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第九章 礼儀を知る人知らない人
37 それは長生きの約束に似てる 成人
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「今月は、三郎が二十歳、政巳が二十三歳、末良が二歳になりました。おめでとう!」
本当は覚えてるけど、間違えたらいけないからと書いておいたメモを一度しっかり見てから、大きな声で言った。皆に誕生日の人を紹介するのは、何回やっても緊張する。でも、大事な手順。これを言うと、誕生日の人が嬉しそうな顔をするのが好きだ。
「おめでとう!」
すぐに参加者の声があちらこちらから聞こえて、拍手も鳴った。亀吉が大きな音にびっくりしちゃうかな、と思ったけど、皆と一緒ににこにこで、小さな手をぱちぱちと叩いていてすごく可愛かった。末良は、誕生日会は何回も来てるからもう分かっていて、大きな声と音に驚いたりしない。おめでとーって一緒に言いながら、やっぱり小さな手をぱちぱちしていた。今日は末良は、ありがとうって言う方なんだけどね。拍手もしなくていいんだけど。可愛いから、ま、いっか。
三郎と政巳は、そんな末良をにこにこで見ながら、ありがとうございます、と頭を下げた。三郎が、にこにこで嬉しい。三郎は、前は、誰かに声をかけられると下を向いてしまう癖があった。いつの間にか無くなったんだなあ。髪の毛は短いままだけれど、手拭いで隠したり、無理やり引っ張ったりもしなくなった。九条として御前会議に出るようになってからは、髪の美容液の店に出かけて髪の毛を整えてもらってるから、形も綺麗だし髪の毛も艶々してる。それで前を向けたのかな。それなら良かった。もちろん、それだけじゃないだろうけど。
拍手が済んだら、誕生日の人はその場に座って、参加者がお祝いにくるのを待つ。おめでとうの言葉とプレゼントが積み上がっていくのを見るのが、とても好き。
プレゼントは、絶対に渡さなくてはいけない訳じゃないけれど、俺は皆にあげたくて仕方ない。俺が初めてプレゼントをもらった時、すごくすごく嬉しかったから、皆にもそんな風に嬉しい気持ちになってもらいたいんだ。
緋色はね。緋色は必ず、手ぶらで来てもいいぞって言うんだけど、手ぶらの人はいない。きっとね。きっと皆、俺と一緒なんじゃないかな。プレゼントをもらって嬉しかったから、返す。そんな感じ。ずっと誰かが嬉しいなんて、誕生日会って幸せな行事だな。ずっとしようね。誕生日は、絶対に誰にでもある嬉しい日だから、ずっとしよう。
来月もその次もその次も。
そして、皆で仲良く歳を重ねていけたらいいな。
本当は覚えてるけど、間違えたらいけないからと書いておいたメモを一度しっかり見てから、大きな声で言った。皆に誕生日の人を紹介するのは、何回やっても緊張する。でも、大事な手順。これを言うと、誕生日の人が嬉しそうな顔をするのが好きだ。
「おめでとう!」
すぐに参加者の声があちらこちらから聞こえて、拍手も鳴った。亀吉が大きな音にびっくりしちゃうかな、と思ったけど、皆と一緒ににこにこで、小さな手をぱちぱちと叩いていてすごく可愛かった。末良は、誕生日会は何回も来てるからもう分かっていて、大きな声と音に驚いたりしない。おめでとーって一緒に言いながら、やっぱり小さな手をぱちぱちしていた。今日は末良は、ありがとうって言う方なんだけどね。拍手もしなくていいんだけど。可愛いから、ま、いっか。
三郎と政巳は、そんな末良をにこにこで見ながら、ありがとうございます、と頭を下げた。三郎が、にこにこで嬉しい。三郎は、前は、誰かに声をかけられると下を向いてしまう癖があった。いつの間にか無くなったんだなあ。髪の毛は短いままだけれど、手拭いで隠したり、無理やり引っ張ったりもしなくなった。九条として御前会議に出るようになってからは、髪の美容液の店に出かけて髪の毛を整えてもらってるから、形も綺麗だし髪の毛も艶々してる。それで前を向けたのかな。それなら良かった。もちろん、それだけじゃないだろうけど。
拍手が済んだら、誕生日の人はその場に座って、参加者がお祝いにくるのを待つ。おめでとうの言葉とプレゼントが積み上がっていくのを見るのが、とても好き。
プレゼントは、絶対に渡さなくてはいけない訳じゃないけれど、俺は皆にあげたくて仕方ない。俺が初めてプレゼントをもらった時、すごくすごく嬉しかったから、皆にもそんな風に嬉しい気持ちになってもらいたいんだ。
緋色はね。緋色は必ず、手ぶらで来てもいいぞって言うんだけど、手ぶらの人はいない。きっとね。きっと皆、俺と一緒なんじゃないかな。プレゼントをもらって嬉しかったから、返す。そんな感じ。ずっと誰かが嬉しいなんて、誕生日会って幸せな行事だな。ずっとしようね。誕生日は、絶対に誰にでもある嬉しい日だから、ずっとしよう。
来月もその次もその次も。
そして、皆で仲良く歳を重ねていけたらいいな。
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