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第七章 冠婚葬祭
153 俺の幸せのかたまり 成人
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「成人」
緋色が屈んで、俺の耳に口を寄せる。
「共に、長く楽しく生きることを誓おう」
ああ、うん。やっぱり。やっぱりだ。俺たちは同じことを考えていた。
「緋色のそばにいる。たくさんいるよ。誓います」
にっ、と笑った緋色が、俺の口にちゅってして離れた。これも誓いの一つだと緋色は言ったね。俺たちは、何度でもこうしてお互いに誓うんだ。
「よし。飯だ」
「うん」
儀式の片付けがあっという間に進んでいく。部屋の真ん中に置いてある大きな机に、どんどん食べ物が運ばれてきた。
今日は、無礼講だって。身分の上下に関係なく宴会を楽しもうってことらしい。うちの誕生日会のいつもの形なんだけど、よその人は知らないからちゃんと言っておいた。決まった席は無くて、部屋のあちらこちらに机と椅子が置いてあって、好きに座っていいよって入場の時に伝えてもらった。
いつもの誕生日会はおやつの時間だけど、今日はお昼ご飯の時間だ。だから、食べ物はいっぱい準備された。真ん中に置かれている大きな机に並ぶ食べ物を自分で好きなだけ取って食べる形になっている。広末が考えた。それなら、いちいち運ぶための使用人がいなくてもできる、って。一ノ瀬も皆で宴会を楽しみたいから、仕事してる人は少なくしようと思ったんだって。
でも、料理を運んでいる人を見ていたら知らない顔がたくさんいた。お城の使用人の服装だ。お城の使用人が何人も手伝ってくれているんだ。そうだ。さっき、朝桐も七伏もいた。写真にちゃんと写っているかな?並んでくれていたら嬉しい。
あまりの手早さにほけっと見ていると、緋色がまた俺を抱き上げて言った。
「手伝いを募ったら、給金などなくとも手伝いたいという者が大勢いた」
「おお、緋色すごい」
さすが、緋色。みんな、緋色の格好良い姿が見たかったに違いない。お手伝いに来たら見られるから。
うんうんと頷いていたら、くっくっくっと笑われた。
「よほどお前の晴れ姿を見たい者が多かったようだ」
「緋色でしょ」
「本日の衣装的には」
すぐ隣に突然立ったじいやが言う。
「お二人を揃いで拝見したい者が多いかと」
ああ。
俺は、緋色の腕の中で衣装を見下ろす。この形でお揃い。鏡を見ないと俺には分からないのがとても残念。
「見目麗しい方々が着飾っていらっしゃるのは、大変に目の保養なのだそうです」
「んん?」
「このよき日を、皆で祝いたいということです」
「うん!」
お祝い事は、大勢で祝うほど幸せが増えるって俺はもう知っている。誕生日会は、いつも楽しくて嬉しくて幸せだから。結婚式は毎月ある訳じゃないから、特に特別だ。こんなにたくさんの人が、緋椀や作治、壱臣、半助と睦峯、斎、それに俺たちのことをお祝いしてくれて、ほんとにほんとに嬉しい。
幸せは増える。減ることも、何かと引き換えにすることも無く、どんどん増えていくすごいもの。
「ああ。もちろん給金は出すぞ」
「ははっ。もし給金が頂けるのなら、先ほどの集合写真を一枚、給金として頂きたいとの声がたくさん聞こえておりました」
じいやも、何だか楽しそうだね。いつも楽しそうだけど、いつもよりもっと楽しそうだ。
「そんなものが欲しいのか?自分が写っておる訳でも無かろうに」
首を傾げる緋色に、じいやはますます声を上げて笑う。
「欲しいものは人それぞれ。私は、お側に居られるだけで大変に良きものを頂いております」
「俺の伴侶は、良いだろう」
「ええ、とても」
じいやは眩しそうに目を細めて笑った。
「選ばれた殿下の眼も、とても素晴らしい」
「当然だ」
緋色は素晴らしい。そんなの当たり前!
