手足を鎖で縛られる

和泉奏

文字の大きさ
上 下
290 / 609
足音

16

しおりを挟む


やだ。やだ…っ。


「やっぱり綺麗な好き通るような白い肌だあ…」

「やめ…っ、」

「あんなにきれいだと思って、ちょっと興味あって君をかげから見てただけだったのに。僕に傘を貸してくれるなんて、僕の事好きなんでしょ?そうなんだよね?」

「違う…っ、そんなこと、思ってない…っ」



もしこの人が言ってることが本当だとして、なんで傘を貸したことがきっかけでこんなことになるんだろう。
鳥肌が立って耐えられなくて、身を必死に捩って上の身体をどかそうとする。
でも、こんな体勢で乗られてたら力が入らない。


「あはあ…っ、」

「――ッ、」


何か、硬いモノがあたって、る――。
制服のズボン越しに尻の割れ目をなぞるように何度も擦りつけられて、それを感じた瞬間に全身から血の気が引く。
ゆさゆさと背後で動いているのを感じる。
布と布が擦れる音。

知らない人のソレが、割れ目を上下に往復している感触にゾワリと毛が逆立つ感覚にとらわれた。
その人だって、ズボンをはいているはずなのにこんなにくっきりと押し付けられるってことは完全に…その、勃ってるってことで。
それは、朝の道端の光景としてはあまりにも異常なものだった。

喉の奥から声にならない悲鳴が漏れた。

いやだ、いやだ、いやだ…っ。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い――。


「…あ゛ッ!?」


気づけば、すぐそばに転がっていた鞄を持って、無我夢中で振り上げていた。
油断していたのか擦り付ける動作で少し腰を浮かせた男に、うまく当たったらしい。
痛みの声と鞄を持つ手に鈍い何かを打ったような振動が伝わってくる。

六時間の授業分の教科書とそれに加えて読書用の本が入ってる鞄は、とても重くて多分すごく痛いだろう。
苦痛に声を上げる男に、「ご、ごめんなさい…っ」と反射的に謝ってから逃げるように走り出した。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あなたに私の夫を差し上げます  略奪のち溺愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,252pt お気に入り:144

【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

BL / 完結 24h.ポイント:2,229pt お気に入り:9,133

先行投資

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:17

男の娘レイヤー時雨-メス堕ち調教-

BL / 連載中 24h.ポイント:866pt お気に入り:877

ちっこい僕は不良の場野くんのどストライクらしい

BL / 連載中 24h.ポイント:745pt お気に入り:561

死にたがりの僕は言葉のわからない異世界で愛されてる

BL / 連載中 24h.ポイント:3,148pt お気に入り:310

初夜の翌朝失踪する受けの話

BL / 完結 24h.ポイント:362pt お気に入り:2,936

子供が欲しい俺と、心配するアイツの攻防

BL / 連載中 24h.ポイント:489pt お気に入り:115

処理中です...