イケメン幼馴染に執着されるSub

行方（？？？）

1

「はぁっ！はぁっ！はぁっ！」

走らないと

できるだけあの部屋から距離をとらないと

「っ…はぁっ…はぁっ…」

にしてもこの屋敷広すぎでしょ。
7年メイドしてる私でも迷うわ。

「………」

でも殺されなくて良かった。

“あの男”よりも、私のコトを馬鹿みたいに信じてくれたもの。


やっぱり麻耶ちゃんの友達だったから信じてくれたのかな～

良かった、

友達で。


「……廣瀬、雄斗……」

（あの男だけは……）

ギリッと歯を喰いしばる

“「あっ！！あっぁんっ！ゆうとっ！！！」”

「？！」

うしろを振り向く

だけど、誰もいない。

（”あの男”…梶原風はお仕置き中、か。）

「…………」

少し悪いことをしたわ。

でも仕方がない

私の妹のほうが可哀想なんだから。

「この指輪、持って行っちゃったけど……。」

雄斗様と梶原が話してるうちにこっそり持って行った指輪。

きっとこの指輪を探しに梶原は部屋を出て探しに来たりなにかしらの行動は取ると思う。

この指輪は親の形見らしいもの。

「………ボロい指輪」

「遥奈さん？その指輪どうしたの？」

「っ茜さん…いいえ。何でもないわ。それよりも如何して此処に？」

「遥奈さんが必死に走ってたから…何かあったのかと思って…。」

「何もないわよ、大丈夫。ほら仕事に戻りましょ。」

「それならいいけど……。」

………

………………

（危なかった…、）

もうちょっとで茜にバレるところだったわ。

私と同じ7年間もこの屋敷で働いてるメイド。
あの女は純粋が故に口が軽いから要注意すべき女



「………」


絶対に殺す。


廣瀬雄斗も


梶原風も


「遥奈さん？」

「茜さん。今度はどうしたの？」

「あっ今日の”担当”遥奈さんだからと連絡を…」

「担当…？……あぁ、アレね。今どんな感じ？」

「はい。昨日はまだ寝込んでる様子でしたよ。でも少し気の毒ですよね…あんなに傷だらけで……」

「仕方がないでしょ。雄斗様の癪に触ってしまったんだから。」

「そうだけどあんなイケメンを…！」

「そんなに庇うのならば助ければ？それともあなたアレに恋したの？」

「っ！そんな訳ございません！少し人情に触れただけです。」

「そうよね、冗談よ。」

「第一、あの部屋には大量の防犯カメラがあるんですよ？助けられるわけないですよ。」

「知ってるわよ。」

「それにあの部屋に入れるのは雄斗様から壮大な信頼を頂いてる選ばれたメイドだけで……ってどこ行くんですか？！！」

「…仕事に行くのよ。あなたも自分の仕事をしなさい。」




（しつこいんだよなこの女。まずはこの女を殺したい。絶対殺してやるよ。）



でも、そっか、ふーん、

アレは今寝込んでるのね

一応アレは病院の息子だしこの辺りでも結構有名な人だから殺しはしないだろう。
多分どこかで逃す。


………

「少し手を借りようかしら。」