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第六章 家族と暮らす
70 お城での昼食 成人
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「成人ちゃん、久しぶりね」
雫石母さまが、ぎゅうって抱っこしてくれた。
うん、久しぶり。
「またお部屋にいらっしゃい。ね?」
「うん。先触れ出すね」
「そんなの、いいのに」
「んー。でも、出すね」
「……そう。そうね。すぐにお返事書くから、私に直接届けてちょうだい」
「ん」
金魚、元気かな。後で少しだけ行ってもいいかな。
「二人とも元気そうだね。まあ、とりあえず座りなさい」
父さまが先に席に着きながら言う。ここは、父さまたちが家族で食事をするところなんだって。そこに、お昼御飯を食べに来なさいっていう父さまのお話が届いた時は、緋色がまた、いやだいやだ、おうちに帰る、とぶつぶつ言ってた。上官の命令だから、断れないよね?もしかして緋色なら、本当に嫌だったら断っちゃうのかな。そうだったら、すごいな……。
城に居た一ノ瀬が離宮に、俺と緋色のお昼御飯はいらないと連絡しに行ってくれて、半助がいるからと離宮に残ってたじいやがお城に来てくれた。だから今は、常陸丸と半助は食事に行ってていない。じいやがこっそり護衛してる。
二人は、ごはん食べにおうちに帰ったらしい。お城にも食堂あるけど、おうちが一番、なんだって。それには賛成。うちのご飯は美味しい。
それにきっと、常陸丸は乙羽に、半助は壱臣に会いに行ったんだよ。分かる。ちょっとだけでも会いたい。俺も緋色に会いにお城に来ちゃったから、一緒だ。
交代がいない俺たちの護衛は、いつもご飯は一緒の時間に終わらせちゃう。でもこの、家族で食事をするところでは、皇族しか食事をしないから、一緒には食べられなかった。帰って、ご飯食べてきますって言った常陸丸に緋色が、くそって言って、成人いるんだからいいじゃないっすかって言われてた。
そうそう。
俺は今日は、ずっと一緒にいるよー。俺も嬉しいの。
出てきたご飯はたくさんあって、ご飯とお味噌汁の他に、おかずの入ったお皿が四つもあった。少しずつ入ってるけど、全部食べられるかな。あまり見たことの無いおかずが多いので、まずはご飯とお味噌汁を食べていると、隣の席の緋色が椅子をくっつけてきて、おかずを選り分け始めた。
「この漬け物はしなびてて噛みきりにくいから止めとけ。この肉も辛味がある。この煮物と焼き物は食べられそうなら食べたらいい。ご飯も盛りすぎだから残せ」
うんうん。
昼間からたくさん作ってくれた料理人さんには申し訳ないけど、無理に食べてお腹が痛くなっても困るからなあ。
ごめんね、と思いながら緋色の言う通りのものを口に運ぶ。
「辛いか?」
父さまが肉を食べながら言うので、一口かじってみた。硬くなくてすぐに噛みきれた。そのまま一生懸命噛んでたら、ぴりぴりとした感覚が口に広がってくる。あ、これ苦手なやつ。口の中が熱いみたいになって、後のご飯が食べられなくなるやつだ。これが辛い。ぴりぴりは苦手。俺は、辛いのは苦手ってこと。
「かじったのか?成人、出せ」
緋色が手を出してくれたから、その上にお肉を出した。
「ご飯を食べろ。噛んでたら消えるかもしれん」
近くにいた父さまの侍従さんが、慌てて緋色の手の上の肉を受け取って、濡れた手拭いを渡している。侍従さんは皆同じ制服だから分かりやすい。七伏もこの服だった。
「俺はともかく、成人も呼ぶなら気を付けてくれ」
「ああ。急だったもので、悪かった」
そういう緋色も、煮物の皿は一口食べて避けてある。ねっとりした感触の芋が苦手なのかな?それとも味?
