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喧嘩はやめて(レイジ目線)

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 ビックリした。まさか二人が殴り合う事になるなんて。いや、その前に、まさかいきなりリョウ兄さんにキスされるなんて。俺は、顔は赤くなるがそんなに酔っていないのだ。
「ちょっと、二人ともやめてください!」
殴り合ったりしたら、顔が腫れるし、怪我するかもしれない。ああ、どうしよう。後で事務所に何て言えばいいんだよ。
 止めようとしてもダメだ。どうしよう。そうだ、
「カズキ兄さん、どうしよう!」
俺はカズキ兄さんにテレビ電話をかけた。そして、フラフラになりながらまだ殴り合っている二人を映した。
「マジか!今行くから!」
カズキ兄さんはそう言って電話を切った。今行くって言ったって、それまでこのままじゃ・・・と思ったら、1分もしないうちにカズキ兄さんがやってきた。
「カズキ兄さん!?なんでこんなに早いの?」
「心配でさ、近くで張ってたんだよ。」
嘘だろ・・・。でも助かった。
「リョウ兄さん、もう止めましょうね。美貌が台無しになりますよ。」
カズキ兄さんはそんな事を言いながら、リョウ兄さんを後ろから羽交い締めにした。俺も、まだ掴みかかろうとするテツヤ兄さんを後ろから抱きしめた。
「ほら、兄さん帰りますよ。レイジ、テツヤの顔冷やしておけよ!」
カズキ兄さんはリョウ兄さんを肩に担ぎながら、振り返ってそう言った。そして、なんだかんだ言っているリョウ兄さんをなだめながら、家を出て行った。
 やれやれだ。俺はテツヤ兄さんの顔を冷やそうと、タオルを水で濡らして絞った。
「これでいいかな。」
テツヤ兄さんはまだリビングに突っ立っていた。
「こっちに座って。顔を冷やそうよ。」
俺が言うと、テツヤ兄さんは無言のままソファに移動して座った。俺は横に座り、濡れタオルをそっとテツヤ兄さんの頬に付けた。
「どう?冷たい?」
「ああ。」
ただ一言、そう返って来た。
「なんで、殴ったりしたの?」
俺が聞くと、テツヤ兄さんは目線を俺に向けた。
「リョウ兄さんが、お前にキスしたから。」
あ、チャンス、来たかも。そもそも今夜の目的は、テツヤ兄さんにヤキモチを妬かせる事、妬いてくれるかどうかを見る事だったのだ。ヤキモチだったのか、そうじゃなかったのか、確かめるチャンスだ。
「キスしたから、怒ったの?なんで?」
ドキドキしながら、言葉を選びながら、質問をする。
「だって、俺の大事な・・・。」
「大事な?」
「・・・弟に、手を出すから。」
「・・・。」
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