推しを味方に付けたら最強だって知ってましたか?

●やきいもほくほく●

文字の大きさ
38 / 56
番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)

新しい世界2

しおりを挟む
(クーシャとリオノーラのお出かけ、リオノーラside)



「クーシャ、今日は宜しくね」

「はい」


思い立ったら即行動である。
題して「クーシャの笑顔を見てみたい」作戦の開始である。
「スフレも行きたい」と間違いなく言われてしまうので、バレないように父と母に協力してもらい計画を立てたのだった。

クーシャはリオノーラの提案に一瞬だけ戸惑った様子を見せたものの、大人しく頷いた。

護衛には背後からついてきてもらい、クーシャと町に出た。

クーシャリオノーラの背はそんなに変わらない。
むしろ少し小さい位だ。
可愛いくて綺麗な弟を連れて、お出掛けできるのは良い気分である。


「クーシャは甘いものと、しょっぱいもの、どっちが好きかしら?」


クーシャは大抵、質問すると『どちらでもいい』とか『姉上が好きな方で』と言って人に選択肢を預けてしまう。
だから今日は作戦を考えてきたのだ。

必殺、選択肢は二つだけ。

どちらかは必ず選ばせるようにもっていく。
こうして選択肢を狭めていけば、クーシャの好みが絞られていくという作戦なのだが……。


「僕は……」

「うんうん!」

「食べられれば何でもいいです」

「……!?」


結局、選択肢はリオノーラに委ねられてしまう。
しかしここでめげたりしない。

(ーーー次よ、次ッ!)

この時は自分が思っているよりも、ずっと手強いクーシャに翻弄される事になるとは、まだ思っていなかった。

雑貨屋ににて。


「クーシャ何か欲しいものある……?」

「いえ、特には」


ブティックにて。


「これ、クーシャに似合いそうね!」

「そうですか……覚えておきます」


アクセサリーショップにて。


「うーん、どっちのアクセサリーがクーシャに似合うかしら」

「このネックレス、姉上に似合いそうです」


路面店にて。


「クーシャの好きなものを買いましょうか?パン?クッキー?あ、やっぱりお肉?」

「食べられれば何でもいいです」


(デジャヴゥゥウッ……!!)



相変わらず表情が読めないクーシャ。
そして手札が無くなり困り果てていた。
休憩がてらカフェに入り、ケーキと紅茶を頼む。

問いかければ答えてくれるものの、会話は弾むことも盛り上がることもない。

元々反応が薄いため、感情が分かりにくいのが難点だ。
どんなに隠そうとしても多少なりとも感情は滲み出るものだが、クーシャの場合は完全なる『無』である。


「姉上?」

「……」

「姉上、大丈夫ですか?」

「え、あ……っ、大丈夫よ……!」


(しまったああぁ!考え込みすぎてクーシャに余計な心配を……!)


「お待たせ致しました」


ナイスなタイミングでケーキと紅茶がやってきた。
美しくデコレーションがされたチョコレートケーキと良い香りがする紅茶にリオノーラは顔を綻ばせた。

流石、ゾイに聞いた噂のカフェは素晴らしい。


「わぁ……かわいい」


ケーキをパクりと口の中へと運ぶ。
クリームが口の中で蕩けて、生チョコレートがトロトロと舌の上で溶けていく。
少しほろ苦くて、甘さもちょうどよく大変美味しい。


「ん~!!」

「………」

「クーシャ、美味しい?」

「はい」

「こっちのケーキも美味しいわよ?」

「え……?」

「あーん」

「……っん!?」

「ふふ、美味しいでしょう?」

「あ………はい」


少し困ったように此方を見ているクーシャを見て、ハッ……とする。
もしかして、やり過ぎてしまったのではないか…と。

美味しいケーキを一緒に食べたいという気持ちでいたために、何も考えていなかった。

(なんて罪なチョコレートケーキ……!あまりの美味しさに我を忘れてしまったわ)
しおりを挟む
感想 921

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

《完結》初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。