おうちの味とだいぶ違うもんねえ。
雫石母さまが、ぎゅうって抱っこしてくれた。
うん、久しぶり。
「またお部屋にいらっしゃい。ね?」
「うん。先触れ出すね」
「そんなの、いいのに」
「んー。でも、出すね」
「……そう。そうね。すぐにお返事書くから、私に直接届けてちょうだい」
「ん」
金魚、元気かな。後で少しだけ行ってもいいかな。
「二人とも元気そうだね。まあ、とりあえず座りなさい」
父さまが先に席に着きながら言う。ここは、父さまたちが家族で食事をするところなんだって。そこに、お昼御飯を食べに来なさいっていう父さまのお話が届いた時は、緋色がまた、いやだいやだ、おうちに帰る、とぶつぶつ言ってた。上官の命令だから、断れないよね?もしかして緋色なら、本当に嫌だったら断っちゃうのかな。そうだったら、すごいな……。
城に居た一ノ瀬が離宮に、俺と緋色のお昼御飯はいらないと連絡しに行ってくれて、半助がいるからと離宮に残ってたじいやがお城に来てくれた。だから今は、常陸丸と半助は食事に行ってていない。じいやがこっそり護衛してる。
二人は、ごはん食べにおうちに帰ったらしい。お城にも食堂あるけど、おうちが一番、なんだって。それには賛成。うちのご飯は美味しい。
それにきっと、常陸丸は乙羽に、半助は壱臣に会いに行ったんだよ。分かる。ちょっとだけでも会いたい。俺も緋色に会いにお城に来ちゃったから、一緒だ。
交代がいない俺たちの護衛は、いつもご飯は一緒の時間に終わらせちゃう。でもこの、家族で食事をするところでは、皇族しか食事をしないから、一緒には食べられなかった。帰って、ご飯食べてきますって言った常陸丸に緋色が、くそって言って、成人いるんだからいいじゃないっすかって言われてた。
そうそう。
俺は今日は、ずっと一緒にいるよー。俺も嬉しいの。
出てきたご飯はたくさんあって、ご飯とお味噌汁の他に、おかずの入ったお皿が四つもあった。少しずつ入ってるけど、全部食べられるかな。あまり見たことの無いおかずが多いので、まずはご飯とお味噌汁を食べていると、隣の席の緋色が椅子をくっつけてきて、おかずを選り分け始めた。
「この漬け物はしなびてて噛みきりにくいから止めとけ。この肉も辛味がある。この煮物と焼き物は食べられそうなら食べたらいい。ご飯も盛りすぎだから残せ」
うんうん。
昼間からたくさん作ってくれた料理人さんには申し訳ないけど、無理に食べてお腹が痛くなっても困るからなあ。
ごめんね、と思いながら緋色の言う通りのものを口に運ぶ。
「辛いか?」
父さまが肉を食べながら言うので、一口かじってみた。硬くなくてすぐに噛みきれた。そのまま一生懸命噛んでたら、ぴりぴりとした感覚が口に広がってくる。あ、これ苦手なやつ。口の中が熱いみたいになって、後のご飯が食べられなくなるやつだ。これが辛い。ぴりぴりは苦手。俺は、辛いのは苦手ってこと。
「かじったのか?成人、出せ」
緋色が手を出してくれたから、その上にお肉を出した。
「ご飯を食べろ。噛んでたら消えるかもしれん」
近くにいた父さまの侍従さんが、慌てて緋色の手の上の肉を受け取って、濡れた手拭いを渡している。侍従さんは皆同じ制服だから分かりやすい。七伏もこの服だった。
「俺はともかく、成人も呼ぶなら気を付けてくれ」
「ああ。急だったもので、悪かった」
そういう緋色も、煮物の皿は一口食べて避けてある。ねっとりした感触の芋が苦手なのかな?それとも味?
おうちの味とだいぶ違うもんねえ。
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