【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第三章 幸せの行方

61 成人 66

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 俺が、もう一つ食べ慣れた団子を口にしている間に、広末ひろすえ斑鹿乃むらかのが、ワゴンに大きな団子と小鉢にかけてある色々な味付けの、ボウルや鍋を乗せて帰ってきた。その後ろから、乙羽おとわ吉野よしの、じいじが入ってくる。まだ名前を知らないけれど、よく見かける使用人たちも四、五人来て、生松いくまつ睦峯むつみねも来た。じいやと村正むらまささんは、いつの間にか部屋の中にいる。机の上には、団子の山がもう一つできた。

「なる。これ、すごいね。」

 乙羽おとわが嬉しそうに笑う。俺は、口の中に団子があるから喋れずに、うんうんと頷いた。

「なるは、どれが好き?」

 小鉢を見比べて乙羽おとわが聞く。そう言われても、分からない。首を傾げていると、

「私は、みたらし団子が好き。」

 と教えてくれた。茶色いたれのやつが、みたらし団子らしい。ふーん。
 俺は、緋色ひいろの上から立ち上がって、じいじの所へ行った。黄色い粉の団子を食べようとしている。

「わしは、きな粉が好みでな。甘すぎないのが良い。荘重むらしげ殿は、意外と甘党なのですな。」
「ええ。甘いものは好みです。」
「この、お汁粉のこってりした甘さが、食べたって気になりますよねえ。」

 側にいたじいやと吉野よしのは、黒い汁の中に団子を浮かべていた。お汁粉ね。甘いのかあ。美味しそう。
 力丸りきまるが、常陸丸ひたちまるに引きずられるようにして、部屋へ入ってきた。そちらへ行こうとすると、いつの間にか側にいた緋色ひいろに押さえられる。
 二人は真っ直ぐこちらに歩いて来た。二人とも、頬に白い大きなものを貼っている。怪我したのかな?
 二人で緋色ひいろの前に膝をつき、左拳の上に右手を添えて掲げ、頭を下げた。

泉門院せんもんいん力丸りきまるが奏上申し上げます。昨晩は、誠に申し訳ございませんでした。如何様いかようなる罰も賜ります。」

 え?何したの?何かあった?昨日の夜?俺、知らないんだけど。
 緋色ひいろ常陸丸ひたちまるも何も言わないし、周りの人も、黙って見ている。

緋色ひいろ?俺、力丸りきまると団子食べたい。」

 俺は、力丸を待ってたから、我慢できなくなって小さな声で言ってみた。小さな声にしたのに、静かな室内では、結構聞こえてしまう。
 驚いたように、力丸が顔を上げた。まじまじとこちらを見てくるけど、どうしたのだろう。

「色々あるから、味が分かんなくて。」

 小さな声で言ってみる。

力丸りきまるは、どれが好き?」
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