婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《76話》

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(眠い…です………)

 結局サラは一睡も出来なかった。
 アーシュの腕から抜け出せなかったのだ。
 いや、本気を出せば抜け出せただろう。
 相手はフラフラの病人だ。
 アーシュに密着出来る下心に負けたのである。

 サラ自身は認めたくないところだが。

 自分にそんな欲望があるなど、異性意識したことも無かったサラには邪なものと感じるのだ。
 男性とあまり関わらず生きて来たゆえの純粋無垢。
 思春期ようやく来たらしいサラは、女が男に引っ付きたがるなんて事は邪な事に思える。
 自分がいやらしい女になった気になるのだ。
 好きな異性の出来るだけ近くになるのは恋心の本能なのだが。

 初恋の相手がサイヒなのが悪かった。

 女同士であるゆえ、その身に触れたいと言う欲求が無かったのだ。
 その為、サラは18歳になった今も恋は浮立つモノ、ドキドキして幸せになる物だと思っている。
 そこに肉欲が加わることは、思春期特有の潔癖さが生まれたサラには理解出来るものでは無い。

(眠い、けど…朝ごはん用意、しなきゃいけない、です……)

 昨日からアーシュは果実水しか口にしていない。
 せめてスープ位は胃に入れて欲しい。
 そうしないと薬も碌に飲めない。

「んぅっ!」

 アーシュの腕から抜け出す。
 簡単にスポンと体が抜けた。
 元々拘束がそこ迄強く無かったからだ。

(なんか、寂しい?)

 不思議な物足りなさを感じてサラは不思議に思った。
 恋している相手の身から離れたのだ。
 寂しさは計り知れない。
 まだ恋しているかも、なサラには原因が分からない。
 だが取り合えず今は朝食の用意だ。

 材料は鶏肉とキャベツである。
 サラの中で自分で調理する肉=鶏肉である。
 たまの豚さんはご馳走だ。

 牛?

 そんなものは家で食べるものでは無い。
 誰かに食べさせて御貰うものだ。
 主にセブンの家で厄介になってる時に口にする。

 さぁ、今は牛肉の味を思い出している場合ではない。
 アーシュに少しでも美味しいと思って貰えるスープを作りたい。

 ☆塩スープの作り方☆
  材料2人分

  鶏もも肉1/2枚(150g)
  キャベツ100g
  A
  水2cup
  鶏ガラスープの素小さじ1
  しょうゆ、塩各小さじ1/2
  にんにく、しょうが適量
  粗挽き黒胡椒適量
  ごま油適量

  作り方
  ①鶏もも肉は一口サイズに切る。キャベツは手でちぎる。
  ②鍋にA水 2cup、鶏ガラスープの素 小さじ1、しょうゆ、塩 各小さじ1/2、にんにく、しょうが を入れて強火                  
   にかけ、沸騰したら中火にし、1を入れて3分ほど煮る。
  ③全体に火が通ったら火を止め、粗挽き黒胡椒・ごま油をふる。

 ☆完成☆

 作り方もとっても簡単で、お鍋にスープを沸騰させ、あとは具材を加えて3分ほど煮るだけ。
 たったこれだけだけど、スープには鶏肉の旨味が溶け出し、ゴクゴク飲み干す美味しさになる。
 また、コトコト煮たキャベツはとっても甘くてホッとする。
 風邪でも食べやすく胃にもたれないだろう。
 食べやすいよう出来るだけ小さく切ってある。

(食べてくれます、かね?食べて、欲しい、ですね……)

 アーシュを起こしに行く。
 アーシュはスープを飲んでくれるだろうか?
 美味しいと思ってくれるだろうか?
 ドキドキと弾む胸の高鳴りを感じながら、サラはアーシュを起こすべくベッドへと向かったのだった。
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