【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

126 宝箱のようなお店  成人

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 焼きを食べて、次は何を食べようかなー、と言う力丸りきまるを引っ張ってお土産を探しに行った。まだ食べるの?今、朝ごはんと昼ごはんの間だよ。焼きも、一人で半分食べたのに!
 結局、力丸りきまると手を繋いでお店を覗いて回っている。
 髪の飾りばかりを売るお店がたくさんあった。やっぱり髪の毛が大事みたい。男の人も女の人も、真剣に選んでいる。俺と力丸りきまるは、結ぶ髪の毛も無いし、お土産にするにしても、どう使うのかも分からないから、すたすた通り過ぎる。
 甘い匂いの屋台につられそうになる力丸りきまるを引っ張って、入り口に綺麗な金平糖が見えたお菓子屋さんに入った。
 そこは、綺麗なお菓子の並ぶお店屋さんで、ほわあ、と思わず声が出た。

「いらっしゃいませ。」

 着物の店員さんが丁寧に挨拶をしてくれるので、ぺこりと頭を下げる。
 小さな袋に色んな色の金平糖が組み合わせてあって、名前が付いている。漢字の上に読める字も書いてくれてるから名前が分かった。薄い桃色と少しの白でさくら、濃い桃色と薄い赤、少しの白でうめ、黄色と少しの黄緑でたんぽぽ、薄い青、濃い青に少しの白を組み合わせてうみ、濃い桃色、黄色、薄い赤に混じってほんの少しの黄緑と白で紅葉こうよう。これは、お城でも食べたのとおんなじだ。薄い赤と濃い赤ばかりでいちご。これ欲しい!
 小さな袋に入っているのが三百円で、きらきらの硝子の入れ物にはいっているのが八百円。う、高い。でも、硝子に入った苺って名前の金平糖が欲しいなあ。
 ケースの中に色別の金平糖が並んでいて、好きな色を選んで買うこともできる。
 ああ、綺麗だ。
 ずっと見ていられるなあ。
 飴も、とても小さな丸に線で模様がある。こちらもとても綺麗。絵を描いてるみたいに、白い飴に緑、黄色、赤色、桃色の線が付いている。白手鞠しろてまりって名前らしい。小さな入れ物に少しだけ入って三百円。うーん、欲しい。食べてみたい。
 でも、これと硝子の入れ物に入った金平糖を買うと、自分のだけで千円越えちゃう。このお土産は、乙羽おとわ赤璃あかりさまと雫石しずくさまに買ったらいいかな。村次むらつぐ広末ひろすえには、たこ焼きを買って行きたいなあ。食べたら、作り方分かるんじゃない?
 借りたお金で足りそうだから、買っちゃおうかなあ。

「おーい。おーい、成人なるひと。」
「はいー?」

 びっくりした。変な返事しちゃった。

「おお。やっと返事した。欲しいもの決まったか。これ、買ってやろうか?」
 
 力丸りきまるが苺って名前の金平糖を手に持っている。硝子の入れ物に入ったやつ。何で俺の欲しいもの分かるんだ?

「自分で買う。」
「はいはい。」

 買いたいものを入れる竹籠が置いてあったのでそれを入れて、後は紅葉の金平糖を三つ。白手鞠しろてまりの飴を四つ買うと、たこ焼きや皆に配るお土産を買えなくなるなあ。白手鞠しろてまりの飴も三人に見せたいけど、どうしよう。
 うーん、と唸っていたら、くっくっと笑った力丸りきまるが、

「飴は俺からの土産にしようか?」

 と言ってくれた。ここは素直にお願いしよう……。
 頷くと千円札を一枚渡される。

「一緒に払って、土産用に包んでもらって。言える?」
「お土産にしますって言う。」
「そう。飴と金平糖を一緒に包んでくださいって言うんだぞ。」

 大丈夫だよ。
 俺はできるからね。
 そうだ、三郎さぶろうに買い物の仕方を教えてあげなきゃいけないんだった。
 探して見ると、ぽかんと口を開けている三郎さぶろうがいた。くいくい、と袖を引っ張るとこちらを向いたので、一緒に会計所に歩いて行った。
 ちゃんと見ててね!

 
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