いつだって緋色が俺に、幸せも良いものも全部持ってきてくれる。良いのは緋色。緋色なんだよ。俺の一番。俺の全て。
緋色が、俺の幸せだ。
緋色が屈んで、俺の耳に口を寄せる。
「共に、長く楽しく生きることを誓おう」
ああ、うん。やっぱり。やっぱりだ。俺たちは同じことを考えていた。
「緋色のそばにいる。たくさんいるよ。誓います」
にっ、と笑った緋色が、俺の口にちゅってして離れた。これも誓いの一つだと緋色は言ったね。俺たちは、何度でもこうしてお互いに誓うんだ。
「よし。飯だ」
「うん」
儀式の片付けがあっという間に進んでいく。部屋の真ん中に置いてある大きな机に、どんどん食べ物が運ばれてきた。
今日は、無礼講だって。身分の上下に関係なく宴会を楽しもうってことらしい。うちの誕生日会のいつもの形なんだけど、よその人は知らないからちゃんと言っておいた。決まった席は無くて、部屋のあちらこちらに机と椅子が置いてあって、好きに座っていいよって入場の時に伝えてもらった。
いつもの誕生日会はおやつの時間だけど、今日はお昼ご飯の時間だ。だから、食べ物はいっぱい準備された。真ん中に置かれている大きな机に並ぶ食べ物を自分で好きなだけ取って食べる形になっている。広末が考えた。それなら、いちいち運ぶための使用人がいなくてもできる、って。一ノ瀬も皆で宴会を楽しみたいから、仕事してる人は少なくしようと思ったんだって。
でも、料理を運んでいる人を見ていたら知らない顔がたくさんいた。お城の使用人の服装だ。お城の使用人が何人も手伝ってくれているんだ。そうだ。さっき、朝桐も七伏もいた。写真にちゃんと写っているかな?並んでくれていたら嬉しい。
あまりの手早さにほけっと見ていると、緋色がまた俺を抱き上げて言った。
「手伝いを募ったら、給金などなくとも手伝いたいという者が大勢いた」
「おお、緋色すごい」
さすが、緋色。みんな、緋色の格好良い姿が見たかったに違いない。お手伝いに来たら見られるから。
うんうんと頷いていたら、くっくっくっと笑われた。
「よほどお前の晴れ姿を見たい者が多かったようだ」
「緋色でしょ」
「本日の衣装的には」
すぐ隣に突然立ったじいやが言う。
「お二人を揃いで拝見したい者が多いかと」
ああ。
俺は、緋色の腕の中で衣装を見下ろす。この形でお揃い。鏡を見ないと俺には分からないのがとても残念。
「見目麗しい方々が着飾っていらっしゃるのは、大変に目の保養なのだそうです」
「んん?」
「このよき日を、皆で祝いたいということです」
「うん!」
お祝い事は、大勢で祝うほど幸せが増えるって俺はもう知っている。誕生日会は、いつも楽しくて嬉しくて幸せだから。結婚式は毎月ある訳じゃないから、特に特別だ。こんなにたくさんの人が、緋椀や作治、壱臣、半助と睦峯、斎、それに俺たちのことをお祝いしてくれて、ほんとにほんとに嬉しい。
幸せは増える。減ることも、何かと引き換えにすることも無く、どんどん増えていくすごいもの。
「ああ。もちろん給金は出すぞ」
「ははっ。もし給金が頂けるのなら、先ほどの集合写真を一枚、給金として頂きたいとの声がたくさん聞こえておりました」
じいやも、何だか楽しそうだね。いつも楽しそうだけど、いつもよりもっと楽しそうだ。
「そんなものが欲しいのか?自分が写っておる訳でも無かろうに」
首を傾げる緋色に、じいやはますます声を上げて笑う。
「欲しいものは人それぞれ。私は、お側に居られるだけで大変に良きものを頂いております」
「俺の伴侶は、良いだろう」
「ええ、とても」
じいやは眩しそうに目を細めて笑った。
「選ばれた殿下の眼も、とても素晴らしい」
「当然だ」
緋色は素晴らしい。そんなの当たり前!
いつだって緋色が俺に、幸せも良いものも全部持ってきてくれる。良いのは緋色。緋色なんだよ。俺の一番。俺の全て。
緋色が、俺の幸せだ。
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