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《2話》
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不動産屋のオバちゃんは良い人だった。
世間を知らないサラに庇護欲を掻き立てられたのか、親身になって部屋を探してくれた。
借りたアパートは家具付き。
ベッドと小さな机と椅子があり、それでけでいっぱいになる小さな部屋。
でも収納と小さな流し。
水道が直接部屋にあるのは有難いことだ。
そしてアパート専用の共同トイレ。
正直これも有難い。
建物によっては外の公衆トイレを使わなければならない所だってまだまだある。
古いが設備はそこそこ整っているらしい。
これで月の家賃は金貨1枚銀貨5枚。
今のサラの所持金なら、贅沢しなければそれなりに長い年月を過ごせるだろう。
ディノートは”文明国家クロイツ”の隣国なのでそこそこ科学技術が繁栄している。
流しに小さなガスコンロをおけばミニキッチンの完成だ。
これで自炊が出来る。
外食と自炊ではかかる食費が桁違いだ。
いくらダイヤを売ってそこそこ纏まったお金があるからとは言って、先はどうなるか分からない。
少しでも節約、これ大事。
「お風呂は流石に公衆浴場、ですね」
スラムに居た頃はお風呂にも入れず濁った川で水浴びだった。
聖女になってからは清拭中心。
1週間に1度はお風呂に入らせて貰えたが、時間は10分ほど。
湯を堪能する時間すらない。
「もしかして神殿より良い暮らし、なんじゃ…」
間違いなく神殿より良い暮らしである。
くぅ~
サラのお腹から小動物が鳴いたような、可愛い音が鳴った。
「そう言えば昼食食べてないんでした…流石に1回くらい外食しても良い、ですよね!初外食、楽しみ、です!!」
バッグを収納に入れて、小さなショルダーバッグに財布とハンカチと部屋の鍵などを入れてサラは家を出る…。
「の、前に収納に【結界】と…」
結構の大金を入れているので、警備は厳重に。
「何て言うのでしたっけ? セ〇ム? アル〇ック?
前にサイヒ様が言ってましたね。サイヒ様が仰る言葉なら素晴らしいシステム、なのでしょう」
そして扉の鍵を閉めて、更に結界を重ねがけ。
「さて、ドキドキの初外食、ですね」
はやる胸を抑えながらサラは階段を下りて行った。
:::
穏やかな街並み。
店がいくつも並ぶ。
その中にフォークとナイフの描かれた看板を掲げている建物。
「こ、ここが食堂…」
サラはゴクリと唾をのむ。
何と言う香しい匂い。
手持ちのお金は金貨1枚と銀貨5枚。
「多分足ります、よね?」
いざ行かん。
サラは食堂の扉をくぐった。
その瞬間、空間の熱量がサラを包んだ。
ガヤガヤと喋る人の声。
昼間からエールを飲み赤ら顔の大柄な男。
料理を運ぶ元気な女の子。
美味しそうに食べる若い男たち。
「いらっしゃいませ~」
女の子に声をかけられた。
「お1人ですか?」
「は、はい!」
「ではこちらにどうぞ~」
トレイを抱えた少女に席を案内される。
外が見える窓際の席。
2人用の席だ。
その一脚の椅子にショルダーバッグを置き、もう一脚に腰を下ろす。
メニュー表を手に取る。
「ど、どうしましょう…私、読み書き苦手なんですよね……」
スラム育ちなので学校に行ったことも無い。
神殿では最低限の読み書きしか習わなかった。
聖女は祈りだけしていれば良いと。
「あ、あの…お肉の料理で1番安いものをお願い、します……」
「じゃぁBランチのハンバーグがお勧めです!」
「ではソレを」
「はい、お待ち下さい~」
そわそわと待つサラの前に10分もしない内にランチが運ばれてくる。
ハンバーグに白いパンにサラダにスープ。
見た事も無いご馳走だ。
「こ、これがお肉……」
スラムでも神殿でも殆ど口にしたことのない肉だ。
しかもこんなに大きな塊。
ナイフを使うのが苦手で心配だったのだが、ハンバーグはフォークで簡単に切れた。
1欠片フォークに刺した肉を、口に運ぶ。
ジュワ
口の中で肉汁が溢れる。
「あ、あふあふ、う~~~~~っ!!」
噛めば噛むほど味が口の中に広がる。
「おいひい!!」
ハンバーグ美味しい!
