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「…………っ」
完全に金狼の気配が消えた途端、息を殺していた虫の声が、夜の闇を彩り始めた。
今まで耳に入っていなかった波の音、風のさざめきが、彼等の張り詰めていた緊張を優しく解きほぐしてくれる。
「はああ………ッ」
「ふええ……おっかねえ野郎だぜ」
「ああ…2度は対峙したくねえな」
一度の攻撃で戦闘力を奪われたシンらが、身体を擦りながらヨロヨロと立ち上がった。
無傷のジャックは一番重症そうなリアムに駆け寄ると、着ていたジャケットを全裸の彼に貸し与える。長身の彼にはあまりにも短すぎるが、何も無いよりはマシというものだ。
「大丈夫かい、リアム?」
「ああ…心配ねえ。傷も…すぐ消えっから…」
見ると、満月が近いことが幸いしてか、リアムの身体に刻まれた多くの傷口が、すでに塞がりかけていた。とはいえ失血のダメージが残っているし、血塗れの体は隠しようもないが、放っておいてもすぐに表面的な傷だけは無くなるだろう。
「悪かったな…危険な目に付き合わせちまって」
「ああ、まったくだぜ…!!!」
申し訳なさそうに謝るリアムに、ディランは迷惑そうな顔を隠さずそう言った。彼のそんな言葉と態度とに、リアムと蓮は悄然とした様子で俯いてしまうが、
「と言う訳で、帰ったらなんか奢って貰うかんな、リアム!?」
「え……ッ!?」
ついでニヤリと笑って軽口を叩き始めたディランに、意表を突かれた顔になって2人は互いに顔を見合わせあう。
「あーー!!俺も俺も!!!何奢って貰うかなぁ~~総介、お前どうするよ!?」
「や、俺は別に…」
「そう言うなって!!この際、美味え物たらふく奢って貰おうぜ~」
全員ズタボロで満足に動けない状態なのに、和気あいあいと談話し始めた彼らの顔を順に見回し、そして、やれやれと肩をすくめるジャックと視線を合わせたリアムと蓮は、かつてないほど楽しく嬉しい気持ちで笑いあった。
「リアム…リアム、俺、なんか嬉し……」
「ああ、俺もだ、蓮……れ…蓮??」
しかし唐突に蓮は表情と言葉を失い、まるで電池が切れた人形の様にふうっと気を失ってしまう。目を閉じた月光に照らされる白い顔が、ひどく青ざめているように見えて、リアムは自身の顔からも一切の血の気を失くしてしまった。
「蓮……蓮ッ!?」
「蓮君……ッ!!??」
焦るリアムの声、驚いたジャックの呼ぶ声。
それらを耳にしたのが最後で、蓮は完全に意識を暗転させた。
完全に金狼の気配が消えた途端、息を殺していた虫の声が、夜の闇を彩り始めた。
今まで耳に入っていなかった波の音、風のさざめきが、彼等の張り詰めていた緊張を優しく解きほぐしてくれる。
「はああ………ッ」
「ふええ……おっかねえ野郎だぜ」
「ああ…2度は対峙したくねえな」
一度の攻撃で戦闘力を奪われたシンらが、身体を擦りながらヨロヨロと立ち上がった。
無傷のジャックは一番重症そうなリアムに駆け寄ると、着ていたジャケットを全裸の彼に貸し与える。長身の彼にはあまりにも短すぎるが、何も無いよりはマシというものだ。
「大丈夫かい、リアム?」
「ああ…心配ねえ。傷も…すぐ消えっから…」
見ると、満月が近いことが幸いしてか、リアムの身体に刻まれた多くの傷口が、すでに塞がりかけていた。とはいえ失血のダメージが残っているし、血塗れの体は隠しようもないが、放っておいてもすぐに表面的な傷だけは無くなるだろう。
「悪かったな…危険な目に付き合わせちまって」
「ああ、まったくだぜ…!!!」
申し訳なさそうに謝るリアムに、ディランは迷惑そうな顔を隠さずそう言った。彼のそんな言葉と態度とに、リアムと蓮は悄然とした様子で俯いてしまうが、
「と言う訳で、帰ったらなんか奢って貰うかんな、リアム!?」
「え……ッ!?」
ついでニヤリと笑って軽口を叩き始めたディランに、意表を突かれた顔になって2人は互いに顔を見合わせあう。
「あーー!!俺も俺も!!!何奢って貰うかなぁ~~総介、お前どうするよ!?」
「や、俺は別に…」
「そう言うなって!!この際、美味え物たらふく奢って貰おうぜ~」
全員ズタボロで満足に動けない状態なのに、和気あいあいと談話し始めた彼らの顔を順に見回し、そして、やれやれと肩をすくめるジャックと視線を合わせたリアムと蓮は、かつてないほど楽しく嬉しい気持ちで笑いあった。
「リアム…リアム、俺、なんか嬉し……」
「ああ、俺もだ、蓮……れ…蓮??」
しかし唐突に蓮は表情と言葉を失い、まるで電池が切れた人形の様にふうっと気を失ってしまう。目を閉じた月光に照らされる白い顔が、ひどく青ざめているように見えて、リアムは自身の顔からも一切の血の気を失くしてしまった。
「蓮……蓮ッ!?」
「蓮君……ッ!!??」
焦るリアムの声、驚いたジャックの呼ぶ声。
それらを耳にしたのが最後で、蓮は完全に意識を暗転させた。
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