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第八章 郷に入っては郷に従え
24 成り上がりってすごい人のこと? 成人
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「これだから、成り上がりの料理長など反対だったのだ」
公里の小さな呟きは、八代が話した後で静かになっていた厨房に、よく響いた。緋色が、手に持っていた書類を、ばさりと机に置く。
「成り上がりって何?」
あまりいい意味で言っているように聞こえないから、今聞かない方がいいのかもしれない。でも、意味が分からないと話が分からない。ごめん、八代。嫌な言葉を、重ねて言うことになるかな。
「身分の低い者が急に出世することだな。他には、貧乏人が急に金持ちになる、という意味もある。そうなった者を、軽んじて蔑む時に使う言葉だ」
緋色が教えてくれた。
料理人たちは、ものすごく静かになっている。
ふーん。
なんで、成り上がりを軽んじて蔑むんだろ?
「どうした?」
首を傾げていたら、緋色が顔を覗いてくる。
「そうなるだけの何かがあったからそうなったんでしょ?」
「ん?」
「すごい人って褒めてるんじゃない?」
「く……ははっ。違いない」
緋色が笑う。
え?なに?何かおかしい?
「八代は、なかなか見どころがあるから、間違っていないぞ」
「だよね」
うん。つまり、何だっけ?
あ、そうだ。
「すごい料理長を反対するのは、何で?」
「自分が凄くないことを突きつけられるからじゃないか?」
「……?」
「どうした?」
「すごい人が近くにいたら、見本があって嬉しいんじゃないの?」
村次が、頷いているのが見えた。
「ね?」
「その通りです」
「見本があって、追いつこうって頑張れるのは幸せじゃない?」
「間違いないな」
常陸丸も頷いた。分かるよ。きっと、じいじを思い浮かべてる。じいじはすごい。すごく強い。勝てなくて悔しくて、でも存在が嬉しい。俺、知ってる。力丸はね、常陸丸が見本なんだ。
村次は、広末?壱臣もかな?たくさんいて、いいね。大変だけど、いい。
俺はさ、最近は半助だ。片手でも近衛になった半助みたいに、動けるようになりたい。
「それで?前料理長の推薦で料理長となり、皇家の信頼も得ている料理長に反対なのは、他に誰だ?」
料理人たちは動かない。
「では、先ほど発言したそこの……」
「公里」
緋色が手のひらを向けた方を見て、名前を教える。公里の肩が、びくりと跳ねた。
「公里。料理長の邪魔をする者がいては、皆の仕事がし辛かろう。もう来なくてよい」
「馬鹿な?!」
公里が言い終わる頃には、常陸丸がその後ろにいて、遠慮のない殺気を放っていた。
「とりあえず不敬罪で、一晩牢に泊まるか?」
常陸丸がこういう仕事してるの、久しぶりに見たなあ。
「そうしろ」
もうお昼過ぎだし、ちょっとだけで良かったね。牢って何処にあるんだろ。地下かな?
「それと、茶色に投票した者も使い物にならん。クビにしろ」
確かに!
公里の小さな呟きは、八代が話した後で静かになっていた厨房に、よく響いた。緋色が、手に持っていた書類を、ばさりと机に置く。
「成り上がりって何?」
あまりいい意味で言っているように聞こえないから、今聞かない方がいいのかもしれない。でも、意味が分からないと話が分からない。ごめん、八代。嫌な言葉を、重ねて言うことになるかな。
「身分の低い者が急に出世することだな。他には、貧乏人が急に金持ちになる、という意味もある。そうなった者を、軽んじて蔑む時に使う言葉だ」
緋色が教えてくれた。
料理人たちは、ものすごく静かになっている。
ふーん。
なんで、成り上がりを軽んじて蔑むんだろ?
「どうした?」
首を傾げていたら、緋色が顔を覗いてくる。
「そうなるだけの何かがあったからそうなったんでしょ?」
「ん?」
「すごい人って褒めてるんじゃない?」
「く……ははっ。違いない」
緋色が笑う。
え?なに?何かおかしい?
「八代は、なかなか見どころがあるから、間違っていないぞ」
「だよね」
うん。つまり、何だっけ?
あ、そうだ。
「すごい料理長を反対するのは、何で?」
「自分が凄くないことを突きつけられるからじゃないか?」
「……?」
「どうした?」
「すごい人が近くにいたら、見本があって嬉しいんじゃないの?」
村次が、頷いているのが見えた。
「ね?」
「その通りです」
「見本があって、追いつこうって頑張れるのは幸せじゃない?」
「間違いないな」
常陸丸も頷いた。分かるよ。きっと、じいじを思い浮かべてる。じいじはすごい。すごく強い。勝てなくて悔しくて、でも存在が嬉しい。俺、知ってる。力丸はね、常陸丸が見本なんだ。
村次は、広末?壱臣もかな?たくさんいて、いいね。大変だけど、いい。
俺はさ、最近は半助だ。片手でも近衛になった半助みたいに、動けるようになりたい。
「それで?前料理長の推薦で料理長となり、皇家の信頼も得ている料理長に反対なのは、他に誰だ?」
料理人たちは動かない。
「では、先ほど発言したそこの……」
「公里」
緋色が手のひらを向けた方を見て、名前を教える。公里の肩が、びくりと跳ねた。
「公里。料理長の邪魔をする者がいては、皆の仕事がし辛かろう。もう来なくてよい」
「馬鹿な?!」
公里が言い終わる頃には、常陸丸がその後ろにいて、遠慮のない殺気を放っていた。
「とりあえず不敬罪で、一晩牢に泊まるか?」
常陸丸がこういう仕事してるの、久しぶりに見たなあ。
「そうしろ」
もうお昼過ぎだし、ちょっとだけで良かったね。牢って何処にあるんだろ。地下かな?
「それと、茶色に投票した者も使い物にならん。クビにしろ」
確かに!
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