白いパン、柔らい!
サラダ、瑞々しい!
スープ、お腹ポッカポカ!
「ぷはぁ!美味しかった、ですぅ」
恍惚の表情を浮かべるサラ。
ハンバーグランチでこれ程幸せになれるのだから安い女である。
と云うより今まで無給で馬車馬の如く働かされていたのだ。
安いどころの話ではない。
「あの、お幾らですか?」
「銅貨5枚です~」
「へ?」
「銅貨5枚ですが、どうかしましたか?」
「そんなに安いんですか!?」
「安い美味しい早いが当店の自慢ですので~」
「はい、美味しかった、です。ご馳走様、でした」
あんなに美味しくて量もあって銅貨5枚。
サラの祈りで得れる収入…無し……。
自分がどれだけ体よく使われていたか、思い知らされてしまった。
聖女としての祈祷は1回金貨10枚はする。
そしてサラの食事は1日2回。
蒸かしたイモと塩スープ。
どれだけ自分は都合のいい存在だったのかと少し落ち込む。
だがそれも昨日まで。
今日からのサラは銅貨5枚でたっぷりのお肉が食べれるのだ。
気を落とす必要はない。
この美味しいご飯を食べるためなら、神を崇めている人に加護を与える祈りをするのも嫌ではない。
出来ればこのお店が”聖女反対派”でないことを望みたい。
お腹いっぱいになったサラは、これから日常で必要となる物を買い出すため機嫌よく足を踏み出すのだった。
世間を知らないサラに庇護欲を掻き立てられたのか、親身になって部屋を探してくれた。
借りたアパートは家具付き。
ベッドと小さな机と椅子があり、それでけでいっぱいになる小さな部屋。
でも収納と小さな流し。
水道が直接部屋にあるのは有難いことだ。
そしてアパート専用の共同トイレ。
正直これも有難い。
建物によっては外の公衆トイレを使わなければならない所だってまだまだある。
古いが設備はそこそこ整っているらしい。
これで月の家賃は金貨1枚銀貨5枚。
今のサラの所持金なら、贅沢しなければそれなりに長い年月を過ごせるだろう。
ディノートは”文明国家クロイツ”の隣国なのでそこそこ科学技術が繁栄している。
流しに小さなガスコンロをおけばミニキッチンの完成だ。
これで自炊が出来る。
外食と自炊ではかかる食費が桁違いだ。
いくらダイヤを売ってそこそこ纏まったお金があるからとは言って、先はどうなるか分からない。
少しでも節約、これ大事。
「お風呂は流石に公衆浴場、ですね」
スラムに居た頃はお風呂にも入れず濁った川で水浴びだった。
聖女になってからは清拭中心。
1週間に1度はお風呂に入らせて貰えたが、時間は10分ほど。
湯を堪能する時間すらない。
「もしかして神殿より良い暮らし、なんじゃ…」
間違いなく神殿より良い暮らしである。
くぅ~
サラのお腹から小動物が鳴いたような、可愛い音が鳴った。
「そう言えば昼食食べてないんでした…流石に1回くらい外食しても良い、ですよね!初外食、楽しみ、です!!」
バッグを収納に入れて、小さなショルダーバッグに財布とハンカチと部屋の鍵などを入れてサラは家を出る…。
「の、前に収納に【結界】と…」
結構の大金を入れているので、警備は厳重に。
「何て言うのでしたっけ? セ〇ム? アル〇ック?
