行動を止める訳にはいかない。
汗を拭きとり綺麗な服に着替えさせてやらなければ、熱がある体に悪い。
(蟻が1匹蟻が2匹蟻が3匹………)
サラは出来るだけ無心になるよう蟻の数を数えながらアーシュの肌を清めていった。
流石にパンツを脱がすのだけは出来なかったが………。
そして着替え。
ナナにプレゼントされた『今度愛しの君が来たら着替えにどうぞ♡』と渡されたパジャマを着せた。
何故かサイズがジャストフィットである。
その事についてはサラは疑問に思わなかった。
サキュバスだからかな?くらいの認識だ。
「アーシュさん、ご飯、食べれます、か?」
ふるふると弱弱しく首が横に振られる。
言葉を発せずに視線で訴えかけてくるアーシュは、行動が幼く見える。
サラの胸がキュゥ、と締め付けられる。
「じゃぁ、果実水、飲みましょう、ね?」
コクリ、と首が縦に振られた。
サラは冷蔵BOXからオレンジの果実水を取り出しカップに注ぐ。
アーシュに渡すとコクコクと一気に飲み干した。
喉が渇いていたのだろう。
冷たく甘い果実水は美味しかったようだ。
アーシュの目元が優し気に細められた。
「~~~~~!!」
(何か、何かが、心臓に悪い、です!!)
空いたカップを受け取り流しに付ける。
そしてアーシュにベッドに横になるよう促した。
自分は椅子とテーブルで十分寝れる。
何なら床でも寝れる。
スラム育ちを甘く見てはいけない。
こう見えてサラは案外図太い。
が、グイ、と腕を引っ張られた。
軽い体重のサラは簡単に力に引きずられ、アーシュの懐にその体をすっぽりと収まった。
「は、へ……?」
ベッドで抱き合う形。
両腕を背中に回されて完全にサラの体を抱きしめて離さない様にしている。
そのままクゥクゥと小さな寝息を立ててアーシュは寝入ってしまった。
(~~~~~誰か!誰か、助け、て下さ、いぃぃぃぃぃぃいぃっ!!!)
サラの心の中の悲鳴は誰にも聞きとられることは無かった。
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