【完結】人形と皇子

かずえ

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第六章 家族と暮らす

122 楽しみが増えるプレゼント  成人

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成人なるひとさま、俺、幸せー!」

 プレゼントに囲まれた見可みかが、俺に向かって手を振っている。
 可愛いな。
 ちょっとだけ見可みかから離れて村次むらつぐとお話してたから、手を振り返しながらプレゼントを見に行った。飴とか、鉛筆や消しゴム、駄菓子屋さんで見かけたことのあるおもちゃが色々。吹くとぴーって鳴りながら巻いてある紙が伸びる笛とか、楽しいよね。俺ももらったことある。
 良かったねえ、見可みか。嬉しいね。

見可みかさま、これ、俺からのプレゼント」
「ありがとう、力丸りきまる

 受け取った見可みかが首を傾げる。

「これなにー?」

 俺も知らない。何だろ?

「水風船。この中に水を入れたら膨らむ」
「おお!」
「おおー!」
 
 見可みかと声が揃ってしまった。何それ、楽しそう。

「膨らませてどうするの?」
「へへー。外で投げ合いっこして遊ぶ。地面に当たると、ぱんって割れて水が飛び散るから、濡れたら負けー」
「わー、すげー。友達とやる」

 何それ、楽しそう。

灯可とうか、今度一緒にやろ」

 近くで見可みかのことを見てた灯可とうかを誘う。どこに売ってるのかな。俺も欲しい。灯可とうかと投げ合いっこしたい。

「あ、灯可とうかさまにもプレゼント。俺、先月の誕生日会の時、仕事だったんだよなあ。絶対休みたいって申請したのに、駄目でさ。まあ、仕方ないけど」
「ありがとう、力丸りきまる成人なるひとさま、今度の遊ぶ日にやりましょう」 

 うん、やろう!
 頷くと、灯可とうかがにっこーって笑った。灯可とうか見可みかって笑った顔が似てるね。可愛い。

「この馬鹿めが」

 力丸りきまる緋色ひいろに、ばちんとおでこを弾かれる。

「痛え。何でだよ、緋色ひいろ殿下」

 力丸りきまる、避けれるのに、いつもちゃんとばちんと貰うね。

「水遊びなんてしたら風邪引くだろうが」
「もう暖かいから大丈夫ですう。それに成人なるひとが、水を被るわけないじゃん」
「俺、負けないからねー」
「私も、一滴も掛からないように避けます!」
「俺はちょっとくらいかかってもいいなあ。面白いから」

 ええ?

「かかったら負けだよ、見可みか
「負けるのはやだ。でも、水かかるの面白そう」
「では、うっかり掛かっても冷えないように、夏休みに遊ぶことにしなさい」

 にこにこと見ていた朱可しゅかが両手を出す。何だろ?

「ええー。父上、大丈夫。持っとく」
「そうですね、うっかり掛かるかもしれないので……。分かりました。夏休みに成人なるひとさまといっぱい遊びます」
 
 灯可とうか朱可しゅかの手に水風船を渡して、見可みかは後ろ手に隠した。あ、そうか。預けておくのか。
 夏休みはいっぱい遊ぶ?これって約束かな?夏休みって夏にある休み?夏は暑いから、水が掛かっても大丈夫。あ、遊べる。
 いや、かかったら負けだから、俺はかからないけどね!
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