前にサイヒ様が言ってましたね。サイヒ様が仰る言葉なら素晴らしいシステム、なのでしょう」
そして扉の鍵を閉めて、更に結界を重ねがけ。
「さて、ドキドキの初外食、ですね」
はやる胸を抑えながらサラは階段を下りて行った。
:::
穏やかな街並み。
店がいくつも並ぶ。
その中にフォークとナイフの描かれた看板を掲げている建物。
「こ、ここが食堂…」
サラはゴクリと唾をのむ。
何と言う香しい匂い。
手持ちのお金は金貨1枚と銀貨5枚。
「多分足ります、よね?」
いざ行かん。
サラは食堂の扉をくぐった。
その瞬間、空間の熱量がサラを包んだ。
ガヤガヤと喋る人の声。
昼間からエールを飲み赤ら顔の大柄な男。
料理を運ぶ元気な女の子。
美味しそうに食べる若い男たち。
「いらっしゃいませ~」
女の子に声をかけられた。
「お1人ですか?」
「は、はい!」
「ではこちらにどうぞ~」
トレイを抱えた少女に席を案内される。
外が見える窓際の席。
2人用の席だ。
その一脚の椅子にショルダーバッグを置き、もう一脚に腰を下ろす。
メニュー表を手に取る。
「ど、どうしましょう…私、読み書き苦手なんですよね……」
スラム育ちなので学校に行ったことも無い。
神殿では最低限の読み書きしか習わなかった。
聖女は祈りだけしていれば良いと。
「あ、あの…お肉の料理で1番安いものをお願い、します……」
「じゃぁBランチのハンバーグがお勧めです!」
「ではソレを」
「はい、お待ち下さい~」
そわそわと待つサラの前に10分もしない内にランチが運ばれてくる。
ハンバーグに白いパンにサラダにスープ。
見た事も無いご馳走だ。
「こ、これがお肉……」
スラムでも神殿でも殆ど口にしたことのない肉だ。
しかもこんなに大きな塊。
ナイフを使うのが苦手で心配だったのだが、ハンバーグはフォークで簡単に切れた。
1欠片フォークに刺した肉を、口に運ぶ。
ジュワ
口の中で肉汁が溢れる。
「あ、あふあふ、う~~~~~っ!!」
噛めば噛むほど味が口の中に広がる。
「おいひい!!」
ハンバーグ美味しい!
白いパン、柔らい!
サラダ、瑞々しい!
スープ、お腹ポッカポカ!
「ぷはぁ!美味しかった、ですぅ」
恍惚の表情を浮かべるサラ。
ハンバーグランチでこれ程幸せになれるのだから安い女である。
と云うより今まで無給で馬車馬の如く働かされていたのだ。
安いどころの話ではない。
「あの、お幾らですか?」
「銅貨5枚です~」
「へ?」
「銅貨5枚ですが、どうかしましたか?」
「そんなに安いんですか!?」
「安い美味しい早いが当店の自慢ですので~」
「はい、美味しかった、です。ご馳走様、でした」
あんなに美味しくて量もあって銅貨5枚。
サラの祈りで得れる収入…無し……。
自分がどれだけ体よく使われていたか、思い知らされてしまった。
聖女としての祈祷は1回金貨10枚はする。
そしてサラの食事は1日2回。
蒸かしたイモと塩スープ。
どれだけ自分は都合のいい存在だったのかと少し落ち込む。
だがそれも昨日まで。
今日からのサラは銅貨5枚でたっぷりのお肉が食べれるのだ。
気を落とす必要はない。
この美味しいご飯を食べるためなら、神を崇めている人に加護を与える祈りをするのも嫌ではない。
出来ればこのお店が”聖女反対派”でないことを望みたい。
お腹いっぱいになったサラは、これから日常で必要となる物を買い出すため機嫌よく足を踏み出すのだった。
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